178.懇親会
「懇親会、私が出る場所じゃない感が……」
「公爵家の婚約者なんだから大丈夫でしょ」
「シャキッとなさい」
懇親会(と言っても実際は他国との交流会)当日。
行く気がまったくなかった私の元にティアナが突撃してきて準備させられ、連れてこられた。理由は三学期に入って少ししてからサジュエルと婚約したからですね、はい。
さすがに公爵家と婚約するからいろいろと書類やらなんやらあり、最近ようやく婚約した。で、サジュエルも出るからと参加。
「先輩、よく出れますね」
「はじめは胃がキリキリしてたけど、もう慣れたわよ」
「クラリッサはユラエスどこに置いてきた」
「王太子殿下のところよ。再従兄弟の会話に私が入るのもあれでしょう?」
先輩、喋るの大変だからって逃げてきたでしょ。真面目なのにこういうところは前世と変わらないですね。
「ティアナたちは?」
「ティアナはエルヴィスが連れてる。アストロはたぶんオリヴィエのお守り。リリアナ嬢とゼクトは殿下といるだろうね」
「あの二人、お見合いどうなったのよ」
「アストロが自国の令嬢じゃなくて国外の令嬢との婚約の方が利益出るとか言ってなくなった。まぁ、今更見合いなんかしてどうなるんだってものだが」
確かにそこ二人が見合いしたところでもう出し合う情報ないね。
三人で話していると、誰かにぶつかってしまい、転びそうになった。
「わわっ! ごめん、大丈夫!?」
サジュエルに支えてもらったから平気だけど。
ぶつかったのは男性で年はたぶん同じくらいでこの国の人ではない。懇親会に出れる爵位の人の名前と顔を来る途中で叩き込まれたけど、うちの国の欄にはなかったはず。
深紅色の髪に赤紫色の瞳の青年、お転婆そうなイメージ。
「おい、勝手に彷徨くな。ご令嬢、連れが申し訳ありません」
「あ、いえ」
後から来た人に回収されかけてる。
こちらは藍色の髪に紺色の瞳でモノクルを着けている。偏見だろうけど、モノクル着けてる人って頭良さそう……。
「それより、見てみろ。この子すごいぞ」
「………まず、常識を見ろ」
普通に貴族のマナーではないよね。
その後も、あーだこーだ目の前で言い合う二人にどうしたものかと悩んでいたけれど、リリアナが来てくれたおかげで終わった。
「………二人とも、人に迷惑をかけない約束で入れたのに何してるんですか」
「知り合い?」
「ハゼルトの方のですね。赤髪の方はフルフェル・クロッシュ・エルセリト様。西側に位置する大国の公爵家の方です。藍色の髪の方はアルセルグ・トゥレット・バレリア様。第二様の遠縁の方で公爵家の方です」
「アルセルグです。よろしくお願いします」
「フルフェルだ。よろしく」
二人とも公爵家。ハゼルト繋がりってことは、魔法関連?
「さて、我々はこれで。あまり話し込むとバレるからね」
「勝手にこっち来ている時点でダメでしょう」
「「言われたくない奴に言われても」」
「今から第二様の元に飛ばしても良いんですよ」
「とにかく帰るぞ。魔術師によろしく頼む」
アルセルグさんがフルフェルさんを引っ張って会場を出ていった。
で、リリアナは殿下どこに置いてきたの。
新しいやつ投稿したい。でも毎日投稿かなりギリ……。
新作を連載するか迷ってる書き手です。