258.話が逸れる……
「酷い目に合った」
「どこ飛ばされたの」
「飛ばされたと言うか、何と言うか…」
「…………ぶふっ!」
ゼクトの心を読んだのか、一人が笑いを堪えきれずに吹いた。
「……君、よく無事だったね」
「壊してきたから問題ない。匂いも臭かったから消した」
「ちなみに、どこ」
「別大陸のやつ」
結局どこに行ってたの。
「で、今どこまで話した?」
「姪を保護するってとこ」
「………姪?」
「何回か呼んでたのに今更?」
聞いてなかった。
「ハゼルト侯爵家当主代理のシエルだ」
「シエルの兄のメルト。君の母親は自分たちの妹だよ」
「十三代前の当主のフェミルだ」
十三………かなり前だな。
「ハゼルトは一番力を持ってるのが当主になる。その関係上、身内の殺し合いも絶えなくてな。生きるために殺した結果がいりもしない当主の座だ」
「兄弟姉妹多いと大変だね。自分たちは親殺せば良いだけだったけど」
「結局メルトは当主になんなかったけどな」
「リーダーが悪い」
「え……」
なんか飛び火してるけど。
家の継承権って、普通長男でしょ?
「そもそもで、なんで私が時期当主って話になるの?」
「俺の(一応)番が面倒だから」
人に番なんてないでしょ。何言ってるんだ。
「幼少期に契約者として喚んだら番にされた」
変な悪魔もいるな。人を番にしてもせいぜい百年程度しか生きないだろうに。あれ、でも十三代も前のが生きてるし……。
「三家は上位種の血を持っているからな。それに加えて魔力も多い。二千年は殺されなければ生きる」
「そう考えると、四十で死んだあいつら、早死にすぎる?」
「三十後半で死んだのがいるぞ」
「あれ、自分らそんなだっけ?」
自分の年齢くらい覚えとけば?
「俺ら三十七辺りじゃなかったか?」
「年齢の必要性が感じられないから数えてない」
「律儀に十年に一回くらいで祝ってくるのが出るぞ」
「なんで十年……」
「毎年やってたら『ウザい』って言われたから」
だからといって何故十年?
「最上位種が十年で一年カウントだからだろ」
「リーダー、適当だしね」
「俺らが言うことではない」
ほんとにそれだからね?
「君がそう思うのもあれだけどね?」
「……話どこいった?」
「君を保護するから承諾して。で、その後皇宮に行く」
皇宮??
いや、どんな場所かは分かるけど、なんで行くの?
「皇帝がね。とりあえず一回来いってさ」
「俺らへの苦情ついでに姪のこと見たいんだろ」
さっきから姪姪って、私ちゃんと名前あるんだけど。
「自分たちからしたら姪っ子だし、名前で呼ぶと距離が近いだのなんだの文句言うバカいるから」
………まぁ、いっか。どうせだし。
さて、クリスマスイブに家で一人放置されてる書き手は何なのでしょう……。皆さんは明日予定とかありますか?