542.役職
「久々に動くと楽しいわね~」
「お前じゃなければ殺してたわ」
「ねー、ボロボロなんだけど!」
「お前は自分で突っ込んでったんだから自業自得だろ」
四人が戻ってきてからもうね。うん。なんだろ。
龍王は心なしかツヤツヤしてるし魔帝はゲンナリしてるしリュカさんは服ところどころ破けてるしゼクトは髪ボサボサだし。
「口論がどうやったら魔法戦になるんだよ」
「このクソガキどうにかしろ」
「子どもたちの前でみっともないですよ」
フランさんいなかったら終わってた予感。
「俺の魔力はこいつと相性が悪すぎる」
「魔力? 使う属性とかじゃなくてですか?」
「そいつは自然の魔力を取り込んで自分の力を何倍にも増幅させるんだ。俺は夜の方が力が出るし、魔力効率がこいつより劣る」
日中なのもあってってことか。
「本当に、ハゼルトといると日常生活じゃ使わない知識まで入ってくるから大変だよ」
「ハゼルトはこれ十になるまでにやるよ」
「本読んでれば覚える」
天才肌の方々は黙っててください。頭の回転速度に天と地程の差があるんです。
「それで、龍王たちはいつまでここにいるの?」
「あら、お母様で良いのよ?」
「呼び分けられないので遠慮します」
「じゃあ別の言い方で」
必死だなこの人。
リリアナは唸りながらどう呼べば良いのか考える。
どっちの気持ちもなんとなく分かるからなんとも言えない。
「………なら、母様…やっぱ無し」
「可愛い!!」
取り消しは不可らしい。
「龍王と天帝の娘が時期侯爵で第一魔術師か。これ、頑張らないと地位奪られるな…」
「どうなるかが楽しみだな」
「ゼロは人使い荒いからやなんだけど」
「自分たちがやってることでしょ」
入学してすぐの姪っ子を教室で寝るくらい働かせてる人たちだし、まぁ。
「リリアナって結局いくつ顔あるの……」
「公爵令嬢」
「秘匿魔術師」
「情報屋」
「ギルドマスター」
「シアもそうじゃない?」
「そうなると暗殺者も入るんだけど…」
シアちゃんをカウントするかは置いといて、含めたら六つ。多いな?? そして令嬢がやるものじゃないのばっかりなんだけど。
「ギルドマスターはエヌだって…」
「アイシャがそれだから合ってはいるだろ」
「いつギルマスなった」
「マスター出せって言ったら出てきたろ」
軽口めっちゃ叩くね? 相手公爵だよ。
「ハゼルトと公爵家だと圧倒的にハゼルトの方が地位高いよ」
「え……」
「神の末裔の皇族と創造主の子ども二人に大切にされてた一族。どっちが上だと思うよ」
………先生たちがやりたい放題な理由がようやく分かった。力とかそういうのじゃなくって元がってことなのね。
「これ、殿下大変ですね」
「今いろいろと処理中だから待ってくれ…」
とりあえず、リリアナ頑張って娶ってください。