551.話
戻ってきたけど、本当に変わってなさそう。
「あ、戻ってきた…」
転移したのはハゼルトの敷地。他だといろいろ問題あるのは分かるけど、驚かなさすぎでしょ。ここの使用人。
「……別に何を、どこで、などは聞いたり制限はしませんが、お嬢様方を巻き込むなとあれ程!」
一人、こっちへと近付いてきて先生とメルトさんに叱り始めた。
「そう言うところですよぼっちゃま!!」
「その呼び方止めろ」
「うるさーい」
ぼ、ぼっちゃま……。
「第四たちの乳母だよ」
「二人が何もできずに叱られてるってシュールだね」
耳を塞いでいる二人とそれすら叱る乳母さん。
強いな……。
「君ら今日どうする? 今戻ってもいろいろ面倒だけど」
「……あ、学院…」
私たちはまだ授業普通にあるよね。
「戻るなら夜か。ちょうど良い。アイシャ、商談すんぞ」
「えー、魔法やりたいのに。てか、今度で良いじゃん」
「その前にゼルメルとユイの顔合わせとかなんじゃない?」
うん。先にそっちかと。
「たぶん中にいると思うから、行っておいで」
「リリアナは?」
「私は良いよ。ユイはユイだし」
リリアナにとっては、自分が殺してしまった母親でもあるし、自分をお世話してくれてた人でもあるから、複雑だな。
「なぁにシケた顔してるの」
「わっ…」
「昔のこと引きずるなっての。被害者なんだから」
ワシャワシャとリリアナの頭を撫でる先生たち。
ここだけ見ると、親や子どもを愛さないって言われると嘘だと思っちゃうな。
「中行くぞ」
「久しぶりな気がするね~」
んー、緩い。
どこ行くんだろって思ったらこの人たち、客室に入ってくつろぎ始めた。
「とりあえず、記憶の回収おめでとう」
「あ、うん。しれっとだね」
「あ、アイリスが転生者ってのは知ってるから」
「へぇ…………ん!?」
え、は、知ってたの!?
「だって結構やらかしてたからね。いた人全員の記憶改変してバレないようにしてあげたんだから」
うぇ、マジですか。全然記憶ない。
「前世持ちって結構レアだよね?」
「ハゼルトじゃこのくらいレアにも入らないよ。王太子だって前世持ちだし、ハゼルトの民たちは転生して戻ってきてるって説もある」
魔力を引き継いで記憶はない状態で転生ってこと? あり得るの?
「良い例があるだろ」
あ~、リリアナ。確かにそっか。無限魔力であれだけど、そもそもの量もかなりだもんね。
「それに、君らのやってたゲーム。あれたぶんこっちのがそっち転生して造ってるよ」
「え、時間軸とかおかしくない?」
だって私たちとその人時間軸が前後しまくってるし。
「別に、私たち三人死んだのは同時間帯なのに生まれた日にちとか、お義姉様はなんなら年も違うからそのくらい不思議じゃないよ」
あー、確かに……?
「というのが私の意見だけど、どうなの」
「んー、惜しい」
あ、メルトさんが答えるのね?
「後何話?」
十以内。
「分からないならそう言えよ」