248.人格
「………ねぇねぇ」
「?」
いや、誰かなってね?
「誰だろね」
「いや、私に聞かれても」
「まぁ、別に良いでしょ」
それはそうだけどね。
現在部屋には一人。会話は三人。
イマジナリーフレンドではない。ほんとに何かいるのだ。
「不便ではないよね」
「話し相手できたし」
「いや、不思議に思った方が良いからね? 二人とも」
そうは言われてもねぇ。正直何とも。
「不便さある?」
「ない」
「なら問題なし」
「変な人って思われるからね?」
それは一言も喋ってなかったのに急に動き出して喋り出すよりも変?
「それを出されると何も言えないからねー」
「黙らせるには丁度良い」
「こら!」
しかしまぁ、身体一つに三人とは不便なものだからどうにかしたいものだけれども。
「………精神体を顕現するって、できないの?」
「やろうとすればできるんじゃない?」
「試しにユイにやってみる?」
ユイだけ人形のままってのもあれだし。
「そんな魔法ある?」
「ないなら作る。これ常識」
「非常識だからね?」
「「そんなの知らない」」
「この非常識二人の保護者役嫌なんだけど」
ゼクトの味方が増えるね。
精神干渉系統で、顕現だから召喚系統もかけ合わせた方が良いかな。ユイはベースがあるし、それを元にイメージして。
「………こんなもん?」
「失敗したらまたやれば?」
それもそうだ。
魔法陣を描いてそれの上にユイを置き、魔法を発動させる。
「…………これ、ゼクトにバレたら説教どころじゃないね」
最近話してないけど。
「…主様方、実験は結構ですが、それは深夜にやることで?」
あ、待ってこれヤバイかも。
魔法の成功でユイは人形姿ではなく、人の姿で動いたりできている。ただ、現在時刻朝一時。そしてどう考えてもユイはしっかりしたお姉ちゃんみたいな感じで。まぁ、つまり、説教確定なのだ。
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「いやー、できるもんだね」
「主様?」
「………」
ユイ、ちょっと怖いから。
「二人の名前、どしよか」
「何でも良い」
「変なのじゃなければ」
暗に私のネーミングセンス悪いって言ってる?
「呪いに『ルア』って名前付けた理由」
「名前あった方が何かあったときに分かりやすい」
「名前の方の意味は?」
「ない」
「「………」」
あぁ、ちなみに言うと、この二人も顕現できた。制限はあるけど。
「じゃあ、『フロラメル』とかは?」
「お、私それもらいー」
「……なら、私は『ノーネーム』って名乗るかな。名無しだし」
「『クライシア』とか良くない?」
「自分で付けたので良いかな」
それ、名前って言っていいの?
「本人が名前って言ってるし、良いんじゃない? 長いから『エヌ』ね」
「名前付けてから約五秒で略された…。そうなると、あなた『メル』あたりになるけど」
皆で呼び合う名前付けるの良いね。
「となると、主様は『リア』とかになるんですかね」
「そうなるんじゃないかな」
「んー、私とエヌは分類は人間になるのかね」
急に入ってきたね。知らないよ。なんで二人がいたのかも分からないし。
「一応、『多重人格者』ということになるでしょうね。私とメルはリアの感情……心から生まれたものだから」




