146.天使と堕天使
スフィア視点となります。
ひーまーだー!
姫に着いた来てこっちに来たまでは良かったけど、姫は学院だし基本会わないし、屋敷はうろつくなって言われたし。
「よし、遊びに行こう」
翼は隠せば良いし、外を歩くなとは言われてないからね。
魔法で翼を見えなくして、いざ外へ!
「………いっぱいある」
こっちも結構賑わってるなぁ。
街をふらふらと歩いていると、かなり面白い。
ここは随分と治安が良いのかごろつきもいない。
「………何」
気付かないフリをさていたけど、こうもつけられると我慢の限界だ。
後ろを振り向き、ついてきている奴を睨み付ける。
「何か問題あるか?」
キョトンとこちらを見てくる。
問題大アリですが?
「ついてくるな」
「なら戻ってこい」
灰色の髪に紅梅色の瞳を持った、私と瓜二つの男。
私の双子の片割れであり、正式な子供。
七大天使が一人、【希望のスペス】サフェリル。
ハーフエンジェルであり、魔界にも天界にも居場所がなかった私と違い、天使である母の力をしっかりと受け継ぎ、天界に居場所があった兄。
「命令される筋合いはないんだけど」
そもそもで、私が家族と呼ぶのは七大悪魔の皆であって、こいつは他人だ。命令される筋合いも、言うことを聞く筋合いもない。
「私は七大悪魔であんたは七大天使なの。殺ることになったら兄妹だのなんだのなんて関係ないの」
「魔界と天界は表向き敵対しているだけで上の仲は良い。争いが起きることはない」
千年以上も前、外交でそっちいったおーさまを殺して戦争になりかけたの忘れたのかね。
「とにかく、関係ないから」
面倒だと話を終わらせ、転移する。
久しぶりに帰ってきたここ、魔界は綺麗だった。
空にいくつもの大小異なる島が浮かび、国をなしている魔界。
「おーおー、どこ行ってた。バカ天使」
「ごめんて。姫のところにいたの。あ、またすぐ帰るから」
転移したところにちょうどいた現在魔界をまとめてる重要人物。
七大悪魔が一人、【傲慢のスペルディア】悪魔、ヴァーミリオン。
洗朱色に一部紅色が混ざっている髪に、真っ赤な瞳。身長は七大悪魔の中で真ん中かな。
「あいつら元気だった?」
「いや、知らんよ」
私、別にヴァーミリオンの知り合い見に行った訳じゃないんだからさ。
「どんな子よ」
「たまにうるさいのと常時うるさいのと一人じゃなんもできないの」
ヴァーミリオンって貧乏くじ良く引くよね。
何その謎メンバーは。
「まぁ、たまにうるさいのと常時うるさいのは記憶あるし平気だろ」
「もう一人は?」
「たぶん平気じゃね?」
適当だなぁ。
ようやく、(一応)乙女ゲームの攻略対象が全員登場です。
プロローグ後半はヴァーミリオン視点ではあったんですが、そのときはまだ名前を出しておりませんでしたので。
さてさて、今回はスフィアの兄のサフェリルが登場です。スフィアは悪魔の父に、サフェリルは天使の母に引き取られております。そこらへんは書く気力があったら番外部屋に投稿するかもです。