表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

229/557

228.逆行人との出会い




ある日、ゼクトは誰かに呼ばれてしまったため、兄と一緒に森にいた。普段ここで過ごすから、大抵の地形は把握できている。

この森には、人が来ることはほぼない。入れば二度と出ることができないと言われているらしいから。

けれども、


「…………! 誰!?」


急に現れた人の気配に、兄が警戒し、私も一歩後退りはするものの、警戒する。


「………誰」

「あ、えと」


十三から十五程の女の人。

言葉を詰まらせ、焦っている。


「私、日奈」

「ヒナ?」


服装から、貴族なのだろう。だけど、何故ここに。


「……にぃ、大丈夫」


敵意はない。そこまでの脅威もない。あるとすれば、異様な魔力だけれど、問題ない。


「…………シアがそう言うなら」


兄も警戒を解きはする。


「何してるの?」

「…………にぃは人と会っちゃダメだから」

「ふぇ?」

「にぃと人前で話すと、怒られる……」


できるだけ他の人みたいに、流暢に話すことはできる。長くはないけど。


「そりゃあ、シア。誰にも見えない相手に話してたら正気を疑われるだろ」

「見えてる人居るよ?」

「特殊なんだろ」


兄は人に認識されない。死んでるから。私が見えるのは魔力の共有を行っているから。ゼクトは普通に見えるらしい。原理は知らない。


「………ねぇ、にぃ。分かってないっぽいよ」

「そりゃそうだろ」


普通は理解できないだろうね。知ってたけど。


「どうするの?」

「……………見たところ、逆行人だろ」


逆行人。確か、時間の捻れに入ってしまい、過去か未来、どちらかに干渉してしまった存在。もしくは、世界の意思が何かを変えるために送る存在。


「知らなくて良い」

「あ、はい……」

「………」


魔法でいろいろと調べてみるけれど、よく分からない。


「俺はルグ。こっちは妹のシア」

「よろしく」

「あんたは逆行人と言って、簡単に言えば迷い人。どうやって来たとかは分かんないけど、シアが警戒しないのは珍しいし、特にどうこうする気はないよ」


念のため、こっちの名前を使う。


「逆行人はいろいろな例がある。街を歩いてたらだとか、寝ていたらだとかな」

「あれま……」

「寝ていてなら、目が覚めれば良い。歩いてたとか言ってる奴はいつの間にか帰ったとか言ってたな」


全部、母親の記憶覗いて知ったことだけどね。


「それまでは、まぁ。ゆっくりしな」

「…………」

「ごめん。シアちゃんの視線が……」


……さすがに見すぎた。どうにかならないかと聞かれたけど、私的にこの人気に入ったし。


「シア」

「………」

「気に入ったのは分かったから」

「……………」

「それは本人に聞こうか」


視線だけで兄に伝えると呆れられた。

良いじゃん。ゼクトも兄も男だし、女の人の話し相手欲しいんだもん。


「………ヒナねぇ」

「愛いのですが?」

「シア、良いって」


やったね。


「さて、そろそろ時間っぽいな」

「へ………?」

「多少時間が歪んでる。また会うかは知らんが、そんときはそんときだ」

「じゃーね」


ヒナねぇは帰っていった。というより、消えた。まぁ、帰ったんだろうけど。


「なーんか不思議な奴だな」

「ね」




今回はかなり前にアイリス視点で書いたもののリリアナ(シア)視点でした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ