45 決めましたわ!
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聖女様をお部屋へお運びし、お暇しようとしたら…縋って引き止められましたわ?
やはり、相当怖かったのですわね…お可哀そうに。
わたくしで良ければお側におりますわ、とお伝えすれば、へにょんと笑って…くぅっ!可愛いですわ!!
「わ…わ、私は神崎 詩織と言いまっしゅ!」
…噛みましたわ。
「詩織様…素敵なお名前ですわね。先程もご挨拶申し上げましたが、改めてご挨拶させてくださいませ。わたくし、アルエスク王国第一王女、レギーナ・アルエスクですわ。レギーナとお呼びくださいませ。よろしくお願いいたしますわ」
でもスルーいたしましたわ!
だってわたくし、淑女ですもの!おほほほほ!
「レギーナ様…。こ、こちらこそよろしくお願いします!」
詩織様とふたり、ヤーナたち侍女が用意してくれたお茶をいただきますわ。
詩織様はわたくしがこの国の王女だからか緊張なさっているようですわ。
地位が無駄に仰々しくてごめんあそばせ?
でも大した権力はございませんの。
「王女様……騎士ではなかったのですね」
「え?」
「レギーナ様は私がこの世界に召喚された時、あの場にいらっしゃいましたよね?あの時も今日も騎士様たちと似た制服だったので、てっきり騎士様かと…」
「あぁ…なるほど。そうですわよね」
なるほど!てことは詩織様が女性騎士がいると勘違いしていたのはわたくしのせいでしたのね!?
申し訳ないことですわ!
ここは責任を持って説明させてくださいませ!
「わたくしは騎士ではございません。鍛錬のために、よく騎士団の訓練に参加させていただいているのですわ。紛らわしくて申し訳ございませんわ」
「いえ、そんな!私が勝手に勘違いしただけですから!でも…お姫様に鍛錬って必要なんですか?」
「……………必要ですわ」
ヤーナ!後ろに控えているので見えませんが、ジト目でわたくしを見ているのが想像できましてよ!
えぇ、えぇ!普通のお姫様には必要ございませんわね!
でも詩織様ご本人に「詩織様を暗殺しようとして処刑されるのを回避するためですわ!」とは言えませんでしょう!?
「詩織様は騎士にご興味が?」
「騎士に…ですか?いえ、特別そういったことはないです」
「…………ないんですの?」
あら?事前情報とは違いますわね?
不思議に思ってヤーナをチロリと見れば…ヤーナは訳知り顔で、遠くを見ていて…え?何?どういうことですの?
「つまり、詩織様のご興味があったのは騎士ではなく…と、いうことです」
「きゃ♡」
「………………………?」
…………ワカラナーイ。
照れている詩織様は可愛らしいですが…ワカラナーイ。
詩織様がご興味あったのは騎士ではなく、つまり………
「わたくしですか」
「姫様!珍しくお察しがいい!!!」
「………馬鹿にしてますわね?」
まったく!ヤーナったらわたくしのことを何だと思っていますの!?
それくらい分かりましてよ!
ふんぞり返って説明してやりますわ!
「つまりはオーリャの横にいたあの騎士の女はどこのどいつですの!?ってことですわね!?」
「やっぱり姫様は姫様だったぁー!!」
ふふんっ。それくらい分かりましてよ!
やはり詩織様はオーリャに一目惚れしたということですのね。
大丈夫。分かっておりますわ。
きちんと心の中を整理いたしますから…もう少しお待ちくださいませ。
……………ヤーナ、何してますの?
主の目の前で床をドシドシ叩くのは侍女としてどうかと思いましてよ?
「それはそうと、わたくしずっと詩織様に謝りたかったんですの」
「えっ?何をですか?」
「その…わたくしのお父様のことですわ」
「レギーナ様のお父様……てことは王様ですか?」
「ええ」
詩織様が召喚されたあの日のお父様の態度は酷すぎましたもの。
国のためとはいえ、そして人に頭を下げ慣れていないとはいえ、横柄過ぎましたわ!
詩織様はあの日全てを失いましたのに……。
そのことを謝罪すれば、詩織様は遠心力で頭がぽーんと吹っ飛ぶんじゃないかというほど首を振られましたわ。
…………脳震盪にお気をつけくださいませ。
「大丈夫です!大丈夫です!あの日突然のことでなんだか感傷的になっちゃって、ついうっかり泣いてしまいましたが………後から思えば、地球…という私がいた世界で、家族はいませんでしたし、友達からは虐められていましたし、彼氏もいなかったですし、あの日犬のフン踏んじゃいましたし…何にも未練なんて無かったです!」
「それは大変でしたわね………」
詩織様は地球でお辛い状況でしたのね……。
ヤーナ。小さい声で「犬のフンは関係ないのでは?」とか言わない!
わたくしも気になりましたけども!
「それにお妃様からも謝罪していただきました」
「お母様が?」
「はい。『本当にごめんなさいね。国王は殴っておいたから!』って言ってくださいました!本当に妖精のように可憐な方で…素敵でした〜」
「「……………………………」」
お母様なら本当に殴ったに違いありませんわ。
相変わらず見た目が詐欺な方ですわ…。
そして詩織様。「殴っておいた」と謝罪してきたお母様をよく「妖精のように可憐」だなんて言えましたわね……?
「それにお城での生活は快適で!みんな優しいしごはんは美味しいし、最高です!異世界転移して良かったです!」
「そ、そう?詩織様が気にしてらっしゃらないのなら安心いたしましたわ」
どうやら詩織様はなかなか逞しい方のようですわ。
ずっとそのことが気になっていましたので…一安心ですわ!
「それと、謝罪を申し上げたかったのもそうなのですが…詩織様にはお礼も申し上げたかったのですわ」
「お礼、ですか?」
「はい。勝手に呼んでしまったにも関わらず、我が国で生きていくことを決めてくださり、ありがとうございます。詩織様のおかげでこの国のたくさんの命が救われますわ」
「わたしの、おかげ………?」
「はい、詩織様のおかげですわ。心から感謝いたしますわ」
感謝の気持ちを込めて微笑めば、詩織様はくしゃりと泣き笑いのようなお顔になりましたわ。
「そんなこと言ってもらえたの初めてです。こちらこそありがとうございます………!」
その表情とお言葉で、彼女が今まで壮絶な人生を歩んできたことが伺えますわ。
詩織様にはこの国で心穏やかに過ごしてほしいものですわ。
それなのに、命を狙われるなんて………!
ええ、そうよ!!
「決めましたわ!わたくし、詩織様の護衛になりますわ!」
「……………はいっ!?」
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