53 デブス再び、ですわ
大変間が空いてしまい、申し訳ございません。
読んでくださり感謝です!
題名を変更しました。
今日は詩織様に暇をもらって、朝から魔法訓練場に参りましたわ。
わたくしもまだまだ未熟な身。
アナトリー師団長様にご教授いただいて、もっともっと魔法の腕を磨きますわ!
いろいろ気がかりなことは多いですが…そんなときは何かに打ち込んで忘れるに限りますわ!
「あら、珍しい。まだいらっしゃらないのですわね」
いつもはわたくしよりも先に訓練場にいる師団長様が今日はまだ来ていらっしゃいませんわ。
扉の前にヤーナを待たせておりますので、今は一人きり。
「少し自主トレーニングをいたしましょう」
わたくし、ひとり集中して試してみたいことがあったのですわ。
「光よ、我が手に……」
意識を集中し、自分の手に光を具現化しますわ。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、緻密に、細部まで。
ゆっくりと、ゆっくりと………。
「これは、なんと見事な……」
「!?」
驚いて振り返れば、そこにはいつの間にいらしたのか、師団長様が。
集中していたので気が付きませんでしたわ。
「それは…光で作った剣ですか?」
「そうですわ。光を集めて具現化したのですわ」
そう。今わたくしの手には、純度100%の光で出来た剣があるのですわ!
光なので本来ならば持つことはできないのですが、魔法で留めて形を保っているのですわ。
更に、光なので重さはほぼ無く、軽々と振るうことができるのですわ!
「こんなに細部まで美しく…。ふふふ、もう光魔法を使いこなしてらっしゃいますね」
「いえ、わたくしなんてまだまだですわ」
「レギーナ姫のゴールがどこなのか知りたくなりますね……」
なぜか遠い目になる師団長様。
たまに周りがこういう目になるのですが、なぜなのかしら。
「最早自分に教えられることは何も無いような気もするのですが…………とりあえず今日は光の壁がどこまで保つか試してみま…………」
『キャ――――――――ッ!!!』
「「!?」」
その時突然、叫び声が聞こえてきましたわ。
この声は………詩織様!!?
「向こうからですわ!」
「えっ!?待っ……!なりません!!」
師団長様がわたくしの腕を掴んで止めましまわ。
い、急いでいますのに………!
「危険です!レギーナ姫は行っては駄目です!!自分が行きますのであなたはここで待っていてください!」
「で、でも………!」
「あなたに何かあったら自分は悲しい。……………お願いです」
「………っ!」
真っ直ぐ見詰められてそんなことを言われれば、何も言えなくなってしまいますわ。
「詩織様のこと、お願いいたしますわ……」
「必ずや」
安心させるようにふっと微笑んで走り去って行く師団長様。
「……………なんてね!ですわっ!」
誰が大人しく待っているものですか!
自分にしか出来ないことがあるかもしれませんもの。
行くに決まっていますわ!
「詩織様………!」
心臓がバクバクと嫌な音を立てますわ。
どうか、どうか無事でいてくださいませ………!
******
「こら、暴れるな!」
「離…離せ!ええい!俺に気安く触れるな!」
騒ぎが起きている中庭に到着すれば、ひとりの青年をラルフが取り押さえていましたわ。
取り押さえられているのは下男らしき青年で、まだ年若く、二十歳にもなっていないように見えますわ。
「なっ……!レギーナ姫!どうしてここに!?」
「待っているだけなんて出来ませんわ!」
わたくしを目に留めて咎める師団長様を受け流し、怯えて立ち尽くしている詩織様に駆け寄りましたわ。
「詩織様!大丈夫ですか!?」
肩を抱けば、その体は震えていましたわ。
怖い思いをしましたわね……。
「………レギーナ様。わ、私は大丈夫です。でも、ラルフさんが………!」
「っ!ラルフ!?」
見ればラルフの上腕からは夥しい血が……!
恐らく詩織様を守った際に負った傷なのでしょう。
わたくしが暇をいただいてさえいなければ……!
騒ぎを聞きつけたたくさんの騎士たちが駆けつけ、ラルフに代わって青年を抑え込みましたわ。
「ラルフ、大丈夫ですの!?」
「大丈夫です。このくらい男の勲章ですよ。俺の筋肉は鎧ですから、このくらい掠り傷です!」
いつものようにニカッと笑う笑顔が眩しくて、なんだか逆に泣きたい気持ちになりましたわ。
とりあえずハンカチで傷口を縛りましたわ。
それでもまだ血が止まりませんわ……!
ラルフは畏れ多いと辞退したがっていましたが、わたくしのためにもさせてくださいませ……!
「わたくしが暇をもらってさえいなければ、あなたが怪我をすることも無かったかもしれませんのに……」
わたくしの発言を聞いて、なぜか苦笑されましたわ。
「いえ、むしろいなくて良かったです。あなたに何かあったら俺はこの国から抹消されてしまいますから」
「大袈裟ですわ……」
でも良かったですわ。
軽口を叩ける程元気みたいで……。
「俺はきのう姫に……レギーナ姫に命じられたんだ!レギーナ姫が直々に俺に命じたんだ!離せ!離せよ!!」
「!?」
わたくしがほっとしている横で、未だ暴れていた犯人の口から発せられたのは………またもわたくしの名前!?
「なっ!?で、出鱈目を言うんじゃない!」
「出鱈目なんかじゃない!姫は聖女を殺せば俺を重用してくれると言ったんだ!失敗しても誰にも咎めさせはしない、とも言った!」
「そんな訳ないだろう!!」
わたくし本人の目の前でこれ以上不敬な発言をさせないよう、必死に騎士たちが黙らせようとするも、青年の口は止まりませんわ。
「だからっ!俺はお前らなんかが捕まえていい身じゃないんだよ!おい、離れろ!」
「しつこいぞ!お前は牢に入るんだよ!来い!!」
わたくしが知らないところで、またわたくしが行動を起こしている……?
言い知れぬ恐怖に襲われますわ………。
「話が違ぇじゃねぇか!!今すぐ!あいつを呼べよ!!あのデブスな姫様をよぉ!!」
「………………え?」




