187.書庫ってより、図書館……
翌日、書庫に案内してもらったけど……。
「………書庫、と言うより」
「図書館、だな」
想像してた書庫と違い、図書館と言っても違和感がないくらいでかい。まず、別館に案内された時点で気付くべきだった。
「……リリーちゃん見つけるの不可能では?」
「いや、本の塊見っければいけるし、たぶん奥にいるはずだから分かりやすいと言えばそう」
「禁止区域いないよね? あそこ許可ないと行けないけど」
「さすがに行ってないことを願う。俺も入れないし」
手分けして探すのは広すぎて会えなくなる可能性大なため、却下された。
「うわぁ、これ何の本?」
「手前は確か基礎魔法だったはず。属性別にあるから見やすい」
これ全部魔法書ってマジか。
奥に進んで行くと、ゼクトが言っていた通り、本の塊が。
「リリー」
「…………」
「あ、これ聞こえてねぇ」
「んぁ、聞こえてますよ」
「返事しろ」
うん。床に座らないの。
「何読んでるの?」
「神話です」
「出た。ノータイトルの謎神話。しかも実話の」
神話でノータイトルってある? しかも本で。
「再従妹殿それ好きだよね」
「飽きないですからね」
「ちなみに内容は?」
「神族の皇女と悪魔の皇女のお話です。まぁ、結局二人死にますけど」
バッドエンドものかい!!
「リリアナちゃん、ハッピーエンドものとか読まないよね」
「ありきたりじゃないですか?」
「そう?」
普通、物語ってハッピーエンドだし、それが読みたくて読むもんじゃないの?
「結局、めでたしめでたしで終わらされるものも、現実であれば続きがある。では、その続きでも本当にハッピーエンドなのか? そう考えると、あまり好きではないんですよ」
「だからってそっち系読む?」
「結構面白いですよ?」
リリアナの周りにある本は子ども向けの童話や難しい魔法定義論などなど、様々。
「………ねぇ、毒の製造法とかのがあるのは」
「適当に取ったので」
「錬金術とかあるわよ」
「あんまり楽しくなかったですよ」
錬金術もあるのかこの世界。なんでもありだな、ほんと。
「………え、やったの?」
「やりましたね」
「錬金術って禁止項目だったような」
「あるのが悪い。以上です」
「やるのが悪いでしょ」
禁止なら普通禁止区域にあるのでは?
「………お前、勝手に持ってきたな?」
「そんなことないですよ。そこら辺に浮いてたから読んだだけです」
「なんであそこの扉開いてるんだよ」
「それは私が昨日行ったからですよ?」
当たり前じゃないですか、みたいな顔しない。扉閉めなかったからこっちまで来たんでしょ。
「………リリー、他が出てくる前に閉めろ」
「自分で閉めれば良いじゃないですか」
「ハゼルト以外が行くと呪いくらうって話をしてやろうか?」
「はいはい、閉めますよ」
仕方ないみたいに言ってるけど、開けたのリリアナなんだから自分でちゃんとしなさい。