72.婚約者からのプレゼント
フロイド視点の後半(?)です。
リリアナとのダンスが終わると、令嬢たちからかなりの数申し込まれた。
それから数人と踊り、残りは断りを入れる。
リリアナはどこだろうか、と探していると、エルヴィスたちといた。
「あ、殿下。誕生日おめでとー」
「少しは礼儀を持て」
ティアナとエルヴィスはあまり気が合わなそうだが、昔から見ていると合っている、仲良しだ。
「殿下の誕生日なのに、プレゼント渡すのは殿下なんだよね」
「私だって渡しますよ。失礼ですね」
「用意が大変だったのをお忘れで?」
ゼクトさんも手伝ったのか。
リリアナは毎年、他者は思い付かないようなプレゼントをしてくれる。
魔法で作った一時的な庭園だったり、空を飛んだり。
「ヒント、外です」
「それ、いつもでは?」
「外じゃないとバカみたいな被害でるもんね」
「毎年思うけど、規模おかしいわよね」
魔法でプレゼントするなんて、魔力が膨大なリリアナくらいだろう。
「そろそろですから、庭園へ行きましょう」
「見るならそこが一番ですから」
リリアナに軽く引っ張られて庭園へ移動する。
来ていた人たちも、リリアナが今年はどんなものを披露するのか楽しみなのか、外に出てくる。
前まではテラスだったが、今年は庭園なのか。
「今年はかなり失敗しましたが、なんとか成功しましたよ」
くるりと、リリアナがこちらを見てくる。
「伯父様からも許可が降りましたし」
リリアナは手のひらサイズの小さな魔法陣を手元に作る。そして、
「今年のプレゼントは『流星』です」
リリアナが魔法陣を壊した瞬間、たくさんの流星が見えた。
「………驚いたな」
「オゾン層より上に魔法陣を作るのに苦労しまして……。魔法陣が完成したのがつい先日だったんです」
なるほど。確かに、流星の名前にふさわしい魔法だ。
「頑張ってくれたのが良く分かるプレゼントだね」
「気に入っていただけたようで、何よりです」
うん。まぁ、懸念点としては………。
「………少し、長いな」
「やっぱりそこですよねぇ……」
綺麗だが、もうしばらくは終わりそうにない。
「んー、壊せますかね?」
「どうやってだ?」
「一応、別の魔法を重ねているので」
それで壊すのか。少しもったいない気もするが。
「ちなみにだが、試作段階ではどのくらいあったんだ?」
「……………」
本当に魔法陣が完成したって感じなのか。頑張ってくれるのは嬉しいが、頑張り過ぎてもだな。
「あまり無理はしないでくれ」
「ら、来年は大丈夫………なはずです」
不安だな。リリアナが一瞬言葉を詰まらせるときは、大抵大丈夫じゃないときや誤魔化すときだ。
そこで、少しだけ悪戯心が芽生えた。
言っても無理をする婚約者への罰と言うことにしよう。
今からしようとしていることを自分の中で正当化し、リリアナに近付く。
「………殿下?」
何も言わないで近付く私を不安そうに見てくるリリアナの額に、
「………!?!」
軽く唇を当て、キスをする。
「無理をする婚約者へのお仕置きだ」
顔を真っ赤に染めたリリアナは、訳が分からないとあたふたしていた。
翌日、母上に思い切りどつかれた。さすがにやり過ぎたか………。
やっと恋愛っぽくなってきた………かな?
最近、「そう言えばこれ、異世界恋愛じゃん……」と思い出した書き手です。そして、またしばらくは恋愛要素がない予感……。




