表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

136/557

135.無意味な問い

リリアナ視点となります。



会場に戻り、第二様を帰しましたが、また面倒が来ました。何故こうも多いのか。……いえ、理由は分かっているんです。分かってはいるんですが。


「王妃殿下、侯爵閣下。一度下がらせていただきます」


そう言って、急いで外へ出ます。


武器も短剣以外持ってませんが、血が着いているのであまり使いたくありません。


何も持たない私を見て、一斉に来ました。


数は四十。随分多いですが、私は本来多数対多数よりも、一対多数の方がやりやすいです。


「さぁ、狂ったように踊りなさい」


人形師と言うと、人形を作ったりするのを多くの人が思い浮かばせますが、私は()()()()()を用いて戦います。


「ぁあああああ!!」

「大勢など、私には無意味です」


操り人、と昔は言ったようです。

それが無機物だろうが有機物だろうが、意思があろうかなかろうが、全てを無視し、意のままに操り統べる。人形師と呼ばれているのは、人形を媒介とし、攻撃する方がリスクも少なく、そうする人が増えたからです。


「こんな私が綺麗な訳ないですよねぇ」


何故人が笑うのかも、何故人が泣くのかも、感情が何かも分からない私は、果たして人と言えるのでしょうか。


性善説と性悪説と言うものがあるそうです。

人は皆善人であると言う性善説。

人は皆悪人であると言う性悪説。

私が見てきたものは、どちらでしょうか。

表は取り繕える。裏では汚い欲や妬み嫉みが入り交じっている。

過ごす環境によって、人とはここまで変わるのでしょうか。


「………一つ問おう。何故、この地を狙う?」


無論、相手は答えない。

負けると言うのに、無駄に力を使い、無害なモノたちを傷付ける。


「すぐに去れ。そうすれば見逃そう」


そう言っても、結局向かってくる。

容赦は不要。全力で。


「………『何故無駄なことをするのか。不必要な使い方をするのか。理解ができない』なぁんて、思ってる?」


全て片付け終わった頃、リオは当たり前のように現れ、私の心を読み、分かっていながらも聞いてきます。


「リリー、いつまでこの無意味な遊びを続けるの?」

「なら逆に問いましょうか。いつまで無意味に生きれば良い?」


答えずとも分かる問い。無意味な問い。

無意味な遊びも、無意味な生も。

終わることのないモノでしかない。

()()()()まで、永遠と。


「悟るのもそこまでにして、戻ってこい。スズランの匂いが会場にまで来てるぞ」

「あーあ、邪魔者が来ちゃった。じゃーね、リリー」


ゼクトが来た瞬間にさっさと行ってしまいます。


「リリー、毒しまえ」

「え………? あ」


使ったモノをしまうのを忘れてました。匂いがしたって言ってたので漏れてましたかね。


「遅いから見に来たが、随分とやったな」

「ルアがいないから消すの面倒なんですよね」


魔法で適当に片付けて会場に戻りますかね。


「リリー、血が着いてるぞ」

「……あぁ、少し着きましたか。この程度なら問題ないですよ」


匂いも消しましたし。

さて、と。


「二学期はほとんど動きがなかったですが」


三学期は、どうなるでしょうね。


あまり未来視は好きではありませんが、少し覗きます。そこに写った光景があまりにも笑えてしまい。


「…………ふっ」

「リリー?」

「あぁ、いえ。なんでもないです」


さぁ、楽しみましょう。


これは最上位種と、無謀にもそれに挑む下位種族のゲーム。圧倒的不利な盤面ではあるものの、それを覆すからこそ、ゲームは楽しい。


「………さて、続きといきましょうか」


愛し子たちを賭けたゲーム。そして、


「このゲームで、あのときの記憶を、もらいましょうか」


それに、答えがあると信じましょう。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ