幸せの庭園は続くのですわ
明けましておめでとうございます!
今年も読んでくださりありがとうございます!
本編はこれにて終了となります。
皆様、お付き合い下さいましてありがとうございます!!
次回は番外編です。
「ど、どうなさいましたの?」
「どうなさいましたの、じゃないよ!僕がどれだけ我慢してたと思うの!」
「我慢、ですの………?」
オーリャは怒っている、というより絶望している様子。
わたくし、何かしましたかしら……?
「今回の騒動が終わるまでなかなか会えなかったのに、やっと会えると思ったら!なんかいっぱいいるし!」
「あー……」
お兄様や詩織様、パーヴェル様のことかしら?
だって途中で会ってしまったんですもの!
「なぜかヴァシリー様の膝に座ってるし!」
「あぁー………」
た、確かに元はと言えばわたくしが原因ではありますが……だって強制的に座らせられてしまったんですもの!
抜け出せないんですもの!
ちょっ、お兄様!
ニヤニヤ、ニヤニヤと………!火に油を注がないでくださいませ!!
オーリャが怖いですわ!!
「レーナが足りない……」
「オ、オーリャ?」
「レーナは僕のなのに……せっかく結婚まで秒読みなのに……。結婚したら絶対に誰にも見せない。閉じ込めて、可愛い可愛いレーナを僕が、僕だけが愛でるんだ………!」
俯き、何やらブツブツと呟くオーリャ。
隣に座っている詩織様にはオーリャの呟きが聞こえたのか、お顔が引きつっておりますわ?
そして………
「ふっ……」
わ、笑った―――――――――!!?
オーリャ、その仄暗い笑顔はなんなんですの!?
「パーヴェル様」
「はい」
「僕に協力して下されば………従兄弟のマリアンネを紹介しましょう」
「よっしゃー!!!」
「パ、パーヴェル!?」
慌てるお兄様の耳元で何事かを囁くパーヴェル様。
ん?話の最後に聞こえたのは、『国王にチクるぞ』………?
お兄様の膝の上という至近距離にいましたからほんの少しだけ聞こえましたが……詳しい内容までは聞こえませんでしたわ?
「うわぁぁあぁあぁああああ!!!!」
「わっ!お兄様!?」
まだ何事か話を続けようとするパーヴェル様からわたくしを遠ざけるべく、膝から下ろすお兄様。
お顔が真っ青ですわ!!?
それにしても……。
第一王子を脅す、側近って………。
「さすがパーヴェル様ですわね……」
「今度はパーヴェル様を誑し込む気?」
「ひゃっ!?オ、オーリャ!?」
わたくしが呆れ半分でパーヴェル様を讃えていると、急に背後から耳元で囁くオーリャ。
誑し込むだなんて心外ですわ!?
「そんなわけないでしょう!?わたくしはオーリャだけですわ!」
「レーナ………!」
「って、キャァ!?」
目を輝かせたと思ったら、突然お姫様抱っこされましたわ!!?
そ、そして………
「オ、オーリャ!?速い速い速い速い!!!どこに行きますのぉぉぉおおおお!!?」
「あーっはっはっはっはっは―――――――――!!」
わたくしを抱っこしたまま全力ダッシュ!?
って、速いいいいぃいぃいぃいいいい!!!
「オレグ待てぇ―――――!!!」
「ガルロノフ様ずるい!!」
「なっ!?ちょ………!俺、護衛―――――!!!」
「よっしゃマリアンネ―――――――!!!」
後方で各々叫んでいるのをまるっと無視し、駆け抜けるオーリャ。
身体能力高過ぎでは!!?
風のように駆け抜け、護衛のラルフをも撒き、たどり着いたのは………
「花のガーデン?」
「そうだよ。ここは初めて僕が君に出会った、あのお茶会の場所だよ」
「綺麗…………」
花々が咲き誇る、ちょうどあの時と同じ季節。
記憶が蘇りますわ。
初めてのお茶会で、初めて出会った小さな紳士。
きっとあの時からオーリャはわたくしの特別で、唯一で。
でもずっと誰よりも紳士だと思っていたオーリャはそれだけじゃなくて、子供っぽいところも、嫉妬深いところもあって。
そんな一面を知る度にもっともっと好きになって………。
ふと後ろを振り返れば、日の光を纏った銀の髪が風に靡き、金色の瞳が愛おしいものを見るようにとろりと溶けますわ。
男性なのに花にも負けないくらい美しい婚約者。
「オーリャ…………好き」
「僕も好きだよ」
昔は『ありがとう』とだけ返ってきていたのに、今は当たり前のように気持ちを返してくださる。
それがとても嬉しくて、嬉しくて………!
ザッ!
「え?レーナ?跪いてどうし………」
「わたくしと結婚して下さいませ!!!」
「えええええええ!!?」
「この身に代えてもオーリャを守り、幸せにすると誓いますわ!」
「プロポーズが男前ぇぇえええええ!!!」
「後ほどお城がひとつ買えるくらいのダイヤを付けた指輪を贈りますわ!」
「いや、逆!僕に贈ってどうするの!!ていうかそのプロポーズちょっと待って!?」
わたくしを強制的に立たせ、『待って待って待って!』と、繰り返すオーリャ。
もしかして、これは………
「………『ごめんなさい』、ということですの?」
「えっ?」
もしや、やはりわたくしのようなガサツな女とは結婚できない、ということですの?そうなんですの!!?
わたくしが自分でも分かるくらい顔を蒼くしていると、オーリャがわたくしの両肩を力強く掴んできましたわ。
「違うよ!?そんなわけないだろう!?結婚はするよ!しないという選択肢は無いからね!?3ヶ月後には式を挙げて、晴れてレーナはレギーナ・ガルロノフになる。これ、決定事項だから!!」
「変更は………?」
「しないっ!!!」
良かったですわ!
心配してしまいましたわ!
そう、なんと!わたくしたち遂に3ヶ月後にに結婚するんですの!
なぜこんなにも早急に結婚するのか?
というのも、わたくしが光魔法が使えることが分かった今、他国からの縁談がひっきりなしに来るようになってしまったのですわ。
その中には政治の都合上、断りづらい国なんかもあって……。
でも他国にわたくしをお嫁にやりたくない、お父様やお兄様が、急いでわたくしとオーリャの結婚を取り纏めて……あれよあれよと、3ヶ月後に結婚!と、なったのですわ!
でもそれは周りが決めたものですし、シュラーツェ草のあれやこれやで忙しくてオーリャと直接じっくり話もできていなかったので、プロポーズも無くここまでズルズルと来てしまったのですわ。
だからこそ今日、珍しくふたりきりになったのでプロポーズをしましたのに………まさかの『ちょっと待て』、とは。
「やはり3ヶ月後では心の準備ができませんの?」
「え?」
「確かに3ヶ月後なんて急ですわよね。でももう国中どころか、近隣諸国にまでわたくしたちの結婚は知れ渡ってしまっているので中止も延期もできませんわ。でもわたくし、オーリャの覚悟ができるまで手を出さないと誓いますわ。仕方がない時を除いて、あなたに触れないとここに誓……「わないで!?触れて!?触れさせて!!?結婚したのに触れられないとかどんなお仕置きなの!?ていうかそれ、僕のセリフだよね!?」
オーリャが全身で溜息をつき、『君の思い込みは相変わらずだね………』とぼやいておりますわ?
あら………違いますの?
ザッ。
「オ……オーリャ?」
目の前に跪いて右手でわたくしの左手を握り、左手には紫の箱。
中には………
「指輪?」
「ははっ。ごめんね、お城が買えるほどじゃないけど……世界に一つしかない、特別に作った指輪だから許してね」
「許してなんて、そんな………!」
ダイヤが煌くようにカットされた指輪は、石が大きいにも関わらず品が良くて………王女としてたくさんの宝石を見てきた経験上、とても丁寧に作られたものと分かりますわ。
でもこんなにも美しい指輪なのに、視界がぼやけてしまって………よく見えませんわ。
「美しく、愛らしく、気高いレーナ。どうか僕の、僕だけの花になってくれないか」
「オーリャ………!」
「君を愛してる。どうか、『はい』と言ってくれないか?」
「はい、はい………!もちろんですわ!!」
「レーナ………!」
溢れる気持ちのままに、オーリャに抱きつきますわ。
オーリャも安心したように、心の底から嬉しそうにわたくしを抱き締めてくださいますわ。
何がそんなに心配だったのかしら?
わたくしの答えなんて分かっていたでしょうに。
「僕がプロポーズするつもりだったのに先越された時はどうしようかと思ったよ」
「それは………申し訳ございませんわ」
「いいんだ。あれも嬉しかったから」
クスクスと小さく笑い合い、幸せを噛み締めますわ。
花も緑も空も、何もかも全てがいつもよりも美しく見えますわ。
あぁ……幸せ過ぎて言葉になりませんわ。
未来に訪れるであろうたくさんの幸せを、零さないよう、大切に大切にこの人と生きていく……。
温かくて優しい決意を胸に、愛する人の口付けを受け入れますわ。
ここまで書き切れたのは、皆様のおかげです。
本当にありがとうございます!
まだもう少し番外編を書くつもりでおりますので、もし良ければお付き合い下さいね。
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次の作品は『主である第ニ王子が暗殺者と令嬢に襲われまくるので侍女の私が助けます!(仮)』という作品の予定です。
読んでくださると大変嬉しいです!




