50 強制力、ですわ
投稿が遅くなってしまってごめんなさい。
読んでくださりありがとうございます!
ブクマ、評価、感想がとてもとても嬉しいです!!
立つ気力も無かったのか、よろよろと騎士たちに引きずられるように連れて行かれた令嬢。
それを見送りながら、嫌な音をたてている心臓を押さえましたわ。
『なぜあなたが邪魔をするんですか?』
小さい声だったのでわたくしたち以外には聞こえていなかったようですが、あれは間違いなくわたくしに向けられた言葉。
どういう意味ですの?
あれではまるで、まるで……………わたくしが彼女に『詩織様を殺せ』と命令したかのよう…………?
はっとして視線を移せば、困惑した顔のお兄様と詩織様、そして…オーリャが、こちらを伺っていましたわ。
「ち、違……!わたくし、何も……!」
「レーナ、落ち着いて。分かってる。分かってるから。とりあえず別室に行こう。ヴァシリー殿下も、聖女様もご一緒に」
オーリャに促され、別室へと向かうわたくしたち。
オーリャは何を?何を分かってらっしゃるの?
わたくしが彼女に命令したこと?
違う違う違う……わたくしは何もしていませんわ。
彼女のことも知らないし、会ったこと、も…………
『この世界には強制力があるのだそうです』
ふいに師団長様の言葉が頭を過りましたわ。
そう、そうよ……。やはり、強制力は存在するんですわ。
逃げられない見えざる力が存在するんですわ!
4人で別室に入ると、緊張のあまりパタンとドアが閉まる音にも肩をびくっと震わせてしまいましたわ。
これでは、わたくしが犯人だと言っているようなものですわ…!
「み、皆様……わたくし、わたくしは、何も……」
「分かってるよ、レーナ」
「大丈夫です、レギーナ様」
お兄様と詩織様がわたくしを宥めようとしますが……何を?何を分かっているというのでしょう?
わたくしには、わたくしにだけは、どうしたって回避できない悲惨な未来が待っているというのに!!
「全然分かっていませんわ!!」
「………レーナ?」
「わたくしは、彼女に会ったこともありませんし、なぜ!あんなことを言われたのかも、分からないのですわ!何も!!何も分からないのですわ!!」
「レーナ!大丈夫、大丈夫だから」
「何が大丈夫なんですの!!?」
「分かってるから。ちゃんと分かってるから」
「っ!」
突然オーリャに腕を引かれ、気付けば彼の腕の中に収まっておりましたわ。
それでもまだパニック状態にあったわたくしは、「分かってない!」「違う違う違う!」と喚き散らし、オーリャの胸をドンドンと叩き、いよいよ力尽きた頃……ようやく冷静になりましたわ。
ど、どうしましょう……こんなに取り乱しては逆に怪しいこと極まりないですわ。
皆様に軽蔑されていたらどうしましょう……。
またも嫌な音を立てる胸を押さえつつ、「もう大丈夫ですわ」と言ってオーリャから離れ、そうっと顔を上げれば………
「っ!」
兄はオロオロとしていて、詩織様は潤む瞳でわたくしを心配していて、オーリャは優しげな笑顔を向けてくれていて……。
そこには予想していた軽蔑の眼差しなどは全くなく、わたくしを気遣う眼差しがあったのですわ。
「大丈夫です。レギーナ様が指示したことではないことは分かっていますから。だって私を助けてくれたのはレギーナ様ですもの」
「で、でも…わたくしが助けて詩織様に恩を売る計画だったとしたら?助けるまでが計画のうちだったかもしれませんわ?」
親の愛情を試す幼子のように、ありもしないたらればを言い募ってしまい、はたと気付きましたわ。
わたくし自分で自分が怪しいと主張していますわ!?
今の発言全く必要ありませんわ!?
わたくしがあわあわとしていると、くすくすと詩織様が笑い出しましたわ……?
「ふふふっ。それは思い付きませんでした。でも、犯人ならそんなこと自分で言いませんよね?」
「で、でも……」
でもって何ですの!?
お黙りなさい!わたくし!!
「そうだぞ、レーナ!大丈夫だ!例えお前が指示していたとしても、俺が全て揉み消してやるからな!」
「お、お兄様……それは駄目ですわ………」
脱力するわたくしを見て、大きな口を開けて笑うお兄様。
………あ、もしかして。
右手が暖かいものに包まれふと見遣れば、それはオーリャの左手で。
「大丈夫。みんなレーナの味方だよ」
暖かい笑顔に胸が熱くなりますわ。
みんなみんな、わたくしを気遣ってくださいましたのね……。
でも………。
コンコンッと、ドアがノックされ。
「令嬢からの聴取がある程度進みました、が、その………」
歯切れの悪い報告。
場に走る緊張感。
『強制力』
その言葉がわたくしの胸にずんと重くのしかかりますわ。
「………入れ。話を聞こう」
お兄様に許可され、ゆっくり、おずおずと騎士が入ってきましたわ。
遅くてすみません!
早めの投稿頑張ります!




