16.情報屋
「伯父様にもう回したので、そちらにどーぞ」
「オリヴィエ、吐け。今すぐ知ってることを言え」
「私知らないよー」
えー、はい。
呪いの件から二日後、ムフロフ侯爵が放課後に来て、リリアナと何故か居るオリヴィエさんと話(?)をしている。
「調査が進まないだろ」
「シエルさんが進めてるよー」
「勝手に処理するだろ!」
「仕事が減って良かったじゃないですか」
しれっと言葉を返していく二人。
いやー、私たちこれ居ても良いんですかね。
「あれはこちらで調べてますし、他の方で調べてもらった方が効率が良いかと」
「…………リリアナ嬢。君はどこまで知ってるんだ?」
「団長たちが必死にある人物を探しているのは知ってますね」
事も無げに言っているけど、ムフロフ侯爵はかなり驚いている。
この感じだと、秘密とかなんだろなぁ。
「私が言えるのは、現段階で見つかることはないと言うことです」
「居場所を知ってる物言いだな」
「個人的に気に入ってますから。あの者は客を選びますよ。自分に利益をもたらすかどうかを」
騎士団の前に姿を晒せば不利益になるのは目に見えている、と言うこと。
「ゼロナナが表に出るとなると、余程のことですよ」
「あの子は疑り深いしね~」
「…………はぁ、お手上げだ。さすがに部が悪過ぎる」
降参だ、とムフロフ侯爵が両手を挙げ、ため息をつく。
「夜にある酒場で『不可思議なものをくれ』と言えば会えますよ」
「場所は?」
「ご自分でお探しください」
ヒントはあげたから、とさっさと帰ってしまう。
呆れ果てたのか、ムフロフ侯爵も教室を去る。
そして、残ったメンバーの中に、目をキラキラと輝かせる人物が。
「今日、行こっか!」
こうなるのである。
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「……こうして城を抜け出すのは初めてだな」
「こんなことをしてたらそれこそ問題だろ」
あはは、ホントだよ。
えー、夜。抜け出しましたね。はい。
いやー、あの後、行こうってなって、ティアナはやる気満々だし、殿下は乗るし、エルヴィスは諦めるしで。
「まま! とにかく酒場へレッツゴー!」
と、行ったは良いものの………。
「………おい」
「はい……」
えー、はい。酒場に着いたと思ったら、ユラエスとアストロさん、サジュエルとエンカウントしました。
「あのなぁ……」
「これは、うん。タイミングが悪過ぎたね」
「お前はお前でこれを甘やかすな」
アストロさんがユラエスを小突く。
いや、あの、はい。反省してます。もうやらないとは言わないけど……。
「お前たちはこんな夜中に何をしに来たんだ。しかも酒場に」
「えと、じょ………むぐぐっ」
バカバカバカ! 正直に言おうとしないの!
エルヴィスナイス。
ティアナは口を塞がれ、もごもごと言っている。エルヴィス、ちょっとそのまま押さえてて。
「お前ら、今すぐ知ってること吐け」
あ、あはは。
情報屋のことを話したら、凄い怒られた。
当たり前だけどね。