49 忍び寄る影、ですわ
読んで下さりありがとうございます!
ブクマ、評価、感想、感謝感謝です!
すごくすごく、すっごく!!嬉しいです!!
わたくしたちがダンスを終えると、会場は水を打ったかのように静まり返り…………?
「え。なんで皆様呆けてますの………?」
やだ、怖い。
そんなにも見るに耐えませんでした?
わたくし、ダンスには少なからず自信があったのですが………自信無くしますわ。
わたくしは内心動揺しまくりながらも、とりあえずにこりと微笑むと、はっとしたように、弾かれたように、どっと拍手が起こりましたわ。
これってもしかして………『おらおら、ダンス終わったの見えへんのか?拍手せぇや?ゴルァ』って…………笑顔で圧をかけました!?
嫌ですわ………無意識に権力を振りかざしてしまいましたわ………。
「はぁ………。みんなしてレーナに見惚れて………」
「みなさま呆れていたのでは?」
「なんでそんなに自己評価が低いのか…………。レーナとレーナのダンスが美しすぎたんだよ。見せたくなかったな………」
オーリャ、持ち上げても何もございませんわ?
わたくししっかりと自分が見えている系女子ですもの。
「次はヴァシリー様と聖女様か」
「………そう、ですわね」
次に登場するおふたりのために、会場の中央から移動しますわ。
皆様、イケメンのオーリャに話しかけたいのか、ウズウズしておられるご様子。
でもこれからまだお兄様方とお父様方が控えているので、決して話しかけてはきませんわ。
場を乱してしまいますもの。
でも全員登場した後が怖いですわね……。
どっと押し寄せてきそうな予感がいたしますわ。
その時はわたくしは壁の花になりましょう。
地味ぃ〜に、空気になりますわ!
さて。詩織様の登場、ですか……。
ちろりと横目でオーリャを見上げれば、なんとも読めない表情で扉を見つめていますわ。
ドレス姿の美しい詩織様が出てきたら、オーリャはどうするかしら?
わたくしを置いて詩織様のところへ行ってしまうかしら……?
「ヴァシリー・アルエスク様、詩織・神崎様――――――――!!」
ついに、この時が来ましたわ。
名前を読み上げられた瞬間、全員が扉の方に注目したのが分かりましたわ。
わたくしは毎日顔を合わせておりますが、皆様は初めて詩織様をご覧になるのですもの。当然ですわね。
ゆっくりと大きな扉が開かれ、お兄様と詩織様が現れた瞬間――――その場の全員が息を呑みましたわ。
金髪碧眼、長身でイケメンという完璧な容姿のお兄様と、艷やかな黒髪にくりっとして愛くるしい茶色の瞳を持つ美少女の詩織様はあまりにも美しくて………本当に惚れ惚れいたしますわ。
「あっ」
その時、ふっと詩織様がこちらを見て、ふわりと微笑みましたわ!
ほんのりと頬を染めた、その微笑みときたら………!
「激カワ………!」
くっ!オーリャへ向けているであろう、恋するお顔が可愛すぎますわ!!
こんな笑顔を向けられれば、そりゃ惚れてまうやろ!ですわ!!
オーリャもさぞ嬉しそうに………?
「チッ」
まさかの舌打ちぃ――――――――!!?
はっ!これは嫉妬………嫉妬ですのね!?
『そんな可愛い顔、皆に見せてんじゃねぇよ』的な!?『俺の前でだけ笑ってればいいんだよ』的な!!?
ふっ………詩織様、わたくし完敗ですわ。
愛しているからこそ憎い……ってやつですのね。
昼ドラで見たことありますわ!
ダンスの最中も、チラチラとこちらを伺う詩織様。
恋ですわね……。
詩織様のダンスはまだまだぎこちなさがありましたが、皆様暖かい目で見てくれたご様子。
お辞儀と共に拍手が起こりましたわ。
………わたくしの時はすぐには起きなかったのに。
やはりわたくしはどこまでいっても悪役令嬢なのですわね。
強制力、強い………。
お兄様と詩織様は挨拶の後、真っ直ぐにわたくしたちの元へいらっしゃいましたわ。
そしてずっと隣でそわそわとしていましたが、両親の登場が終わると、弾けるように詩織様がキラキラとした笑顔で話しかけてきましたわ。
「レギーナ様!いつもの騎士服も素敵ですけど、ドレス姿もとってもとってもお美しいです!ダンスも完璧で…女神様のようでした〜」
「あら、見てらしたの?ふふっ、ありがとう。詩織様もとても可愛らしかったですわ。ピンクのドレスがふわふわと舞って、お花の妖精のようでしたわ」
「へっ!?そんな……レギーナ様にそんな風に言ってもらえるなんて……!嬉しいです!」
両手を胸の前で組み、瞳を輝かせる詩織様は小動物のようで、とても庇護欲をそそられますわ。
ああ、可愛らしいわ。
「オーリャもそう思いますでしょう?」
でも詩織様が一番欲しいのはあなたからの讃辞でしてよ。
わたくしのことは気にせず、ズバッとおっしゃってくださいませ。
「あー、可愛かったです」
えっ?それだけ!?
しかも真顔!!?
「ありがとうございます」
わぁ!?オーリャがそんな感じだから詩織様も真顔になっちゃったじゃありませんか!
この甲斐性なし!!
「ダンスの最中、ずいぶんと気が散っていたようですね?ダンスのときは目の前のパートナーに集中するものですよ?」
「私の尊敬する方から目が離せなくてぇ〜。見た目だけの人の毒牙にかからないか心配だったんですぅ〜」
「………面白いことをおっしゃる。その尊敬する方が見た目だけと思い込んでいる方をお望みかもしれないのに。それを世間では余計なお世話、と言うのですよ?」
………なんのお話ですの?
というか、なぜバチバチですの??
やはり愛しているからこそ憎いんですの?そういうことですの!?
わたくしがオーリャと詩織様を交互に見ていると、横からお兄様がわたくしの手をとりましたわ。
「レーナ。聖女に遅れを取る形となってしまったが、今日のお前は一段と綺麗だ。社交界デビューおめでとう」
「ありがとうございます、お兄様」
「婚約者がいなければ私がエスコートしたんだが……非常に残念だ」
「ヴァシリー殿下……」
「半分冗談だ」
「半分は本気なんですね……」
「というかお兄様には詩織様という素敵なパートナーがいらっしゃいますわ」
「私もレギーナ様のパートナーが良かった……」
「………あらまぁ」
和やかな雰囲気だった、その時ですわ。
詩織様の後ろから、不自然にふらりと近寄る黄色いドレスを着た女性が……次の瞬間。
「っ!?詩織様、危ないっ!!」
わたくしは咄嗟に詩織様を庇い、女性の手に手刀を入れましたわ。
衝撃を受け、カランッと音を立てて落ちたもの、それは――――――
「んな………!ナイフ!?」
小さな果物ナイフ。
でも、これで思い切り刺されれば無事ではいられなかったでしょう。
騒然とする会場。
「衛兵!すぐに捕えよ!!」
お兄様の指示により取り押さえられる女性。
取り乱すこともなく、ただ、呆然と見ているのは………わたくし?
「なぜあなたが邪魔をするんですか?」
彼女は静かな声で、確かにそう言ったのですわ………わたくしに。
果たしてシリアスな感じが書けるのか……不安でいっぱい。




