40 行きますわー!
読んで下さりありがとうございます!
本当に嬉しいです!
「ああああああああ〜〜〜」
あの後師団長様に魔法のご指南を受けましたがほとんど覚えておりませんわ!
新しい情報が多過ぎましたわ!
『強制力』
小説のストーリーから外れると元のストーリーに戻ろうとする見えざる力。
まさかそんなものが存在しているなんて…。
過去の転生者がそのように言っていたのなら、そして結末を知っていたのに処刑されてしまったのなら…恐らくその力は実在するのでしょう。
なんてこと…。どうしたらこの力に勝てるのかしら…。
そもそもそれは何による力なのかしら?神?この世界の作者?
わたくしはどうやっても処刑されてしまう運命なのかしら…。
それとも師団長様がおっしゃるように逃げる?
し、師団長様と、一緒、に………?
『よければ自分と駆け落ちして結婚しませんか?』
きやぁぁぁあああ!!!
この言葉を思い出すたび悶絶してしまうのですわ!!
だって、だって…!まさかププププロポーズされるなんて…思っていなかったんですもの!
いえ、師団長様がわたくしを魔法の研究対象としてしか見ていないことは分かっておりますわ。
恋愛感情とは程遠いことも存じております。
でもでも…わたくしだってお年頃の乙女ですわ!
心臓ぎゅんっと掴まれてしまいましたわ!ぎゅんっと!
思わず奇声を上げながらだらしなくソファに沈み込んでしまったのも仕方がないと思いますの!
心のふわふわをどこかにぶつけなければわたくしの頭もふわふわと飛んでいってしまいそうだったんですもの!
でも何やら不穏な気配を感じ、クッションにグリグリしていた顔を上げると…あ。ヤバ。ヤーナの目が光りましたわ。
「…なんてことでしょう。光魔法には精神を蝕む作用があったのですね!?すぐにお医者様に診てもらわなければ…!」
「ヤーナ…………淑女らしくいたしますから嫌味はやめてくださいませ!」
「お分かりいただけて良かったです。姫様はこの国の淑女の代表ですから、いついかなる時も淑女然としていていただかなければ」
「代表、かぁ…」
でもその代表は淑女のままこのお城にいたら、いつか処刑されてしまうかもしれませんのよ!
恋する気持ちが暴走して聖女様を害す、大悪女になるかもしれませんのよ!
先日やっとこの世界が本の通りではないかも…なんて安心しましたのに。
皆さんの「無いな」という言質もいただきましたのに!
糠喜びも甚だしいですわ。
わたくしが殊更優雅にソファに優雅に座り直し、今後についてぐるぐる考えていると、扉がノックされましたわ。
どなたかしら?
「レギーナ姫様、ご無沙汰しております」
「ノンナさん!お久しぶりですわ!」
ドレスの試着と採寸の日依頼だから…一週間ぶりくらいかしら?
「本日は取り急ぎ仕立てたドレスと、王妃様からのサプライズプレゼントのお届けに参りました」
「サプライズプレゼント?」
何かしら?
特別なドレスとか宝石かしら?
でもわたくしそういったものに興味は…
「女性用の騎士服です!」
「ぬほぉお――――――――――――!!!」
姫らしからぬ叫び声が出ましたわ!お腹の底から!
ヤーナ!淑女らしからぬ反応を怒らないで!だって嬉しすぎるんですもの、仕方がありませんわ!
ラルフ!なんでもないからもう一度ドアの外で立ってて!試着するから!ゲットアウト!ナウ!ですわ!!
「お召替えお手伝い致します」
「ドレスを脱がせるのを手伝ってくれるだけでいいですわ。あとは自分でやりますわ」
コルセットを脱ぐのは大変ですから手伝ってもらうとしても、騎士服を着るのは自分でできるようにしておかなければですわ。
だって遠征先でヤーナに手伝ってもらうなんてできませんものね。
それにわたくしには前世の記憶がありますもの。
ドレスは無理ですがこれなら自分で着るのは全く問題ありませんわ!
いつでも遠征・討伐いらっしゃいですわ!
「見て!とても素敵ですわ!着心地もばっちり!」
「よくお似合いですわ!」
「ええ、本当によくお似合いです」
なんということでしょう!
自分に会った服というものはこんなにも着心地がいいものですのね!
これぞ匠の技!
今までもドレスは自分のサイズで作っていただいてましたけど…どうやってもあれは着心地よくはなりませんものね…。
なんせ最後はコルセットでぎゅうぎゅうに絞りますもの!
でも騎士服のように前世の洋服に似た動きやすいものでオーダーメイドは初めてですわ。
それがこんなにもフィットして動きやすいだなんて…感動ですわ!
そして見た目も素晴らしいですわ!
他の騎士団の方々と基本は同じ、白ベースの上着にシャツとパンツ。
でも男性の服と大きく違うのは上着の造りですわ。
ウエストを少し絞ってあり、華奢なからだで着ると野暮ったくなりがちな上着もスタイリッシュになっておりますわ。
そしておしり周りのシルエットを見せないよう、丈も少し長めに、スカートのようになっておりますの!
この世界で女性がパンツをはくことはあまりございませんから、おしりのシルエットが顕になると下品だと騒ぐ方々もいるかもしれませんもの。
さすがノンナさんですわ!
至れり尽くせりですわぁ!
「ノンナさん、ありがとうございます!ではヤーナ!さっそくお母様にお礼を言いに行って、騎士団の訓練に顔を出しに参りましょう!そして騎士団長に遠征の予定がないか聞かなければですわ!」
「姫様!遠征は行かなくてよろしいです!訓練だけにしてください!姫様聞いてます!?姫様!!」
よーっし!
悶々としてしまいましたが、打開策を模索するにはまずいろいろな知識と技術、情報を入手しなくては!
戦える材料は多い方がいいに決まっていますもの。
俄然やる気が出てきましたわ!
打倒『強制力』!
見えないものなんかに、わたくしは負けませんわぁ!
「さぁ!行きますわよー!」
「姫様!聞いてくださ…ちょ、ちょっと待って!姫様――――――!!」
突っ走りますわー!




