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195.謎の兄




「リリアナちゃんとゼロちゃんのことはゼクトが一番知ってるでしょーしね」

「ないな。百ない。賭けても良い」

「そこまで?」

「謎の兄がいるでしょ、あそこ」


それはゼロさんであってリリアナの兄はユラエスでしょ?


「あの無名でしょ? 名付け親が自分の妹の」


ん?


「実体がないだろ」


ん??


「え、あれ生きてるんじゃないの?」

「死者だろ?」

「それだと魔塔公認で死体操ってることにならない?」

「? 実際やってんじゃん」

「え……」


待て待て!? 話に追い付けないんですけど!?


「ストップ。ゼクト、知ってること全部話せ」

「全部言った。聞いたもので理解しろ」

「ゼクト君、雇用主にその態度はヤバいでしょ」

「どうせ切れないから大丈夫だろ」


クビにされないの分かってて公爵にこの口振りなの相当だよ。


「ゼロさんの方の兄は」

「リオ」


あそこ兄妹なのね。


「リリーちゃんの兄はユラエス君でしょ?」

「俺が知る限りもう一人いる」


いるんだ……。公爵も知らない新事実。


「一卵性双生児に稀に起こるもので互いの魔力の波長が合うと母胎の中でも意志疎通が可能らしい。リリーが言うには、ある日片方が消えたんだと」

「消えた?」

「生命維持活動が不可能となって、しっかりと身体が作られていなかったために母胎の中で自然消滅したんだ。ただ、予想外だったのがリリーの行動」


リリアナの?


「ハゼルトは生まれてから約二年、意識が定着しないんだ」

「定着?」

「話を聞いたり考えたりはするものの、自分で動かない。言われたことをただこなす人形みたいなもん」

「なるほど?」


で、それと何の関係が?


「ハゼルトには必ず側付きがいる。ただ、これは『ハゼルト』だからであって、他にはない習慣なんだ。リリーはそれに、実体のない兄を選んだ。意志のない状態でも唯一分かる存在を」

「だから兄の方も完全には死ななかったんだ。ただ、他人からは見えない。再従妹殿はかなり気味悪く写ったろうね」


ハゼルトでは当たり前のことでも他ではあんまりないことだからってこと? でも、さすがに侍女とかはつくでしょ?


その疑問に答えたのは、ゼクトではなく部屋に入ってきたメルトさん。


「ないない。姪っ子殿が人を嫌うの、あそこにいたバカどものせいだから。さっさと回収しなかったこっちの不手際でもあるけどさ」


回収て……。物じゃないんだからさ。


アメリア(あいつ)がハゼルトの使用人たちに厳しい目で見られてたのと一緒。姪っ子殿はハゼルト以外じゃ、完全に異質だったんだよ」






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