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元カノカルテット  作者: 遠野麻子
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直樹の独白

 沙耶にあんなに罵られるなんて思いもしなかったよ。

 「付き合おう」って言う前から何度もデートしていたし、彼女自身も俊とはもう終わってるっていってたから「俺は友達以上、恋人未満」ってやつのつもりでいた。


 まあ、確かに「前から付き合ってた」って言ったのは余計だったかもしれないけれど、だって既に終わってたんだろ?


 俺にだって見栄をはらせてくれよ。沙耶のことは、俊と彼女が「いい感じ」だった頃から好きだった。凛としていて、はきはきと発言していて素敵だと思ってた。

 周りの友人たちが次々に彼女を作ってるのに、俺だけ遅れていて焦ってたんだよ。

 だから「前から付き合っていた」って言ったんだ。

 大体、既に終わってるんだし俊にも新しい彼女ができているんだから、あんなに怒ることはないじゃないか。


―私が二股かけていたみたいじゃないの!


 わけが分からない。俊とは終わってたんだろう?

 だから、俺とデートしていたんじゃないのか?

 結果的にみんな収まるところに収まってるんだからいいじゃないか。


 それとも「誤解されていたら困る」とでも?

 何が困る?

 まだ俊に未練があるのか?


 ―眺めていたテレビドラマのBGMになにやら聞き覚えがある。


 これは確か……パッヘルベルのカノンだ。

 現代風にアレンジされてはいるが。 

 主旋律を副旋律が追いかける。


 いつも俺はそうだった。副旋律。

 周りが少し先に進んでいって、その後を追うのが俺。

 この恋も未だに俺は主旋律を奏でられていないというのだろうか。


 沙耶。


 俺は、俊よりも、君を愛してる。

 心から大切だと思っている。

 それでも君が俊に未練があるというのなら、俺は君を……。


 ……よそう、余計なことは考えずにいよう。

 そうやって、今まで生きてきたのだから。


 いつか俊たちふたりと、俺たちふたりでどこかへでかけよう。

 カノンではなく、カルテットを奏でよう。


 君はあんなに怒ったのは、俺との関係がいい加減なものだと思われたくなかったからだよね。

 そうだろう、沙耶?

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