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89.なんか焦ってる……




「ぅえぇー??」

「リリーの無知が出てきたぞ」

「リリアナちゃんは、必要な情報しか持ってこない従者とか魔法に関する知識ばっかあげる伯父のせいでしょ」


二人して、何が問題だ? みたいな顔をしないで。


「社交界の知識なんていらないだろ」

「別に魔法使えりゃ良いし」

「ゼクト君はがっつり私情入ってるよね? シエルさんはいつまでリリアナちゃんにハゼルト継がせようとしてるの」


あぁ、通常運転だ。


「無理に継がせようとはしてねぇだろ」

「保護者」

「残念。バカの方の親権がある」


親権って譲渡できたっけ………?


「しれっと違法すんじゃねぇ」

「ハゼルト間のみ可能だ」

「継承権問題が特殊ですからね」


うん。できないよね。

しかし、ハゼルトの特権かぁ。多いな。


「そもそもで、義理でお前らの調査に俺も姪も出てんだ。やんなくても良いんだぞ」

「あのー、戸籍上はシティアルですからね?」

「書き換えるか」

「違法です」


リリアナはあくまでシティアルでいたいのね。


「姪、体よく使う気だな」

「使えるものは使いますよ」

「リリアナちゃんが権力に貪欲じゃなくて安心したよ」

「あったら平気で国家転覆してそうだな」

「………」


リリアナさーん??


「リリアナ、そこで黙られるのはちょっと不安だよ?」

「リリアナ嬢、考えてないよな?」

「リリーちゃん??」


目を逸らさないで。本当に止めて。


「………まぁ、大丈夫だろ」

「不安しかないんですが」

「魔術師に欲しいもの聞かれて魔塔の書庫見せろって言うくらいだし………?」


それはそれでどうなのかな。


「リリアナちゃんって不思議だよね」

「今更」

「普通に令嬢が毒の知識あるのがおかしいからな」


なんで? とリリアナに理由を聞くと、


「え、ずっと毒飲まされてたら調べません?」


想像の斜め上の回答がきた。


何、それもハゼルトの?


「んな教育ないぞ。だから変な目で見てくんじゃねぇ」

「一応言うぞ。致死量以上飲んで生きてるからな」

「魔法とかの次元じゃないでしょ」


んで、その毒を飲んだ張本人は何をしてるの。


「…………えっと、これとこれ……あれ、でも合わない」


薬の成分調べてるのかな? なんか独り言聞くと調合法も調べてそうなんだけど。


「………あぁ、尻尾切りですか」

「お、分かったか?」

「ある程度は。てことで伯父様。お祖母様が住んでた屋敷を取り押さえましょう。密書があるはずです」

「これは捨て駒か」


話が読めない。


「まぁ、死人に口なしと言いますからね」

「姪、ここにはまともな感性持ってる奴が多いからこれ以上は止めとけ」


ユラエスはいろんな意味でダウンしてる。

なんか、疲れた………。


「それ、後で屋敷送っとけ」

「念のため、あちらにも警戒してください」

「りょーか…………はぁ」


先生が動きを止める。


どうしたの?


「カーティス。裁判いつだ?」

「急になんだ………。明後日には開かれるだろうな」

「……時間ねぇな。姪、それ火葬すると思うから保管しとけ。痕跡は消して構わない」


急に指示を出す先生と、黙々とこなそうとするリリアナ。そして、焦るムフロフ侯爵。


「おい、勝手に!」

「いや、これいろいろまずい。あれが来る。死ぬ……」

「いや、だから何が」

「姪、急げ。できるだけ痕跡消して返すぞ」


なんかめっちゃ焦っていた。


そしてその翌日、魔法裁判が開かれた。






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