大円団なのですわ!
大変遅くなってしまい申し訳ございません。
そして長くなってしまったので次回が本当の最終回になります。
その後、お城は上へ下への大騒ぎでしたわ。
なんせシュラーツェ草なんていう、記憶を操作出来てしまうとんでもない薬草が出てきてしまったのですから。
効果を引き出すには特別な手順が必要になるとはいえ、放置はしておけませんわ。
箝口令を敷き、出処を探り、それはそれは忙しかったのですわ。
ただその甲斐もあって、シュラーツェ草に関わる者達は皆、一網打尽にすることができたのですわ。
それもこれも、師団長様……改め、元師団長様の協力があったから、なのですが。
『シュラーツェ草っていう、危ない薬草取り扱ってるやつ知らない?』なんて聞き込みをするわけには参りません。
当初、捜査は大変難航いたしましたわ。
そこでお父様やお兄様が元師団長様に司法取引を持ち掛けたのですわ。
犯人の処分よりもシュラーツェ草の危険性を重視した、ということですわね。
すると、さすがハイスペックな元師団長様。
あれよあれよと犯人に辿り着き、一件落着、となったのですわ!
そして元師団長様は、本来であれば聖女である詩織様を害そうとしたり、王族であるわたくしを嵌めようとしたことで死刑は免れなかったのですが、司法取引により終身刑に留まったのですわ。
ラルフに怪我をさせたことは許し難いですが、死刑となればきっとわたくしは思い悩んでしまったはず。
もしかしたらお父様とお兄様はそれを慮って下さったのかもしれませんわ。
わたくし、まだまだなのですわ……。
そうそう。
キャサリーナ嬢とマルコムですが、一時は牢に入れられておりましたが、今は開放され、以前と変わりない生活を送ることができているのですわ。
というのも、キャサリーナ嬢もマルコムも聖女様を害そうとしたのは自分の意志ではなかったと判明致しましたので、お父様が名誉回復に尽力してくださったのですわ!
お父様が公の場で『キャサリーナ嬢とマルコム令息は聖女を憎む悪魔に操られていた………が、ふたりとも強い意志により悪魔の誘惑に打ち勝ち、聖女を害することを防ぐことが出来た。誠に素晴らしい人材である』と、発表したのですわ。
悩みに悩んだ言い訳……ですが、国王がそう言ったらそうなのですわ!
加えて詩織様も『おふたりには感謝致します』と、聖女らしい淑やかな笑顔でお礼を述べて下さったものだから、おふたりは皆様からそれはもう、称賛されまくっているのですわ!
ありもしない事実で称賛されて気まずそうではありましたが、曖昧な笑顔でスルーしてましたわね。
喜ぶことも、否定もできず……。
と、いうのも。
おふたりがお父様に真実を口止めされたからなんですけれどね……。
お父様から直接口外しないよう念を押され、おふたりともそれはもう、赤ベコのようにカクカクと頷いておられましたわ。
お可哀そうに………。
そうそう、そしてチャラス様………ではなく、タラス様も、もちろん開放されたのですわ!
「姫様、皆様、あ、あ、あ、ありがどゔ………ありがどゔございまずぅぅぅ〜〜〜!!!」
「タラス!よがっだなぁぁぁ〜〜〜!!!」
ラルフとタラス様の涙、涙の再会!
本当に良かったですわ………!
ガシィッ!と力強い抱擁に、その場の全員が感動しましたわ!
「タラス!本当に、本当に心配したんだぞぉぉおおお!!!」
「ぁ……ちょ………副団ちょ!ぐ、ぐる、じ………!」
ミシッ!
「ふぐッ………!」
「タラス………?おい、タラス!?しっかりしろ!誰にやられたんだ!?おい、タラ――――――――ッス!!!」
「「「………………」」」
そして熱い抱擁で腰をやられたタラス様は、追加で休みを余儀なくされ、騎士団に3週間も復帰するのが遅くなったのですわ。
ラルフ…………さすがアルエスクのキングオブマッチョ。
兎にも角にも、万事まぁるく収まって、無事解決!なのですわ!
なのですが………わたくしは今、窮地に立たされて…………いえ、座らされているのですわ!
「お願いですから、下ろしてくださいませ!」
「いいじゃないか。恥ずかしがる仲じゃないだろう?」
「いいえ、恥ずかしいですわ!」
「だって以前、膝に乗せてもいいって言っていただろう?」
「た、確かに言いましたが、だいぶ前の話ですわ!?それにもう十分なのでは!?もうかれこれ一時間はこうしておりますわ!?」
「えぇ?たった一時間じゃないか。それにレーナとお茶をする時はずっとこのスタイルでいくつもりだよ?」
「そ、そんな………!?」
なんてことでしょう!?
現在、庭園でお茶をいただいているのですが………お察しの通りわたくし今、お膝に抱っこされている状態なのですわ!
確かに以前、一度だけわたくしからお膝に座ることを提案したことはございますわ?
ございますが………!
「レーナなんで!?ねぇ、なんで婚約者である僕の膝じゃなくて、ヴァシリー様の膝の上に座ってるの!?」
そうなのですわ!
わたくし今、ヴァシリーお兄様のお膝に座っているのですわ!
婚約者であるオーリャの目の前で!!
「くっ………。そ、それは、以前ダイエットを許してもらう為にわたくしが提案してしまったからですわ。痩せたら長時間お膝でお茶が飲めますわ、と…………」
「な、なんてことだ………!」
「ははははははは!なんて愉快なお茶会なんだ!」
「くそぉぉおおおおお!!!」
わたくしだって恥ずかしいから下りたいのですわ!
下りたいのに!腰に回る腕がガッチリと巻き付いていて離れないのですわ!!
苦しくはないのに離れない………なんて匠の技!!
「そういえばレギーナ様は日本のどこのご出身なんですか?」
わたくしがいたたまれない気持ちになっていると、詩織様が空気を変えてくださいましたわ。
わたくしは、全力で、乗っかりますわ!
「それがよく覚えていなくて………そもそも前世のことは覚えていることもあまり多くは無いのですわ。残念ですわ………。詩織様はどちらのご出身ですの?」
「私は千葉です!」
「あぁ………あの黒いネズミが有名なテーマパークがある?」
「そうですそうです!やっぱりレギーナ様は日本のどこかのご出身なんですね!」
間違いありません!と嬉しそうな詩織様。
やはり突然異世界に連れてこられて不安だったようで、わたくしが転生とはいえ地球出身と知ったあの日、それはそれは嬉しそうに涙を流していたのですわ。
もっと早く打ち明ければ良かったですわ………。
「きっと光魔法が使えるのも、地球出身であることと関係があるに違いません!」
「そうかもしれませんわね……。わたくしも詩織様程ではないとはいえ、魔物を浄化することができますものね」
「うふふ!聖女、お揃いですね!」
「そ、そうですわね………」
ううう………。なんと。わたくしも光魔法で魔物を浄化することができるということから、先日『聖女』認定されてしまったのですわ!
え、その認定必要あります!?
お兄様がゴリ押しした……かと思えば、そこにお父様も加担していたらしいですわ。
わたくし知りませんでしたが、お父様も実はかなり家族ラブな方だったらしいのですわ。
それにしたって………親バカ・兄バカもいい加減になさいませ!!
『聖女様』と呼ばれるくすぐったさと言ったらもうもう………!
聖女の話、地球の話に花を咲かせていると、詩織様の視線がふっとわたくしを拘束……じゃなくて、支えているお兄様の腕に。
「いいなぁ、レギーナ様のお兄さんポジション………」
「し、詩織様?」
え、何が羨ましいんですの?
もしかして膝に乗せるのが羨ましいんですの?
重いだけですわ!?
わたくし痩せたとはいえ、詩織様の上に乗ったら詩織様の御足の血が止まってしまうのが目に見えていますわ!?
詩織様がどのあたりに羨むポイントを見出したのかは分かりませんが、それよりも……
「むしろ詩織様がお兄様のお膝に乗りますk「結構です」
び、秒で却下されましたわ!?
まぁ分かってはおりましたが…。
以前、詩織様は男性は苦手っておっしゃってましたものね。
実はお兄様とそうなってくれたらいいなー、なんて思っていたのですけれど……無理強いは出来ませんわ。
わたくしが少々残念に思っていると、お兄様の後ろに控えていたパーヴェル様がスススススーッと詩織様の傍らに移動しましたわ………?
「詩織様。ヴァシリー様と結婚すると、もれなくレギーナ様の義姉という肩書が付いてくるんですよ」
「レギーナ様の、義姉………?」
「はい。そして王族の一員になれば、レギーナ様がお嫁に行って城を出ても、いつでも、すぐに会いに行けますよ」
「いつでも………!」
「はい。家族ですから。当然の権利です」
「家族………………!!」
し、詩織様………?
何に惹かれたのか、うっとりとしたお顔になった詩織様。
「ありだわ………」
「な、何がですの………?」
そしてパーヴェル様はなぜ満足気?
よ、よく分かりませんが……皆様が幸せそうなので良かったですわ?
「もう無理だ……………」
「オーリャ?」
「もう、無理だぁぁああああ!!」
「オ、オーリャ!!?」
「ガルロノフ様!?」
オーリャの突然の叫びにより、うふふ、あははと和やかだったお茶会の空気が突然ぶった切られましたわ!?
次回、いよいよ最終回です!
最終回の後は厨房の魔王のお話を入れる予定です。




