267.保護者
「………勝手に決めないでよ」
「「変なのにされても困る」」
「服の調整どうしようね」
「髪の色もメルトみたいに変えた方がよくね?」
「色素薄くして銀色にすれば?」
などなど、本人の私は蚊帳の外で大いに盛り上がっている。
「顔立ちでバレない?」
「さすがに人形持たせるのもあれだから魔力制御の魔法かけた布で顔覆えば?」
「リリアナちゃん、何色が良い?」
「黒か白」
こうして時折私の意見が求められる程度。正直、暇である。
「……ゼクトとユートは何してるの?」
少し端で話をしている二人に構ってもらうことにした。
「ずっと眼帯着けてるとイタい奴じゃん」
「だから別の格好して動けば? ってゼクトが。顔隠す状態にして髪色とかも変えれば入れ替りもできるだろ?」
「声は魔法で変えりゃバレないからな。んで、どうせなら魔法かけたやつ作れば一々魔法をかけたり消したりする必要ないって話をな」
確かに入れ替わるならそっちの方が楽だろうね。にしても、入れ替わり………。
「リリーはダメだぞ」
「身長の差がね。今度近い身長の造れば? そいつと入れ替りすれば良いと思うよ」
「まず保護者に相談な」
保護者何人かいるんだけど。ユイ、エヌ、メル、第四、第六、一応第一と元第四もそうだよね。
「いすぎぃ……」
「一応、まだシティアル公爵が保護者なんだけどな」
「会ったことないから、ノーカン」
「そろそろハゼルト侯爵令嬢に変更されるんじゃない?」
そんなことを話していると、屋敷に張っている結界
誰かが通り抜けた。魔術師たちは全員ここにいるし、ユイたちは別室にいることは分かっているため、知らないのということになる。魔術師たちに言った方が良いのだろうが………。
「見てこよー」
「あ、おい……」
なんでもかんでも見られるのはあれなので黙って見に行く。どうせゼクトとユートついてくるし。
人の気配を探ってそちらに向かうと、何故か裏庭。どうやったら正面からここに来るんだ?
裏庭にいたのは若草色の髪に黄色の瞳の十四、五歳の女性。こちらに気付くとにこりと笑って近付いてきた。
「はじめまして。ここのご当主様はどこにいるか分かる?」
「「………」」
ゼクトとユートが私を指してきた。
確かにここの管理者(?)とかではあるんだろうけど、当主じゃないから。
「………一応、私の家、です」
「お母さんやお父さんは? 大人でも良いのだけど」
「二人とも、今いない。大人はなんか盛り上がってて手が離せない」
嘘は言ってないからね。二人ともここにはいないし、魔術師たちは盛り上がってるし。
「そうなの……。私ラテ! あなたは?」
「リリアナ」
「ゼクト」
「ユート。リアの面倒見役」
ユート、一言いらない。
新年二日目、欲しかった小説が売ってあって六千円が消えた書き手です(バイトしててよかった……)。