519.報せ
ヴァーミリオン視点となります。
あー、ったく。なんでこんなに今回は上手くいかないかね。
「皇女」
「ホロウさん…」
アテナから連絡来て、皇女がいないことを知ったから急いで戻すように伝えた。
今人間たちは戦争中。そんなとこに放り込めばどうなるかは目に見えてる。
「あれが、戦争なの?」
「まだ良い方だ。アテナたちが結界を張ってる。狙われた他二つの地域もそこにいる奴らがなんとかしてる」
本の中の物語では既になく、現実の悲惨な光景となった。
文明が最も滅び、栄え、発展した時代。それが大戦期。
多くのモノが死に、抗い、成長し、生き抜いた時代。
「………大戦は、もっと酷かった?」
「酷いなんてものじゃない。いつ誰が死んでもおかしくなかった。大切なモノを持っているだけバカらしいと考える奴が出てくるほどには」
中には魔法、魔術の使用による代償で自分が何者か分からなくなっていった奴もいる。そういう奴らは、名前を知られることなく、大戦と一括りにされた時代に消されていった。俺が消した。
「名も残らない、記録のない時代。それを簡単に『大戦』とまとめているだけで、豊かな時間もありはした」
それこそ、昔はバカみたいに………いや、今は昔に浸ってる場合じゃない。
「下に降りるのを止めるつもりはない」
ただ、行くのなら、
「いつ自分が消えるか分からない状態だ。覚悟はしておけ」
そもそも、今回で上手く行くとは思ってなかったからな。
皇女を一人置いて、用意されている部屋に向かう。
皇女はもうそう長くない。
龍王に報せを出すか……。だが、どっちにしろあいつはここには来れない。となると、会うことになっても堕ちた後、最悪死体でだな。
「あれは持ち込めねぇし、天界の連中で殺せるかね」
堕ちたモノを止めるには殺すしかない。だが、それすら龍神は困難。そのためのあの兵器だが、皇女相手に使うのは許可が降りるはずもない。
俺らもいるにはいるが、戦闘許可を魔帝から得ていない以上、規律違反。まぁ、正直それはどうでも良いが、いちゃもんつけられるのは避けたい。何より、皇女に攻撃を当てられるかどうかだな。
「加護ってのは面倒だな」
その加護渡したのは俺だけども。
味方であれば心強いが、敵であるときが最も恐ろしい。
皇女の持つ加護は魔法への耐性、感知。
どれだけ不意を打とうがバレるし、当たってもダメージが少ない。
「ジン」
『………なんだ』
「龍王に伝達」
一応、入れといた方が良いだろ。
「数日以内に皇女が死ぬってな」
しれっと余命宣告する悪魔。
「させてるのはお前な?」
「もう九月で焦り始めてるんでしょ」
いや、でも、うん。そろそろ過去編終わるはず……。
「皇女堕ちてからもちゃんと書けよ」
書き手の戦闘シーンのできなさを舐めるなよ。
「別で戦闘メイン書いてるんだから頑張れよ」
恋愛はもう書きたくない。何をどうしたらくっつくのかが分からん。




