511.あれは
……はぁ。
「リフィア、もう一時間で二十回目だよ。ため息」
そう言われても……。
ホロウさんたちは魔界の方でも葬式をするため帰った。いやまぁ、それがため息の原因ではないんだけども。
「寝たいのに眠くないって大変……」
「何その矛盾は」
本当に眠たくないんだよ。
「感覚的には、寝ようとすると叩かれて寝れないみたいな」
「検査受けろ」
「めんどくさい」
やる気起きないし、最近では皇子の仕事手伝って部屋戻ってみんなと喋る程度しかしてない。
「七大天使辺りには言えば?」
「余計な心配かけるとあ!でしょ」
私が仲良い人、こういうときの対応大げさだし。
「でもだな」
「止めときなさいよ」
「ラテも心配だろ」
「こういうのは私たちには何もできないのよ」
?? 原因分かるの?
「無理に言わせてもストレス溜まるだけ。言いたくなったら言えば良い」
「………ありがと」
眠れないのもあれだけど、ホロウさんの最後に話したときのあの表情が気になる。
私と誰かを重ねてた? 自分で言うのもあれだけど、私って結構珍しい色合いだと思うんだけど。だから、似てるってのはないんだよね。雰囲気とかもたぶんないと思う。
「………ねぇ、ラテ」
「?」
「ラテって、ホロウさんと面識あるって言ってたよね」
「あぁ、あいつと。まぁ、ありはするわよ」
「ホロウさんってさ、仲良い神族の女の人とかいた?」
「………………え、なんで?」
いやまぁ、そうなるよね。
「なんか、最期に会ったときの表情がよく分からなくて」
「仲良い神族……」
いたにはいたのかな。
「何人かならいるけど、たぶんリフィアが思う関係ではないと思うわよ」
「参考程度に」
「一人目は花の女神。あいつの友人の番」
番って、私とクロくんみたいな関係の人……であってるよね?
「そんな感じ」
「んー、友人……とは違うんだよね」
「どんな感じなの」
「なんて言うか………その、大事なモノを大切にしてるような?」
「リフィアの語彙力のなさが見えるな」
アルよりあるから良いんだよ。
ラテに聞いてみたけど、誰も該当しなさそう。
「えぇ……」
「リフィアが皇子殿下の婚約者になるはずだったからとかじゃなくてですか?」
「あいつがそれだけでそんな表情するはずない」
「哀れみとかとはまた違ったんだよね」
………考えても無理だな。寝よう。
「さっき寝れないって言ってなかった?」
「…………そうじゃん」
もーやだ。何。気絶すれば寝れるの?
「それ寝れてない」
「意識なければ寝てるでしょ」
「出たよ。リフィアの謎理論」