537.親
遅れてすみません!!
「あはは…」
フランさん、苦笑いしてないでなんとかしてください。
「俺にあそこに突っ込めって? 自殺行為にも程がある。ああいうときは離れて見てるのが一番だよ」
現在、私たちの目の前では龍王と魔帝に加えてゼクト、アザリアさんが連れてきたリュカさんが言い争ってる。
「大変だね」
「他人事のように言ってるけど、あれ全部姪っ子殿のせいだからね」
「めんどくさ……」
止めるつもりのないリリアナと気だるそうに見ているヴァーミリオン。近付いたらヤバいと下がっている私たち。
「……あ、というかリオは?」
「ユスティアたちといんじゃね?」
そういえばいないじゃん。今の今まで忘れてた……。
「あー、ユスティア。謝らないとじゃん…」
「まずリヴァイアサンたちへの謝罪だろ」
「みんなは優しいから大丈夫でしょ」
「それ、ただリリアナに強く当たれないだけなんじゃ」
自分たちの生みの親に強く当たるなんて………ハゼルトはそうでしたね。
「なんでも良いけど、あれは止めないの?」
「必要ないだろ」
「あんた、これ以上面倒は嫌だって顔に出てるわよ」
「止めたいならお前が行け。数秒後には死んでるだろうがな」
なんで言い争いを止めるのに死ぬの……。
「あそこは口で終わらないと手を出すからな」
「へぇ。毒舌で相手殺しかける姪っ子殿と大違いだね」
「待って。私そんな口悪い?」
悪くはないけど、言葉の棘がチクチクと。
「嫌いな奴にはそれはもう」
「まぁ、十割あっちが悪いけどね」
「二人がそうやって甘やかすのも理由の一つなのでは……?」
先生とメルトさん、リリアナにめちゃくちゃ甘いよね。
「ハゼルトはそんなもんだよ。親とか子どもとかに関心が全く持てないけど、兄弟とか甥姪には関心持てるし、可愛がる」
それだとシティアル公爵夫人はどうなるんだか。
「アメリア嬢は好き勝手しすぎたのと、価値観の違いだろ」
「価値観の違いなんて誰でもあるじゃん」
「お前らは自分が寝てるときに部屋に来てうるさくして睡眠妨害してくる奴と仲良くできるか?」
ニーチェル公爵、それ実話ですか? 実話だと公爵夫人かな~りやらかしてますけど。
「魔術師たちとニーチェル公爵は仲が良いんだよね?」
「カフニオは一緒にいても疲れないからな」
「発想がすごいんだよ。自分たちとは別の思考で同等の頭脳はそうそういないから話をしてて楽しい」
あー、この二人の一番のお気に入りって、カラシャ叔父さんじゃなくてニーチェル公爵なんだ…。
「カラシャは面白半分で拾って飽きないから置いてあるって感じだからな」
人の叔父をオモチャにしないでください。