216.ハプニング
「当主代理に子どもはいないんですから、継承権が私に移るのは当然でしょう」
リリアナのその言葉でさらに会場は冷える。
「どういうこと!?」
「お兄様は公爵家を継ぐんですから、私が継承権第一なのは普通では?」
「そっちじゃないわ! ハゼルト侯爵が代理っていうことよ!」
「そりゃ、俺が当主として不適合だからだ」
リリアナが何か言う前に、先生が声を出す。
「第二子の俺は後継者としての教育はされてない。継ぐはずだった奴が継げなくなったから俺が一時的に継いだ。先代皇帝には許可を取っている」
「でも、あなたはハゼルトに行くことを拒否して!」
「ハゼルトに行ったところで変わらないのなら、面倒を避けるに決まっているでしょう?」
さも当然のように決定事項だと言うリリアナは、明らかに異質に映った。
「………! ゼクト」
「クソ、ここでかよっ」
ゼクトがフレミア侯爵令嬢を抱えて急いで下がり、リリアナも急いで下がろうとした。けれど、
「~~~っ!!」
「リリアナ様っ」
リリアナの右腕が斬られた。明らかな攻撃。魔法をここで使うことは禁止されているにも関わらず。
「…………千樹教っ」
「ほぉ、知っていましたか」
保護者たちのいる場所から現れたローブを被った複数人。ローブには木葉の小さなブローチが付けられている。
「……あなた方には、随分と手を焼かされましたからね」
「それはそれは! あなた様方には是非とも我々にご協力お願いしたいものですな」
「人の腕を斬っておいてそれですか」
千樹教。かなり危険な宗教団体のはず。
「こちらの意思は変わりませんよ。我々ハゼルトは、神を越えようなどと思わない」
「神を越える力を持ちながら何故それを得ようとしないのですか!」
おそらくこの中の一番上であろう男が興奮したように口を開く。
「神の血をその身に流し、死することのない身体はまさに不死身! 驚異的な回復能力、陣無しで行う魔法に魔術! 神の子であるあなた様方が何故それを拒むのです!」
「………その血の力の結果、ハゼルトは多くの犠牲と共に生きてきた。俺たちがお前たちと歩むことはない。これ以上この場にいるのなら、権限を使う」
先生と何人かが殺気を出す。
「魔法の使用禁止はあくまで一般がだ。ここで戦闘可能なのが俺だけだと思うな」
「………ふ、はははっ! 我々が、何の策もなくあなた方の前に来るとでも?」
その一瞬で、会場を囲う結界が形成される。
人を閉じ込める結界? ………違う、複数ある。
「一番の脅威は『呪い』。対呪い結界。これで、あの忌々しいものは入ってこれない」
盛り上がってきますね!?
「続き早よ書け」
うっさい、戦闘シーン苦手なんだよ!
「「なんで戦闘アリの書いてるんだよ」」
書きたいからですが?




