117.適当……
「ちょくちょくリアの世話をするが、部屋がごちゃごちゃしててやりづらい」
「うっさいですね」
その前におじさん踏んずけてるから。退いてあげて。
「………ハル、カラシャがそろそろ死ぬから降りろ」
「あ、すまん……」
「君らさ!?」
あ、良かった。元気だ。
「お嬢様がこれなのはいつもだけど、君らまでふざけないでくれないかな」
「俺はふざけてない」
「別にたまには良くね?」
「いつもってなんですか、いつもって」
ユートさんは確かにふざけてない。ハルさんは開き直った。リリアナは…………侯爵家でのリリアナ知らないからなんとも言えない。
「と言うか、ここの警備ガバ酷い」
「当主が魔法でしか出入りしないんだから魔法妨害ないだろうな、そりゃ」
「あったらガチギレするのが三人」
「あっちじゃできないのもあるんです」
ガチギレ三人のうち一人いた。
いや、こっちで魔法実験ほとんどするだろうからそりゃそうか。
「お嬢様、いい加減ゼルメルと話さないと泣き付かれるよ」
「公爵を呼び捨て……」
「幼馴染みだからね」
え、何それ初耳なんですが。
「俺とシエルとメルト、君らの父親と皇太子の母親と妹ちゃんは幼馴染みだからね。俺とシエルとメルトは基本中で喋ってて、他は皆で固まってた」
「妹ちゃん??」
「ゼルメルの嫁」
公爵夫人か。
「俺たち三人の中だと名前呼ばないで『あいつ』とか『妹ちゃん』だったからねぇ」
「まず、なんで一人伯爵位が混ざってるの」
「それはアイリスもでしょ。俺の場合は二人が気に入ったから」
先生とメルトさんが? 話見えない。
「ハゼルトは、例外なく制御する側が一人付けられるの。お嬢様だとゼクト君。シエルとメルトは俺だったって訳」
「あー、常に側にいる」
「そっ。勝手に街に出た俺と本買いに街に出てた二人と会ったのが最初」
何してんのカラシャおじさん。
「まぁ、ゼルメルは自業自得だから笑って見てる」
「………わぁ」
「他人の不幸は蜜の味を体現してる人だから、気にしないで」
カラシャおじさんは放っておいて、ハルさんたちは何の用で?
「あ、そうそう。はいこれ、あげる」
ポイっ、と投げてきたので受け取る。
赤い結晶の様なものを見て、リリアナが顔色を変えた。
「ばっ! なんてもの渡してるんですか!!」
「え、ダメだった?」
「壊れるって言ってるでしょう!? 大体、どこでこんなバカげた負の魔力見つけたんですか!」
リリアナに渡すと、魔法で囲んでどっかに飛ばした。
なんだったんだ。
「毎回言いますが、ああいうのはゼクトかお再従兄様に渡してください!」
「いや、あいつに渡してもダメだろ」
後日聞くと、ハルさんが渡してきたのは呪いの残骸を集めた結晶らしい。なんてもの渡してきたんだ。