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9 婚約者襲来!なのですわ!

いつも読んでくださり、ありがとうございます!

ブクマ…嬉しすぎるぅ〜!!



「僕が君を守るからね。離れてはダメだよ?」

「は…はいぃ!」


馬車の中でにこやかにそんな胸キュン発言をしたのは…まさかのオレグ様なのですわ!

お手紙で討伐に行くのでお茶会は出来ませんとお断りしたら…すぐに自分も行くというご連絡をいただきましたの。

なんでしょう…デジャブ?行動がお兄様と似てますわ!

ですがお兄様はわたくしを愛しているが故の行動ですが、オレグ様は…婚約者としての義務でしょうか?いまいちよく分かりませんわ。

この方はいずれ聖女様の伴侶になるのですから、あまり親しくはしたくありませんのに…。

なのに、先程から距離が近いんですの!!王家の馬車ですからとても広いのに、ずっと肩が触れ合っていますわ!!決してわたくしが太いからっていう理由だけではありませんのよ!?

そう!オレグ様はなぜか隣に座っていますの!普通は対面ではなくて!?わたくし、心臓がずっと全力疾走しておりますわ!!


「ヴァシリーが来られなくて残念だったね」

「そ、そうですわね…お仕事がお忙しいですものね…」


全然残念ではなさそうですわ!?にっこにこですわ!?

お兄様はどうしても行きたいとごねにごねておりましたが、政務が立て込んでいて今日は来られなかったのですわ!今朝もパーヴェル様が豪快に泣くお兄様の首根っこを掴んで引きずって行きましたわ!

パーヴェル様はお兄様の部下のはずなんですけど…たまに逆に見えるのは気のせいかしら?


「オレグ様は…どうして急に同行することになさいましたの?」

「婚約者を守るのは当然だろう?自慢じゃないけど僕は魔法も剣術もなかなか優秀なんだ。君のことは必ず守るよ」

「ふぎゅっ」


ときめき過ぎて変な声が出ましたわ。そろそろ死ぬかも…!


『君を守る』


好きな人に言われたい言葉トップ3に間違いなく入っているであろう言葉を、こんな至近距離で……!

うきゃぁぁあああ!!!


久しぶりに会ったオレグ様は本当に格好良くてキラキラで、スマートで、大人の()()があって……。

そう。わたくしとは違って余裕があって、どこか他人行儀で、本当のお心が見えなくて。………わたくしのことはやっぱり好きではないのだろうな…って、改めて気付いてしまいましたわ…。


胸が、苦しいですわ……。

婚約者なのに片想いだなんて。今まで気付かなかったですわ。あのまま気付かなかったら楽でしたのに…。

でも気付かなかったら破滅への道を突っ走っていたに違いありませんから、良かった……はず、ですわ。


わたくしが無意識に俯いてしまっていると、オレグ様が悲しそうな顔で覗き込んできましたわ。

ち、近い………!


「それよりも…ねぇ、レーナ。最近君と距離を感じるんだ。手紙も減ったし、お茶会も無くなってしまったし…。それに、どうして前みたいにオーリャって呼んでくれないの?僕は何かしたかな?」

「ぁ……えっと………その…………」


だって追々オレグ様は聖女様と結ばれる予定で、わたくしは処刑される運命なんですもの!………とは、言えない。頭オカシイと思われてしまいますわ。

どう返答すべきか考えあぐねていると……あら?どんどんオレグさまの纏う空気が不穏なものに変わってきました……わ?


「もしかして………他に好きな人でもできた?この頃レーナは護衛のラルフや料理長のボリスラーフと仲良くしてるんだってね?あぁ…最近は騎士団で騎士たちに混ざって訓練してるんだっけ……。くそっ、いつの間にか敵が増えたな………」


最後の方は声が小さかったので何を言っているのか分かりませんでしたが、最初の方の言葉を解釈するに、わたくしがふたごころを抱いていると思ってらっしゃる!?

………はっ。このままそう思わせて婚約破棄を狙うのもありですわね!?


いえ、でも…………好きな人に浮気者と思われて捨てられるのは嫌ですわ。この恋が決して実らないとしても、わたくしのこの気持ちは大切な大切な宝物。来たるべき時が来れば、オレグ様は聖女様にお譲りしますわ。でも、この気持ちだけは…何があっても、誰にも傷を付けさせたくありませんわ。一生の宝物ですもの。

きっと牢屋であろうと、他国であろうと、この思い出がわたくしの生きる糧になるはずですわ。


「いらぬご心配をおかけいたしましたわ。わたくし、最近自分磨きに目覚めましたの!ダンスや料理、護身術や剣術。習うからには極めたいと思っているのですわ!」

「レーナはいつも突き詰めるまで頑張るもんね。でも、それは…誰かのためではなくて?」

「っ!いいえ!わたくしはどなたにも懸想しておりませんわ!」

「本当に?それは…僕のことも?」

「……?」

「僕のことももう、好きではないってこと?」

「!?」


はぁぁぁん!!

そんな仔犬のような目で見ないでくださいませ!!

わたくしはオレグ様が好きで好きで仕方がないに決まっているではありませんの!!

というか、なぜ好きでもないわたくしの気持ちなど知りたいのです!?男のプライドですの!?


いつもでしたら「好きに決まってますわ!」と叫んでいるところですが、今のわたくしは違いますわ!だって捨てられると分かっているのですから…


「もう、レーナは僕のことが好きじゃないんだね…寂しいな………」

「好きに決まってますわぁぁ!!」


って言っちゃいましたわぁぁぁぁ!!?

だってだって、あんな悲しそうな顔されたら言ってしまいますでしょう!?

あぁぁ!オレグ様の嬉しそうな笑顔が眩しいですわぁぁ!


「じゃあ今まで通り、オーリャって呼んでくれるよね?」

「あ、いえ、でも………」

「呼、ん、で、く、れ、る、よ、ね?」

「……………………………はい」


勝てませんわ…勝てるわけがないのですわぁぁ!!

だって好きなんですもの!すごくすごく好きなんですもの!!


「良かった。でも、なんで急に呼んでくれなくなったの?手紙やお茶会のことも、なんでだか聞きたいな?」

「へ………?」

「聞、き、た、い、な?」

「は、はい……!」


笑顔の圧が……怖いですわ!?


そして馬車の中という密室で、麗しい笑顔の婚約者による尋問が始まったのですわ……。

なぜですの!?



オレグ様、我慢できず襲来!

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