36 ご勘弁をぉ〜!!なのですわ!
読んで下さりありがとうございます!
区切りがいいので少し短めです。
先程新しい連載を始めました。
こちらはゆっくりの連載となりますので、箸休め的な感じで読んで下さると嬉しいです!
「レーナ……少し話せるかい?」
謁見後、どこか躊躇いがちにオレグ様に声を掛けられましたわ。
いつものオレグ様は、優雅で大人な王子様。非の打ち所が無くて、美しくて。
身分だけが取り柄のわたくしが隣に並ぶだなんておこがましい程の完璧な方…だったのだけれど。
今のオレグ様はどこか自信無さげで心もとなくて…こうして見ると、年相応に見えますわ。
「もちろんですわ。天気もいいですし、東屋にお茶をご用意いたしますわ」
ヤーナに視線を送れば、すぐにお辞儀して退出しましたわ。
デキる侍女は視線ひとつでお茶の用意をしに行ってくれるのですわ!さすがですわ!
「……では、東屋までエスコートしてもいいかい?」
「お願いいたしますわ」
スッと出された手に手を重ねれば、きゅっと軽く握られ、嬉しそうに微笑まれて…
「こ、腰が砕けそうですわ…」
格好悪いところを見ても…ううん、むしろ格好悪いところを見られたからこそ。
心も近くに感じて、前よりも素敵に見えてしまうのですわ。
ダメですのに…。いつかこの方は聖女様のものになってしまうのに…。
胸がきゅうっと締め付けられてしまい、オレグ様に引かれている方とは逆の手で、そっと胸をおさえたのですわ。
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「「…………………」」
気まずいですわ…。
だ、だってついさっきオレグ様が…わたくしのことをああああ愛してるだなんて…愛してるだなんて仰るんですもの!
緊張してしまうのは仕方がないと思いますの!
例え!将来的には聖女様を愛するんだとしても!今は…今だけは!オレグ様はわたくしのことを………ああああ愛、愛、愛、愛してる…愛してるんですもの!ひゃあああ!!
ううん、駄目よ…期待しては駄目なの。分かっていますわ。
今はわたくしのことをあ、愛してくださっていたとしても、それを上回る気持ちで聖女様を愛する日が来るんですもの……。
でも…本当にそうなのかしら?
あの小説は絶対なのかしら…?
「レーナ、ごめん!!」
「え?」
思考の深い海に沈んでいたわたくしに、突然ガバリと頭を下げて謝罪なさるオレグ様。
そ、それは…何の謝罪ですの?
ハッ!もしかしてさっきの『愛している発言』はレギオン殿下の売り言葉に買い言葉で本心じゃなかった、とか!?やっぱ無しとか!!?
「姫様、恐らくですが違います」
ヤ、ヤーナ!?あなたわたくしの思考が読めますの!?エスパーですの!!?
驚いてヤーナを振り返るも、しれっとした様子。
え、読めますの!?読めませんの!?どっちですの!!?
「その…僕のせいでレーナが悪く言われるだなんて思わなかったんだ…」
「あ、そのことでしたのね」
「え?」
なーんだ。先程の発言の取り消しではございませんのね。
そのことに関しては全く気にしていませんでしたわ。
だって…わたくしを好きだったからこその行動だったのでしょう?
「正直、少し…嬉しかったのですわ」
「嬉しかった?」
「ええ。だってわたくし、オレグ様に何とも思われてないと思っていましたので…」
「そんなけないだろう!?何度も『好き』って言っていたじゃないか!」
「それは……………婚約者に対するリップサービスかと」
「そんなバカな……」
でも今回はお父様…つまりは国王の前での発言。
国王に嘘の発言をすれば罰せられますもの…。信憑性が高いのですわ!
項垂れ、落ち込むオレグ様。
そんなに落ち込むほどわたくしのことを…?
「少なくとも聖女様が現れるまではわたくしのことを好きでいてくださいますのね…」
「え?」
「あ、いえ。なんでもございませんわ!」
気が抜けてうっかり口に出してしまいましたわ!危ない危ない。
まぁでも独り言なんて軽くスルーしてくれ…
「聖女が来るまではって……どういうこと?」
…ませんでしたわ―――――!?バッチリ聞かれてましたわ!?どどどどうしましょう!?
い、いえ。落ち着いて誤魔化すのですわ!
だって前世の記憶があるとかこの世界のことを本で読んだとかそんな頭がおかしいと思われそうなこと言えるわけ…
「レーナ?」
はぅんっ!
出ましたわ!?『オレグ様の必殺貴公子スマイル〜背中に闇を背負っているバージョン〜』が!!!
格好良くて見とれてしまうのに背中の冷や汗が止まらないのですわぁぁあ!!
「いえ、ちょっと言い間違いというか何というか…」
「レーナ?」
「白昼夢を見ていたというか何というか……」
「レーナ?」
「………………堪忍してくださいませぇぇええぇぇえ!!!!」
「逃さないよ?」
そんな、殺生な!?
ニコニコと笑みを浮かべるオレグ様。
怖いですわぁ!!?
バレた!!




