190.死にたいのであればどうぞ?
リリアナ視点となります。しばらくはリリアナ視点が続くかと。
「行事と言うのは」
「そこまで話す義務はないかと。死にたいならどうぞ。伯父様に直接ご確認ください」
質問をしてくる方ににこりと笑顔でそう言うと押し黙ります。
伯父様怖いですもんね。死にたくないからが九割でしょうけど。
「………何か質問があるならしろ。ないなら閉める」
「では、こちらから」
サーフェルト公爵様からは意外ですね。てっきり私たちを蹴落としたい方たちからかと思いましたが。
「ハゼルト、魔塔、神殿の立ち位置を明確にして欲しく」
「………それをここでする意味、必要性を問おうか」
「誰かさんが要請に応じないからですね」
逃げられないと判断してですか。
今回のは私に主な容疑が来ましたが、ハゼルト全体に、つまり伯父様にも質問は可能な訳です。そして、今回のに魔塔や神殿が関与していないことを証明しろ、と。
伯父様がこちらを見てくるので笑顔で答えます。
隠す必要がない場所は喋ってしまってかまいません。
「神殿は今回のことは無関係。魔塔は動くかどうかの審議が行われた結果、この地域一帯の管理を任されている第四魔術師、及び前第四魔術師が第三者として動いている。俺が動いたのはそれこそ騎士団からの要請だ。そこのバカに聞けば分かる」
物は言い様。第四様は確かに第三者として動いていましたから。
「ハゼルトは基本魔塔の指示を待つ、もしくはあいつの言うことを聞くことになってる。神殿に関してはそろそろ和解でもあるんじゃないか? 魔塔に至っては中立とだけ」
適当ですね。魔塔は実際中立だし、神殿とは大新官の立場にこちら側のが何人かいますから、和解もそろそろでしょう。
「では、北の神殿については?」
「………現時点でこちらにそれに関するものを答えることはできない」
あそこはかなり昔からありながら、誰も使っていませんからね。何より、ゼロについても公爵様たちには知られていますから。
「黙秘ということですか?」
「立場上のことだ。あそこにいる人物については、上位である第一魔術師から第四魔術師までが情報の開示を行われている。他が知っているのはそれの素性や出身国など。あいつを扱うに至って特例で教えられてはいるが、情報の開示は違約。あれが提示してきた代価が『対象者の命』である以上、俺から開示できるものはない」
伯父様がそう言った瞬間、辺りが一斉に騒がしくなりました。それはそうでしょう。この国で一番腕が立つ魔法の使い手ですら、自分たちの知らない何かに従う。何より、ハゼルトは他者に従うことはほぼありませんから。
「数名はあいつのことを知ってはいるが、全て魔塔から契約、もしくはそれに類似する魔法により制限がかけられている。本人の意を介さずに喋れば全員死ぬだろうな」
それぐらいのこと、平気でやりますからね。