158.プレゼントの裏側
「…………テーブル上に何故菓子しかないのか」
「子、そろそろ栄養失調で倒れるぞ」
「今更ですので」
夕方五時頃、先生とメルトさんフェミルさんが到着早々、これである。
テーブルの上には大量のお菓子。本当にこれが夜ご飯になりそうなくらい減らない。
「何も食べなかったときよりマシですから」
「それ、ただ君の好き嫌いが激しかっただけだろ」
「今から毒入りの食事食べます?」
「君本当に公爵令嬢かってくらい扱い酷いね」
リリアナ、幼少期にどんな生活送ってたのよ。
「それはそうとして、ほれ」
フェミルさんが中くらいの何かが詰まった袋をユラエスに渡す。
中身は、お菓子?
「何をやれば良いか分からなくてな。それで我慢してくれ」
「あ、ありがとうございます」
ユラエスは中に入っているお菓子の一つを取って食べる。
美味しそう………。
「…………似てるな」
「何にですか?」
「私の子どもにだ。あれも、私と一緒でなければ子の兄のように育ったのかもな」
フェミルさんは目を細める。
「あまりこういう場では話さない方が良いか。配慮が足りなかったな」
「いえ」
常識人がいる。魔術師に常識人がいる。
「これら二人よりも私の方が年をくっているし、何より夫子持ちだったからな。できるだけ怖がられないように努めているんだ」
「そりゃどこぞの二人より配慮あるよね」
「別にいんねぇじゃん」
「不必要でしょ。やろうとすれば皇族だって言うこと聞くんだし」
終わってるな、この二人。
………あれ?
「………リリアナの魔法のプレゼントってさ」
「陛下に権力使ってやらせてもらってますね」
ここにもやってる人いたし。
「普通に考えれば、あの規模の魔法を無許可は不可能なんだよな」
「毎年許可されてるから当たり前になってる」
「普通は何日もかけて審議されるのをごり押してるからな」
「安全性を示してますし、今のところ被害ゼロですから」
今のところってのが不安なのですが。
「ほとんどが攻撃魔法の転換だからな……」
「!?」
「今年のは運用できないって嘆いてたね」
「あれは被害が出過ぎる可能性があるので」
待て待て、何に使うつもりなの!?
「………あれが全部…」
「普通に見れば綺麗なんだけどね」
「裏を見るとかなりの数実験しての及第点なんだよな」
「去年のは自信作です」
「水の庭園ね。どこからあの量引っ張り出したのよ」
「魔法で海の水隔離して所有空間内に保存。見えない位置に穴を作って魔法で操ればできます」
とんでもないことしてない?
何、海から水取ってくるって。規模ヤバいでしょ。
「………もう二度とやりたくない」
「さすがに海底に魔法陣を描くのはしたことがなかったからな」
「よく思い付くものだ」
と、魔術師三人申しておりますが?
「結果何もありませんでしたし」
「海底行くまでに魔物に食べられそうになったり」
「バカデカいイカだかタコだかに捕まるし」
「攻撃が効きづらい魔物が出てくるしだったな」
えー、リリアナ? どこが何もなかったの?
「結果、です。途中のことなんて言ってないですよ。それに、私は何もありませんでした」
「「「このデタラメが」」」
「そういうのは、やった張本人に言ってください」