47 直接対決!?なのですわ!
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投稿遅くなってしまってすみません!
少し行き詰まっておりました……。
「レーナ…これはどういうことだい?」
「えぇっとぉ…」
「どうもこうもございません。姫様は王族の一員にも関わらず、聖女様の護衛と家庭教師をしていらっしゃいます」
「ヤ、ヤーナ………」
端正なお顔をピクピクと引つらせながらわたくしを恨めしそうに見るオーリャに、ジト目でわたくしを見ているヤーナが説明してくれましたわ。
えぇー。だってぇ…
「わたくしが護衛をするのが最善ではございませんか」
この国に女性騎士はいませんのよ?
わたくしは魔法も剣も使えますのよ?
わたくしが護衛になるのは自然な流れではないかしら?
「いや、全然自然じゃないから」
「いえ、むしろ不自然です」
オーリャ、ヤーナ……。こんなときばっかり息ぴったりですわね…。
「それにダンスのレッスンは家庭教師の仕事だろう?」
「それはそうなんですけれど……」
「僕とだって踊ったことないのに……!」
それはそうですわね。
詩織様はまだどの男性とも踊ったことがございませんもの。
今日はオーリャとの定例のお茶会…だったのだけれど、詩織様にダンスのレッスンをするために予定をキャンセルしたのですわ。
キャンセルしたはずですのになぜかオーリャがお城に来ているけれど!
なぜ詩織様がダンスのレッスンをしているかというと、近く、聖女様の歓迎パーティーが開かれるからなのですわ!
でも日本の普通一般的な女子高生だった詩織様がダンスを踊れるわけもなく。急遽、詰め込みで習得していただくことになったのですわ!
で、なぜわたくしが教えているのかというと、『知っている方に…できればレギーナ様に教えてほしいです!』という詩織様の強いご希望なのですわ。
ダンスは相手との距離が近いもの。
日本で生きてきた詩織様にとって、パーソナルスペースに知らない異性が入ってくるのはかなりハードルが高いようですわ。
「ならば男性パートも踊れるわたくしがお相手するのは自然な流れではないかしら?どうせ護衛で常に一緒にいますし」
「なんでだよ!全っ然!自然じゃないから!!」
「姫様の自然な流れの定義を知りたいものです」
「えぇ〜?」
ヤーナはわたくしの淑女としてのあり方について物申したいのだとして、オーリャは何をそんなに怒っていますの?
ご自分の予定を蔑ろにされたから?
いえ、そもそも。なぜここにオーリャがいますの?
「今日は予定をキャンセルさせていただいたはずなのですが……なぜいらっしゃいましたの?」
「…………駄目なのかい?」
「そんな、駄目では………」
………………いえ、やっぱり駄目なんじゃないかしら?口には出せませんけれど。
だって事前にキャンセルのお手紙を出しましたのよ?
来られても困りますわ。
「………もしかして」
わたくしが手紙に『詩織様の護衛とダンスのレッスンがあるので』と書いたから?
どさくさに紛れて詩織様に会いに来ましたのね!?
なんて策士なのかしら!
でも言ってくださればお繋ぎしますのに……。
「オーリャ。わたくし心の準備はできておりますわ」
「…………何の話だい?」
気を遣わなくてもいいですのに……わたくし、全てまるっと分かっておりますわ。
でも…そうね。優しいオーリャは直接言えないのかもしれないわね。
でも強制力が働くと嫌ですので早めに、且つ、円満に解決いたしましょう?
「ガルロノフ様。ダンスのレッスンに乱入するのは良くないと思います!」
「………詩織様?」
と思っていたら、まさかの詩織様からのクレーム。
詩織様はオーリャと一緒にいられて嬉しいのではなかったのかしら?
わたくしに気を遣っているのかしら?
一応、婚約者ですものね…。
もしくは練習中のダンスを見せたくないとか?
乙女心ってやつですわね!
「そういえば詩織様はオーリャと…ガルロノフ様と面識がありますのね?」
「あぁ、まぁ、はい。たまたまお会いしたときにご挨拶いただきました。レギーナ様の婚約者だと」
「!」
オーリャが自分でおっしゃいましたの?
婚約者であることは、てっきり人伝かと…。
でも普通、好きな相手に婚約者がいることを言うかしら?
………いえ、相手に対して遊びではなく、真剣な気持ちならば敢えて言うかもしれませんわ。
くぅっ!オーリャがもう既にそんなに本気だったなんて…!
「レギーナ様もパーティーに出るんですか?」
「ええ、出ますわ。わたくしは今までパーティーの類は出席してきませんでしたから、このパーティーが社交界デビューということになるかしら。詩織様と一緒ですわね」
「そうなんですか!?レギーナ様も社交界デビュー…!」
ちなみにオーリャは既にデビュー済ですわ。
男性はひとりで出席しても特に何も言われませんが、女性は『パートナーも用意できなかったモテない女』として認識されてしまうのだとか。
男尊女卑の思考が未だ残っているこの世界。
いずれはどうにかしていきたいものですわ。
……まぁ、そこはお父様かお兄様の仕事にはなりますけれど。
「詩織様はお兄様がエスコートいたしますわ。安心してください。お兄様はダンスが得意ですから、しっかりとリードしてくださいますわ」
「あー、王子様ですか………」
あら?なぜか晴れないお顔。
妹のわたくしが言うのもなんですが、お兄様は金髪碧眼のキラキラ王子。
地位も実力も兼ね備えておりますから、女性からは絶大な人気がございますのに…。
「レギーナ様はガルロノフ様と出るんですか?」
「!」
なぜ気付かなかったのかしら!?
婚約者だからわたくしがオーリャと出るのは当たり前だと思っておりましたが…詩織様はオーリャと出席したいはず。
失念しておりましたわ。
社交界デビューは特別な日。
特別な人と出たいに決まっていますわ。
詩織様も…………わたくしも。
オーリャと並んで会場に入る日をずっとずっと夢見てきましたわ。
でも………………オーリャが本当に一緒に出たいのは、わたくし?それとも……?
召喚の儀の場で見つめ合っていたふたり。
答えは………明白ですわ。
ずんと重くなった気持ちを奮い立たせますわ。
頑張れ、わたくし!
「詩織様は…一緒に出たい方がいらっしゃるの?もしそうであれば便宜を図りますわ。どなたでもおっしゃってください。老若男女、どなたでも!」
「レーナ!?」
嫉妬深いわたくしがそんなことを言うとは思いませんでした?
オーリャが目を見開いてわたくしを見つめていますわ。
「えっ!?変更出来るんですか!?」
「恐らくは。詩織様はこの国で最も尊重されるべき方ですもの。お父様に掛け合ってみますわ」
先ほどとは一転、キラキラと目を輝かせる詩織様。
そんなにオーリャと………。
「では私、レギー「ちょっと待ったぁ!!」
「………オーリャ?」
詩織様が可愛らしくオーリャの名前を呼ぶ前に、その言葉を遮ったのは、まさかのオーリャ本人。
「パーティーは3日後だ。ヴァシリー殿下も、もちろん僕も、パートナーのドレスに合わせた衣装を用意してしまっている。さすがにこのタイミングでのパートナー変更は間に合わないのではないのかな」
「確かにそうですわね…………」
パーティーに着ていく衣装は大抵、ペアである程度揃えるもの。
確か詩織様のドレスは淡いピンク。
対してわたくしは深い青。
それに合わせた衣装のパートナーをチェンジすれば、ちぐはくになってしまうのは明らかですわ。
困りましたわね…。
「そんなの簡単です!残ったふたりがひとりで出席すればいいじゃないですか!」
あー、なるほど。その手がありましたわね。
『残ったふたり』というのは、お兄様とわたくしのこと。
男性はひとりで出席しても何も言われませんから、お兄様はひとりで出席しても問題ございませんわ。
現に、今までもおひとりで出席なさっていたようですから。
対して、わたくしは…まぁ、いろいろと言われるでしょうね。
でも、問題は無いのではないかしら?
今までだっていろいろと言われてきたじゃない。
『デブ』『ブス』『性悪』。
そこに『婚約者に捨てられた哀れな女』というハッシュタグが増えたところで痛くも痒くもありませんわ。
「そうですわね、ではお兄様に言って―――――」
「お三方、冷静になってください。そもそも聖女様はヴァシリー殿下と出席なさることによって…つまりはこの国の独身男性のトップと出席なさることによって、聖女様が我が国にとって尊いお方である、という意思表示をしたいわけです。ですから今回ばかりは変更出来かねます」
「あ。そういえばそうでしたわね…」
「えぇ〜…そうなんですね……」
このパーティーにおいて最も重要なのは、聖女様を国を上げて大切にせよ、とアナウンスすること。
その大切な場で、お兄様がひとりで出席したにも関わらず、詩織様が婚約者のいるオーリャと出席なされば…何かしらの波紋を呼びますわ。
わたくしとしたことが…少し頭が混乱していたようですわ。
しっかりと自分を持たなければ…。
「ましてや女性同士で出席など……」
「えぇ〜、駄目ですかぁ?」
「今のところ前例はありません」
「前例が無いのであれば作ればいいんです!何にでも初めてはあります!」
「……だとしても今回ではないかと」
「チェッ」
己を見つめ直し、精神統一していたわたくしには、詩織様とヤーナの会話は聞こえていませんでしたわ。
「次回以降もレーナは僕と出席するんだ。君と出席することは無いよ」
「なんでよ!?聖女は公爵よりも立場が上なんだから、もっと敬いなさいよね!そして譲りなさいよ!」
「こんのクソ聖女め………!」
そしてオーリャと詩織様の会話も。
今回は長め。
次回は歓迎会です。




