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520.最後




あれから結局、森で見た光景が忘れられなくて、どうしようか悩んだ。


ホロウさんが言ってたことも、ちゃんと分かってないし。


ただ、分かってるのは自分がもう神族としていられないってこと。血の色が赤から黒へと変色していた。


「……第二皇女殿下」

「ごめん。忙しいのに」


さすがにシェルさんには言えないし、皇子たちにも話すつもりにはなれないし。


「最後に森行きたくてさ」

「………最後ですか」


なんとなく、分かってはいたのかな。ルシファーさんは私よりも長生きしてるし。


「皇子殿下たちには、伝えてないのですね?」

「うん。言っても言わなくても迷惑かけそうだけど、あんまり心配させたくないし」


もう帰ってこれるかも分からないから。


「それが、第二皇女殿下のご命令ならば」

「……うん。命令」


ルシファーさんは、お願いは聞けないから。命令なら聞けるから、そう言ったんだろう。


やっぱり、優しいなぁ。


「たぶん、もうそろそろ死ぬんだと思う」

「…………怖くは、ないのですか」

「怖いよ。でも、もうどうにもならないし」


森は、前来たときよりも血の匂いも、泣き声も聞こえなかった。


「リリー様…」

「この前はごめんね」


ダメだって分かってるけど、嫌いって気持ちが抑えられないの。そんなことしたら、自分がもっと自分じゃなくなるって分かってるんだよ。


「子どもたちは?」

「家の方に」


大人たちも、私がもう長くないのが分かってるから何も言わないし、これが最後って気付いてるから、今のこの状況で来ることを許してくれてるんだと思う。


子どもたちのところに行くと、部屋の隅で踞ってる子、わざと明るく振る舞う子、いつも通りを演じる子などがいた。


「あ、リリー様!」

「ごめんね。しばらく会いに来れなくて」


まだ幼い子たちは、今の状況を知らないから、私に笑顔を向けてくれる。


「ごめんね。ごめん」

「………どうしたの?」


もう会えなくなるの。ここが戦争に巻き込まれたのも、私が来たいって言ったからなのかもしれないのに。


「私、ちょっと事情があって、もう来れなくなっちゃうの」

「もう会えないの?」

「……うん。ごめんね」


もう、死んじゃうから。ここを傷付けたくないから、会いに来ない。


「今日は、お別れ言いに来たんだ」

「また遊ぶって約束したよ?」

「まだ一緒にいたいよ!」


私もいたいよ。また会いたいよ。


「会いには来れないけど、みんなのこと、見守ってるから」

「本当?」

「うん。約束」


私が死んでも、みんなが大きくなっても、ずっとずっと見てるよ。みんなの子どもも、その子の子どもも。ずっとずっと。


「私が、こんなことしたら、ダメだけど」


みんなを守るために、私ができること、これしか思い付かないんだ。ごめんね。


「祝福、みんなにあげる。いつまでも見守ってるよって証だよ」


私がしてあげれるのは、これくらいだから。


「ごめんルシファーさん。行こ」

「よろしいのですか?」

「これ以上いると、ずっといたくなっちゃうから」


ここで死んだら、みんなにもっと迷惑かけちゃうから。


天界に……正確には、国境付近の世界樹と呼ばれる大樹の近くにまで戻ってきた。


「……………ごめんね。ありがとう、ルシファーさん」


さようならは言わない。言わなければ、もしかしたら、また会えるかもしれないから。




これで過去編リフィア視点は終わり。次回からは別の誰かしらの視点でちょこっと書いて過去編終わり……かな?

「お前が分からなかったら誰が分かるんだよ」

書き手は基本、最初と最後しか降りてこないから中身がとてつもなくグダります。

「中弛みってレベルじゃないからね。これ」

初めてのだし、ご容赦を。そもそも語彙力そんなないのになんで毎日投稿始めたんだ約一年半前の書き手は。


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