表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたとわたし  作者: 紫陽花
2/4

2 SIDEゆきな

なんてことがあって半年。

私は今。大変困ってる。

あのときの女の子が。

しがみついてる。

大事な。大事な仕事中に!

私は小学校で教員をしている。

今日は運動会だ。

そして。私の受け持ちの子供たちは一生懸命ダンスをしている。

かくいう私も壇の上で手本を踊ってる。

小さな女の子をへばりつかして。

保護者から笑いが漏れてるし。

ビデオむけられてるの私だし。

ハプニング大賞とれそうだわ。

子供たちは一生懸命踊ってるけど

目が丸くなってるのが分かる。

がんばれ!とにかく頑張れ!

最後まで平常心で踊りきって!

お願いだから!

「ありさっ。降りなさい!!先生困ってるから!!」

お母さんらしき美女が焦ったようにロープの外から叫んでる。

入ってくるのを躊躇してるのもわかる。

お母さん。気持ち、わかるよ。

うん。でもごめん。今の私は助けられない。

それにしてもさすがあのイケメンの奥さん。

超絶美人。目の保養。

私、それどころじゃないけど。


無事ダンスが終わって。

ありさちゃんを抱っこして壇上から降りた。

なるほどこの前の女の子はありさちゃんか。

「すみませんっ。先生」

お母さんが真っ青な顔をして平謝りだ。

聞くと私を見た途端猛ダッシュをかましたらしい。

やるなぁ。ありさちゃん。

3歳くらいじゃなかろうか?

「おねえちゃん。けが痛いの痛いのとんでけしてくれたおねえちゃんよー。」

私の洋服のすそをつかんだまま離さないありさちゃんがにこにこ笑って口を開いた。

お母さんがはっとしたように私の顔を見た。

いやいや

たいしたことしてないよ。

「あのときの。斗真がお礼も言わなかった恩人さん。」

いや。あれは逃げた私が悪い気が・・・

言わなかったというより言えなかった?

イケメンさん。ごめん。

濡れ衣だわ。

「いえいえ。私も急いでいたのですみません。ありさちゃん。よく覚えていましたね。びっくりしました。」

本当に。この子の記憶力どうなってるのかしら?

たった3つくらいの子供が半年も前に会った私を覚えてるなんて。

さては天才だな!

「私もびっくりしました!先生でらっしゃったんですね。灯台下暗しというかなんというか。」

お母さんがほっとしたような笑顔でお礼を言ってくれる。

美人は何しても美人!うらやましい!

「いえいえ。たいしたことはしてないんです。あのあと大丈夫でした?」

いろんな意味で。

藪蛇になったら悪いから大人な私はあえて突かない。

お母さんも苦笑いしながらうなづいてくれた。

「おかげ様で何ともなく大丈夫でした。処置が的確だったので、どんな方だったんだろうと思っていたのですが。先生でらっしゃったんですね。納得です。」

「毎年熱中症気味の子供たちが出ますからね。一応。」

ふふふと笑い合ったところでありさちゃんをお母さんにお返しする。

そろそろ私も戻らないと。

「では。子供たちのところに私も戻りますね。」

「本当にありがとうございました。5年2組の西園寺愛斗の母です。今後ともよろしくお願いいたします。」

丁寧にあいさつしてくださってなんだかほっこり。

さて。気を引き締めて残りの運動会頑張らないと!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ