42 小説の始まりですわ!
読んで下さりありがとうございます。
ブクマ、評価、感想、とてもとても嬉しいです!!
聖女様が大きな目を零れ落ちそうなほど開き、こちらを見ていますわ。
そして、オーリャも目を見開いて聖女様を……。
なぜ?なぜ聖女様はこちらを見ていますの?
なぜオーリャは聖女様を見つめていますの?
やはり、強制力が働いてしまっていますの…?
「聖女様。我らの喚びかけに応えて下さり感謝いたします」
師団長様が代表して聖女様に声をかけると、聖女様はゆっくりと、名残惜しそうにこちらから目を逸らし、師団長様へと視線を移しましたわ。
「……え。髪が緑?ていうか聖女って…?」
目をまんまるにして師団長様の髪を凝視する聖女様。
師団長様の緑の髪は地球では存在しない髪色。
ファンタジー過ぎてすぐには受け入れられませんわよね。ええ、分かりますわ。
あまりにも凝視するものだから、師団長様が居心地悪そうにしておりますわ。
でも仕方のないこと。
だって地球の真理を逸しているのですもの!
師団長様。ここは我慢なさってくださいませ。
まぁ、魔法やら魔物やら、これから聖女様はもっと驚くことになると思いますけど…。
急に喚び出されて困惑しきりの聖女様に、師団長様が丁寧に説明を始めましたわ。
この国はアルエスク王国で、ここはその王城であること。
この国が現在魔物の増加により危機的状況にあること。
聖女様がいてくだされば自然と魔物が浄化されること。
聖女様は今後、死ぬまで国で大切に保護されること。
「異世界転移、だなんて…私が?そ、それで、私は…元の世界に帰れるんですか?」
「………………それは、無理です」
「そんな…………」
聖女様の大きくて綺麗な瞳から涙がぽろりと落ちましたわ。
そりゃそうですわよね。
だって彼女は今まで当たり前だったものを全て、一瞬にして無くしてしまったんですもの…。
そんな彼女に近付き、頭を下げたのは…
「へ、陛下!」
「お父様!?」
お父様はこの国の国王。
簡単に頭を下げることは許されませんわ。
それなのに、お父様は周りを気にすることなく、いえ、むしろ周りに見せつけるように、聖女様に頭を下げ、謝罪の意を示したのですわ。
これにより、改めて聖女様は我が国で擁護するべき対象である、ということを暗に示したのですわ。
聖女様はお気付きではないでしょうけど。
お父様は頭を下げたまま、止めようとする師団長様を手で制し、へたり込んでしまっている聖女様を見据えましたわ。
聖女様も目の前で頭を下げているのが一国の王だと知り、狼狽していますわ。
心中お察しいたしますわ…。
「この度は我々の身勝手な理由で貴殿を我が国に招いてしまったこと、大変申し訳なく思う。国を代表して謝罪しよう」
「や、やめてください!王様ですよね!?」
「確かに余は王だ。だが余の代わりはいるが、貴殿の代わりはいない。それほどまでに貴殿は我が国にとって大切な貴賓だ」
「私が、王様よりも大切なお客様…!?」
聖女様のお言葉に鷹揚に頷くお父様。
でも………なぜかしら?
聖女様がご自分よりも大切、と言っておきながらのあの威圧感。
聖女様の緊張が全くほぐれませんわ?
お可哀そうに…。
まだこの国に喚び出されたことも、城に滞在することも納得していないでしょうに、このままでは…
「明日以降、改めて詳しい説明をしよう」
「え、ちょ…いや、待って」
「急なことで混乱していることだろう。今日は休め。城に滞在するということで良いな?貴殿の部屋は用意してある。案内させよう」
「え、あ…はい、ありがとうございます?」
「今後もよろしく頼むぞ」
「あっ、はい!」
ほらね?
未だ疑問符をたくさん浮かべ、そして何が疑問なのかも解決しないまま、流されるままに同意してしまった聖女様を、あれよあれよという間にお部屋へ案内させるお父様。
…さすがの手腕ですわ。
そしてやっぱり終始上から目線でしたわね、お父様。
貴賓て何ぞ、ですわ。
とはいえ、これで聖女様が我が国で最も大切な方なのだと皆に示されましたわ。
彼女を害そうとすれば誰であろうと処分の対象。
そう、それが例え王族の一員である、王女であろうとも。
これで『ミラファン』の土台が出来上がってしまいましたわ…。
恐る恐る隣を見上げれば―――
「まさか、そんな…」
と、呟き、愕然としているオーリャが。
『まさか、そんな』?
思っていたのとどう違いましたの?
聖女様が想像以上にお可愛かったですか?
想像以上に惹かれましたか?
わたくしはもう、いりませんか…?
とうとう、ストーリーが始まってしまいましたわ。
そして恐らく…強制力が、働き始めたのですわ。
次回は早めに投稿の予定!
但し!予定は未定!だっ!




