159.どんな問題よ
「つか、姪はあれ終わったのかよ」
「まだですが? 後三ヶ月もないのにまだですよ。えぇ、それはもう。一割も解けてませんが何か?」
「君、解く気ないでしょ」
「ありますよ。全力で考えてこれなんです」
何があった。
「ヒントください」
「頑張れ」
「普通に生きてたら解ける。以上」
「何もない」
「ゼクト」
「頑張れ」
リリアナが解けないってどんなのよ。
「逆になんでそんな悩むの? って感じだからね。再従妹殿」
「これ解けないといろいろと終わるんですよね………」
「自分も面倒だからやりたくないから頑張って」
「これを撤回すれば良い話では」
「それじゃ他が納得しないんだって。特に下位の奴らが」
リリアナやりたくなさそ。
「あ、姪がこれ解けないと婚姻も無理だからな。強制的に」
「!?」
「後三ヶ月もないのに間に合うのか」
「最悪あっちのゲームで勝てばいけます」
「「「問題を解く努力をしろ」」」
「だって~……」
リリアナは本当に何をしてるのよ。後、そういうのは殿下にちゃんと伝えなよ。キャパオーバーで殿下動き止めちゃったよ。
「分からないものは分からないんですよ」
「猶予が十年近くあったんだけど」
「九割近く使っていまだに一ミリも出てませんね」
「うん、君さ。答え出なかったらいろいろまずいって分かってる?」
「正解も不正解もダメってどっちですか」
なんだその問題は。そりゃリリアナも解けないでしょ。
「…………それはおいとくとして、もう夜なんだけどあのバカは?」
メルトさんが窓の外を指す。
見事に真っ暗。
「いつも通りです」
「帰ってくるのを期待してない」
「あの人に親としての概念あるのか聞きたい」
ゼクトは雇用主をよくそんな風に言うね。リリアナとユラエスはもうそれが当たり前って顔してるし。
「君ら、よくここにいようと思えるね」
「「学院に寮がないんです」」
「寮あったらここにいねぇわな」
寮がなくて良かったと思える瞬間。
寮あったらリリアナ三年間寮にいてその後卒業してすぐ婚姻だから帰ってこないじゃん。
「一人無理なのがいるから止めて欲しいけどな」
「一人でできてるじゃないですか」
「『自分のことを何もしない』奴がいるから寮があっても許可が出せん」
「ご飯作れる、支度できる。大丈夫ですね」
できないって言ってないのよ。しないって言ってるんだよ、リリアナ。その反応は自分ですって言ってるもんだからね。
「別に死ななければ良いんですよ」
「良くない」