171.テストないのは良いけどさぁ……
第四章スタートです!
冬休みも終わり、三学期。
まだ少し肌寒い。
「三学期は初手でテストないよね」
「テストはないですね」
テスト以外の何かはあるのね。嫌すぎ……。
「大丈夫ですよ。一日使うか分からない行事をするだけですから」
「最初の行事は、闘技だね。毎年一年生は他学年とはやらないから平気だよ」
殿下の言葉で安心したのもつかの間、珍しく朝からいた先生の言葉で不安になった。
「今年は全学年でやるぞ」
「「「…………」」」
行事内容を知ってるリリアナ、殿下、エルヴィスは沈黙。
止めてよぉ!
「ここ二年はゼクト独り勝ちだからどうにかしようってなって、競争相手がいる一年も参加。ゼクト、王太子、姪の三つ巴。そこにお前ら集まりと三年も入れば面白いだろ」
「提案者は」
「メルト」
なぁんで学院の関係者じゃない人の案が採用されてるんですかね?
「絶対見せ物になるじゃないですか」
「関係者以外は入れないから大丈夫だろ」
その関係者に誰が含まれてるんですか。
「ゼルメルたちは来ないぞ」
「お父様が来るはずないのは知ってます」
リリアナ、止めたげて。公爵も頑張ってるんだから。
「関係者って誰ですか」
「メルトとばあさんは決定」
「魔塔に誰もいないは止めてくださいね?」
「下の奴らが残るだろ」
つまり上の方の魔術師たちは来るんですね。
「来ても見えないだろうから問題ないだろ」
問題はあるんですよ。かなり。
「それと皇子。放課後俺のとこ来い」
「え」
「じゃ、始めんぞ」
いや、それで普通に始めるのマジですか。
「三学期はじめだが、一週間後に『闘技』だ。毎年のことだが、変更点が一つ。今年は全学年一斉だ。そのため、他学年とももちろん当たる。三年四人にだけは当たらないようにしろ。即退場になるからな。それと、成績にも影響するからな」
成績にも影響するの!?
「ま、頑張れ」
そう言ってさっさと出ていく先生。
…………思い出した。イベントだこれ。
『闘技』三学期最初のイベントで、これの成績によってハッピーエンドに行くかバッドエンドに行くかが決まる謎イベント。
なんでこのイベントで決まるのかね。サジュエルと悪魔の方に至ってはこのイベント関わりゼロじゃん。
闘技の内容はシンプル。丸一日の授業を潰して行う模擬実戦。一年は学年のみでの、二・三年は合同でやる。最後の一人になるまでやるという実戦形式であり、魔法、武器なんでもありのルール。唯一ゲームと違うのは全学年一斉の部分。
「ゼクト君たちいるのかぁ……」
「四強一気に来たらヤバいね」
四強??
「ゼクト、お兄様、アストロ様、オリヴィエ様の四人のことです。去年一昨年で四人が二時間近く最後までやってたから四強ですね」
「去年、リリアナは見たんだよね?」
「見せてもらいましたね。ゼクトとオリヴィエ様、お再従兄様がどう来るか」
ユラエスとアストロさんは平気なんだ。
「早くに脱落するとクラス変動するので頑張りましょうか」