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55 信用に足る謎の理由、ですわ

いつも読んでくださりありがとうございます!

ブクマ・評価・感想、すごくすごーく嬉しいです!



「彼の証言を全て教えてくださいませ」



本日、オーリャ、詩織様、ラルフ、ヤーナ、そしてわたくしは騎士団長様に今回の騒動の詳細を聞きにきたのですわ。


きのうオーリャにわたくしが不安に思っていること……つまり、『強制力』についてお話しましたの。


会ったことも話したこともない人がわたくしに命令された、と証言したのは、もしかしたら『強制力』によるものかもしれないこと。

もし強制力が働いていて、ストーリー通りの結末になればわたくしは処刑されてしまうこと。


中には以前お話した内容もありましたが、オーリャは急かさず、最後まで真剣に聞いてくださいましたわ。

……………好き。


全て聞いた上で、オーリャは否定してくださいましたわ。

「強制力の可能性は極めて低いと思う。証拠に、僕が好きなのは聖女じゃなく、君だから」………ですって。

そしてまた、優しくキ、キ、キ、キスをしてくださったのですわぁあぁあ!!

キャー!こんな時なのにときめきますわ!!

ギュンギュンですわ!!


………コホン。


そしてきのう、わたくしを犯人に仕立てようとしている者がいる可能性がある以上、とにかく探ってみようということになって、今日、調査のために騎士団長様のところに伺ったのですわ!

始めはオーリャとふたりで行こうとしていたのですが、雪だるまのように歩くたびに人数が膨らみ、あれよあれよと結局いつメンの出来上がりなのですわ!


事ある毎にきのうのことを思い出して顔が赤くなりそうになるのを必死に抑えますわ。

わたくし、きのうオーリャにキス(キャッ♡)をされてから、浮かれてしまっている自覚がございますわ。

そんな場合ではございませんのに!

うぅ……気を引き締めなくては。

でもでも、オーリャが今日も素敵で………無理ぃ!


オーリャはそんなわたくしの密かな葛藤に気付いているようで、ニッと笑ってわたくしに流し目をくださいましたわ。

ぐふっ。


わたくしの意識が軽く飛んでいると、腕に絡まる細くて華奢な腕がわたくしを現実に引き戻しましたわ。



「レギーナ様ぁ〜♡何かあったら聖女であるわ・た・し・が♡守ってあげますからね!」


「詩織様……!聖女様にそう言ってもらえるなんて、とても心強いですわ!」


「うふふ〜♡」



わたくしの腕に抱きついてきたのは、今日も安定してくっそ可愛い詩織様。


癒やされますわぁ。

小動物のようですわぁ。

笑顔が今日も天使ですわぁ。


詩織様に癒され、ほんわかとした気持ちになっていたら………あら?気付けば、いつの間にかわたくしを挟んで右側のオーリャと左側の詩織様が見つめ合って………?

こ、これはもしや!?



「やはりおふたりはそういう仲なんですの!?強制力ですの!?」


「「…………はい?」」


「わたくしを挟んで熱く見つめ合って………!」


「はぁ!?なんでそうなる!?明らかにそんな甘いものではなかっただろう!?」


「そんなわけないじゃないですか!心外です!見つめてたんじゃなくて、睨んでたんです!睨み合ってたんです!!」



あら……?てっきりおふたりが視線で通じ合ってるのかと……違いますの?

なぜか両側から怒られていると、前からおずおずと遠慮がちな声が。



「あ、あの……今回の詳細をお話してもよろしいですか?」



あら。騎士団長様が蚊帳の外で寂しそうですわ。

大変失礼いたしましたわ!



「………コホン。騒ぎを起こしたのはマルコム・ガゼフ。ガゼフ男爵家の三男です。何ヶ月も前から城で働くことが決まっており、騒動の日の前日に地方の領地から王都へ入り、すぐにその日のうちに登城しました。つまりは一晩しか城で過ごしていない、新参者です。王都でもほぼ過ごしていないので巷の情報には疎く、殿下がスリムになられたことも知らなかったようです」


「ちなみに姫様がお痩せになられたことは王都の貴族から平民、老人から幼子にまでずずずいーっと!知れ渡っており、今や常識です!さすが姫様!」


「えぇ〜……」



ヤーナはなぜか自慢気に言いますが……わたくしの体重事情が国中にバレているなんて、なんだか恥ずかしいですわ。



「ま、まぁ…事実そうです。殿下がお痩せになったことは広く知られており、今や知らない者はおりません。ですがマルコムは、騒動の前日に訪れた、殿下を名乗る者は、その………()()()()だった、と証言しております。それが、何を意味しているのか……。考えられるのは、そもそもマルコムが殿下に誘いを受けたと嘘をついているか。もしくはふくよかな誰かが殿下に成りすましてマルコムのもとを訪れたのか。そこはまだ判断しかねております」



『ふくよか』。

うん、『デブス』は言いづらいですわよね。

お気を遣わせてしまって大変申し訳ございませんわ!


マルコムが嘘を?

わたくしにはどうにもあの日のマルコムが嘘を言っていたようには思えないのですわ。

だってそんなに器用な人間とは思えませんでしたし…嘘を付くなら普通、もっと尤もらしい嘘を付くと思いますの。


マルコムが嘘をついていなかったとして。

マルコムはわたくしのことを見てもレギーナとは気付きませんでしたわ。

そして『こんなに細くなかった』とも言いましたわ。

と、いうことはやはり、マルコムが会ったのはもっと太い別人…ということになりますわ。

だとすると、なぜわたくしよりも太っている人がわたくしの振りをしたのかしら?

マルコムと同じように王都の情報に疎かったから?

でも王都の全員ではないにしても、城に住んでいる者は皆わたくしが痩せたことを知っている…らしいですわ。

ということは部外者である可能性が高いですわ。

でも城に侵入なんてできるのかしら?

そもそも、城に侵入するような人がわたくしが痩せたことも知らないなんてことあるかしら?

普通、事前調査とかしますわよね?

わたくしが痩せたという情報はすぐにでも出てくるレベルのようですのに。

相当間抜けな犯人だった……とか?


もしくはマルコムがわたくしの体重事情を知らないと踏んで、太った方がわたくしの名を騙った?

でも……それってリスクが高すぎる気がしますの。

だってマルコムは城で働くんですのよ?

その日はまだ知らなかったとしても、聖女を殺害する前にわたくしのことを知る可能性は大いにありますわ。

だったら今のわたくしに似た背格好の方がわたくしの振りをした方がいいと思いますの。


でも………そうしたらマルコムは自分の知識と……『レギーナはデブス』という知識とかけ離れた姿の人間をレギーナとは信じなかったかしら?

それを危惧した結果、太った方がわたくしの名を騙った?


………いえ、そもそも。

なぜキャサリーナ嬢もマルコムも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


聞く限り、何か特別なことをしてその人間が自分をレギーナだと信用させた訳ではなさそうですわ。

でも人ってそんなに簡単に信用するものかしら?

部屋に姫が侵入するなんて…普通、考えられます?

信用しませんわよね?


信用せずにはいられない理由があった?

その方に命令されて、聖女を殺せる程の?


それこそやはり……見えざる力、『強制力』に思えてしまいますわ。



今回、説明が長くてすみません…。

どんどん核心に迫ります。


『氷のヤンデレ公爵令息と麗しき断崖絶壁伯爵令嬢のお茶会』のお話も明日更新予定です。

お暇でしたら読んでくださると嬉しいです。

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