106.悪戯
投稿遅くなりました、すいません!!
「うわぁぁ、やられた! もっかい!!」
「嫌です。疲れました」
二人のテストが終わってからずっとこんな。オリヴィエさんが再戦を申し込むもリリアナは拒否する。
「やぁ、すごかったね」
「そうだね」
「すごかったが、再従妹殿。魔法使ったよね?」
クロフィムと一緒にいた王太子殿下の言葉にリリアナが一瞬動きを止める。
「………使ってませんよ?」
「言い方変えようか。設置したよね?」
「………」
今度こそリリアナが黙った。リリアナさーん??
「使ってはいけないなんて言われてませんので」
「え、不正じゃないの?」
「そうなると、私とお再従兄様、ついでに今やってるゼクトとお兄様も不正してます」
王太子殿下、あなたもやってるんですか………。
「あー、気付かれてたか。いけたと思ったんだがな」
「隠蔽魔法がもう少し早ければ気付かなかったです」
「まぁ、話は変わるが」
王太子殿下はテスト中の二人を見て、
「さすがと言えばさすが」
「早いですね」
何が??
王太子殿下とリリアナの目には何が映ってるんだ。
「目に魔力を込めて見てみてください。見えると思いますよ」
「目?」
「良いからやってごらん」
言われたのでやってみようとするけど、案外これが難しい。普段意識しないものだし。
集中して目に魔力を込めると、魔法陣が現れては消え、現れては消えを繰り返していた。
「え、何これ」
「不可視の魔法陣を可視化してるんです。魔法陣が通常は見えるのは、味方が攻撃を受けないようにですが、一対一なら必要ありませんから」
「作ってるのはゼクト君、消してるのはユラエス君だよ」
いや、速度エグすぎでは?
一秒に二、三個作られては消えていくの繰り返し。
よく魔力もつな。
「…………悪戯しますかぁ」
「長期の模擬でそれやって爆発起きて怒られたのをもうお忘れで? 再従妹殿」
「そう言いながら準備してるのは何ですかね? お再従兄様」
にこにこと笑う二人だけど、笑ってないんよ。
怖いなぁ、と思っていると、ユラエスとゼクトの間におかしいくらいに魔法陣が増えていき、ゼクトも魔法陣を消すのに回った。
「おい、なんか外野が突っ込んできてるぞ」
「満面の笑みで仕掛けてきてる……」
えっと、まぁ、これが二人のテスト終わるまで続き。
「……はぁ、おい、なんとかしろ」
「リリアナは……無理」
二人は息切れしてる。そんな二人を疲れさせた本人たちは、
「「やっぱり二人を弄るのが一番」」
などと、よく分からない共感をしていた。
何なの、この再従兄妹。
「ふざけんな」
「安心してください。即死はないです」
「新作あったの見逃してないからな」
ゼクトここ外、外だから!
何やら不平不満が飛び交っているけれど、先生によって終わらされた。