4SIDEゆきな
目が覚めた
「姉ちゃん・・・」
泣いてる。大輔が大きな涙ボロボロ流して。
こんな顔させちゃダメだったのに・・・。
「ごめんね・・・大輔。」
ゆっくりと頭をなでると腕が痛む。点滴が刺さってる。
でも。この痛みよりも大輔の痛みのほうが大きかったのは私もわかってる。
「姉ちゃん。ごめん。ごめん。」
「なんであやまるのよ。てっきり怒られるかと思ったわ」
謝りながら泣く大輔に茶化してそう答えると、大輔はまだ泣いた。
「もう成人していい大人なんだから、そんなに泣かないでも」
「姉ちゃんが泣かせたんだろ。」
私の手を握り締めて離さない大輔の手は震えていた。
「うん。ごめん」
私と大輔は5つ年が離れている。そして大輔が13、私が18の時に両親が亡くなった。
大きな事故だった。
相手も亡くなり、保険も入っていなくて当時は色々と大変だった。
両親の保険とかのおかげで何とか弟と二人生きていくことができたが。
当時大輔は中学校に上がったばかり。
まだまだ反抗期とはいえ、親に頼りたい時期だったはずだ。
かくいう私もまだ高校生で親戚という親戚もなかったし、遠い親戚も遠巻きにしていてどうしようもなく、施設に入るかどうかというところまで話がいった。
それを助けてくれたのが小学校のときの先生。
奥さんと二人、面倒を見てくれて、姉弟離れ離れにならずに済んだ。
感謝してもしきれない。
大輔にとっても私にとっても家族はもうお互いだけ。
私が倒れて運ばれたことで、大輔はどれだけ心配したんだろう。
震える手がそれを物語っていた。
「ねぇ。大輔。お姉ちゃんは大丈夫。絶対に大輔を置いて行ったりしないから。」
その手を握ってそう笑いかけると大輔がまた泣いた。
「わかんないだろ。そんなの。何があるかわかんないんだから。」
「そうだね。でも大丈夫。絶対においてなんかいかないよ。」
まじめな顔でそう答えると大輔はまた泣いた。
誰がこんな泣き虫に育てたんだろ・・・?
「姉ちゃん・・・」
「おっと心の声がもれてた!」
ふふっと笑うと大輔も困ったように笑った。
「というか。大輔。早速で悪いんだけど。状況が知りたい。」
「血を吐いて倒れました。」
それは知ってる。うん。
「胃潰瘍らしいよ。ひどかったみたいでしばらく入院。止血はしてあるって。それからしばらく点滴で食事も抜き」
なんだか大事になってるなぁ
「さっきまで主任の佐藤先生がいらしてた。しばらく休みなさいって。子供たちのことも心配いらないって言ってたよ」
迷惑かけるなぁ・・・。
子供たち大丈夫かなぁ
「そして。それだけの症状、気付かなかないはずはないって言ってらした。俺もそう思う」
げっ。主任、怒ってそうだ。
そして、大輔も怒ってるなぁこれは。
「そこは・・・。うん・・・ごめんね・・・?たいしたことないって思ってたのよねー。」
あ。怒りの沸点超えた。
げ。まずい。
逃げ場がない。
「大したことないわけないだろ!!」
あぁ。本格的に怒らせたな。
あちゃー。