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番外編 ミッション・イン・ポッシブル 〜ふたりきりのデートを成功させよ!〜 前編

大変、大変時間がかかってしまい申し訳ございません!!

見捨てずにブクマし続けて下さった方々、ありがとうございます……!



「こ、こんなはずでは………」


「想定内だと思いますが」



夏目前の雲ひとつない昼下り。

僕は城の広場で、他の騎士たちと和気あいあいと笑い合う、愛しの可愛い可愛い、可愛いが形を成したらこうなるであろうと思われる理想形の可愛いの我が婚約者、レーナをぼんやりと眺めていた。



「まさか魔法を使わずにドラゴンを討伐するとかさ…レーナはどこを目指してるのさ。彼女は将来公爵夫人だよ?」


「公爵夫人になるスキルならもうとっくに修得なさっておいでですから、心配は不要です」


「いや、そこは心配してないんだけどさ……そうじゃなくてさ………」



そう。レーナは今回の討伐に聖女として同行していたのだが……ノー魔法でドラゴンを倒して帰ってきたらしいのだ。

しかもラルフとふたりで。

きっとまたふたりで暴走したに違いない。

レーナは頭がいいのか脳筋なのか、たまに分からなくなる。


だがしかし、僕が不満に思っていることはそこじゃない。そこじゃなくて……



「どうして僕の隣にいるのがレーナじゃないのさ…」


「私ですみません」


「我が金糸雀は存在が罪なだけさ……」


「ボリス………!は、恥ずかしいのでやめてください!」


「ふっ。可愛い金糸雀だ」


「ボリスラーフそれもう厨二病とかいうのじゃなくて単なるクサい口説き文句なだけだから!あっちでやれよ!羨ましいなぁもう!」



なぜ僕がヤーナとボリスラーフのイチャイチャを見なくちゃいけないんだ!よそでやれ!


今日はレーナとふたりでお茶をする予定だったのに、この盛り上がりでは延期になりそうだ。

僕はイライラの元凶である婚約者を遠くからキッと睨んだ。


あの事件以来、僕たちはお茶会や夜会の出席を重ね、3日と開けずに顔を合わせてきた。

好きという気持ちを表に出すのを躊躇しなくなった僕は、もはや手綱のない馬。

好きという気持ちをコントロールすることなど出来るはずもなく………するつもりもなく。時間があればひたすら会いに行き、愛を囁いた。

そしてその度に彼女も頬を染めながら気持ちを返してくれた。照れるレーナ、可愛すぎる………!

そして僕とレーナはようやく来年、結婚する運びとなったのだ。

長かった…………………!


これだけ聞くと順調に聞こえるだろう。

いや、ふたりの関係は良好で、順調は順調なのだ。

だがしかし。忘れてはいけないのは、相手がレーナだということ。



「いつも誰かしらくっつけてきて……!人誑し(ひとたらし)が過ぎる!!」


「私と護衛のラルフは仕方がないのでは」


「ヴァシリー様やルスラン様、詩織様に声を掛けているのは君だろう!?」


「…………バレていましたか」


「なんでそんなことするかなぁ!?」



そうなのだ。

僕たちが会うとき、必ず他に誰かいるのだ。

ふたりきりになれた試しが無いっ!!

僕はもっとレーナとイチャイチャしたいのに!イチャイチャしたいのに!!



「ガルロノフ様は以前、姫様の乙女心を弄びましたから。信用できません」


「ぐっ……。そこは反論出来ない………!」



確かに僕は以前、レーナに対し愛情表現を疎かにしていた。

それは全てレーナが好き過ぎるがためにしたことではあったが、結果レーナを傷つけてしまった。



「はぁ……。それについては本当に反省してるよ。レーナを誰にも奪われたくなかったんだ……」


「小っさい器ですね」


「うるさいな!分かってるよ!」



相変わらず公爵家の跡取りにも容赦がない侍女だ。

彼女もレーナ至上主義だから……まぁ、ある意味信用はしている。

信頼はしないが。



「………………最近、姫様はとてもお幸せそうなんです」


「そうだね…。僕は物足りないけどね…。でも、レーナが幸せそうならいいんだ……うん、本当に」



本当は良くないけど。

僕も幸せになりたい。一緒に。



「姫様が幸せそうなのは………まぁ、婚約者様が誠意を見せているから…………かもしれない、と、捉えられなくもない、とは、思っています」


「っ!そうだろう、そうだろう!?僕は会う度にレーナに溢れるままに愛情表現をしているからね!」


「…………………………………分かりました。次回は皆さんにお知らせするのはやめておきます」


「ものすごく嫌そうだね…。いや、でも、うん。そうしてくれると嬉しいよ、ありがとう」



ありがとうって何だ。

僕は公爵家の跡取り息子なのに。

レーナの婚約者だからレーナとふたりで会うのはあたり前のことなのに。

レーナの侍女に振り回されているのは何故だろう。


でも過去の過ちから来ている結果だってことは分かっているし、レーナとふたりきりの時間がとれるなら全然、侍女の無礼な態度も我慢できる。ありがとう。

何度でも言おう。ありがとう。


あぁ…ふたりきりかぁ!いつ振りだろう?

ふたりが初めて出会った庭園で、改めてプロポーズした時以来かな?

ド、ドキドキする……!



「今回はピクニックにでも誘ってみようかな!お弁当を持って、川辺でのんびりするんだ。馬に乗って行くのもいいね!ふたりで一頭の馬に乗っていくとか……くぅっ!最高過ぎる!!!!」


「妄想が止まりませんね………」


「ガルロノフ様は純粋(ピュア)なさくらんぼのような青年だからね」


「……………ボリスラーフ!厨二病に見せかけて、それただの悪口だからな!?」



誰が童○だ!?誰が!悪いか!?

僕の心と体はレーナにしか反応しないんだよ!

でも本で事前知識はたっぷりあるんだからな!事前準備はバッチリなんだからな!

…………くそっ!そんな色気だだ漏れな顔で微笑んでくんじゃねぇよ!嫌味か!?

レーナの侍女もポーッとして見てんじゃねぇよ!

これだからリア充は………!



「いや、僕だってリア充になるんだ!だってあんなに可愛い婚約者がいるんだから、リア充じゃない方がおかしいだろう!?そうだ………なんで今、僕はリア充じゃないんだ!?」


「日頃の行いでは?」


「くっそぅ!!!!!」


「楽しそうですわね!」



ハッ!

この妖精の如きスーパーウルトラ可愛くて可憐な声は………!



「レーナ!」


「オーリャ、来てくださいましたのね!」



嬉しいですわ!と言って微笑むレーナは天使かな?天使だよね。うん、知ってた。


僕が早速レーナをデートに誘うと、花が綻ぶように、光が舞うように、妖精が飛び回るように、ほれはそれは可愛い可愛い可愛い可愛い笑顔で了承してくれた。好き。



「楽しみにしていますわね!」



好き。


よし………!デートは絶対に成功させるぞ!

一日、ふたりきりで過ごすんだ!

イチャイチャラブラブするんだ!!!



「そう上手くいきますかねぇ………」



オイコラ、ヤーナ!変なフラグを立てるな!!



次話でとりあえず完結予定です。

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