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1 思い出しましたわ!

読んで下さりありがとうございます!

勢いで書いております。

気負わず読んで下さい。



「なんってことですの…!」



わたくしはレギーナ・アルエスク。

アルエスク王国の第一王女ですわ。


ハーブティーをひとくち飲み、ほっとひと息ついたところで……突然、わたくし全てを思い出しましたの。




そう……、前世の記憶を!




………頭がおかしくなった訳ではございませんのよ?

えっ?薬もやっておりませんわ!?


わたくし、前世では地球という星の普通の女の子でしたの。

そこは身分制度もなく、あらゆることが自由でしたわ。


女性がズボンを履くことも、短いスカートを履くことも、恋愛も自由でしたわ!

わたくし?わたくしは…ど、どうだったかしら?



…コホン。それはともかく。



恋愛には縁のなかったわたくしにも楽しみがございましたの。

それは恋愛小説!特にファンタジーものや中世ヨーロッパの舞台のものが好きでしたわ!

お姫様と騎士の恋。敵対する国同士の王子とお姫様の恋。

自由恋愛ももちろんいいですけど…許されない、秘める恋。

あぁん!じれったいですわぁ!素敵ですわぁ!



…コホン。それはともかく。



前世のことを思い出してわたくし、重要なことに気が付きましたの。


それは…この世界が前世で読んだ小説、「ミラクルファンタジー 〜異世界で聖女は恋に落ちる〜」略して「ミラファン」の舞台だっていうことに!


なんてこと…!こ、これが、異世界転生…!!




本の舞台は中世ヨーロッパに似た異世界のどこか…そう、このアルエスク王国ですわ!

この世界には魔法があり、魔物もおりますの。


小説のストーリーはこうですわ。


この世界では数百年に一度、魔物が爆発的に増えることがあり…そんなとき、異世界から聖女様を召喚するのですわ。

聖女様は存在そのものが尊いのですわ。

なぜなら、聖女様が存在することによって魔物が浄化され、数が激減するのですわ。

すなわち、絶対に守らなければならない存在なのですわ!


それなのに、彼女を暗殺しようと企む者が現れるのですわ。


それは……そう!デブでブスの悪役令嬢、わたくし、レギーナ・アルエスクなのですわ!


………なんてことですの!!?


わたくしは婚約者の公爵家令息であるオレグ・ガルロノフ様が聖女様とイチャイチャしているのを偶然見かけて大激怒。

なんと絶対的聖なる存在である聖女様を暗殺しようとするのですわ!


存在するだけで魔物を滅する聖女様を殺そうとすること…即ちそれは、国を脅かそうとすること。

絶対にあってはならない、重罪なのですわ!


けれど暗殺する直前に罪が明らかになってしまい、レギーナは……実の父である国王の命により処刑されてしまうのですわ。


そして聖女様とオレグは幸せに暮らす…即ちざまぁハッピーエンドなのですわ!!




って、ノォォォォォォオ!!!




ノー処刑!ノーざまぁ!


自分が読んでいたときは聖女とオレグのやりとりにきゅんきゅん!レギーナざまぁ!って楽しんでおりましたが…自分が件の悪役令嬢になってしまってはこれっぽっちも楽しめませんわ!むしろ恐怖しかありませんわ!?




…ということで、わたくし、全力で処刑を回避したいと思いますの!

うっふっふ。

わたくしの華麗で素晴らしい計画はこうですわ!




処刑回避計画その1!


レギーナ…つまりわたくしは、デブでブスなのですわ!


と言っても、記憶を取り戻すまで全く自分の体型に気付いておりませんでしたが!!

なぜこんなにも太っていたのに気付かなかったの、レギーナ!?

小さい頃は太っていなかったはずですのに…いつの間に!?


緩く波打つ金の髪に、深い青の瞳。

素材はいいはずなのに、今は太っているがために台無しですわ。


ダメですわ!美しくなくとも…せめて無難になりたいですわ!

このままだと生理的に無理…みたいなことになりかねませんわ!?

むしろもうなっているかもしれませんわ!

そしてその嫌悪感が処刑フラグに繋がりかねませんわ…!恐ろしい!

なぜこんな状態になるまで気付かなかったのか…。自分に甘すぎましてよ、レギーナ!


とにかく運動とヘルシーな食事!これですわ!

目指せ、無難な姫!…あら?ハードル低すぎまして?




処刑回避計画その2!


オレグ様との婚約を解消致しましょう!


記憶が蘇ったとはいえレギーナとして生きてきた人生も無くなってはおりません。

ですから大好きな大好きな……もひとつ大好きなオレグ様と婚約解消するのはとても悲しいですが、処刑されるのはもっとごめんですわ。

ここは涙を飲んでオレグ様を聖女様にお譲りいたしましょう!


まず手始めにきのうまではオレグ様のことを愛称で“オーリャ”と呼んでいましたが…これからは距離をとって“オレグ様”とお呼びすることにいたしますわ。

まずは形から入るのも大事ですのよ?


オレグ様のお家は公爵家。つまりは王家の次に偉いのですわ。

なので今更こんなデブでブスな姫が降嫁してきても何の意味も成さないのですわ。

なのにレギーナ…つまりはわたくしの我が儘のせいで、オレグ様はわたくしの婚約者となってしまったのですわ!

だからオレグ様はわたくしに好意は疎か、下手すれば殺意さえ抱いているかもしれませんわ……!


今まで目を背けてきましたが、これが事実なのですわ。

わたくしが言うのもなんですが…オレグ様、お可哀そう!


だってオレグ様はそれはそれは美しい男性なのですわ。


透き通るような銀の髪に金色に輝く瞳。

細いように見えてしなやかでガッチリとした体。

学問も剣術も、全てにおいてパーフェクトな方。

それがオレグ・ガルロノフ様なのですわ!


はぁ…素敵ですわぁ〜!


そんなオレグ様ですから、とてもとても女性から人気がございますの。

だから今までのわたくしはオレグ様を自分に縛り付けるのに必死でしたわ。


『手紙は毎日欠かさず書け』ですとか、王都から少し離れた学園の寮に住んでらっしゃるのに『週末には必ずお茶をしに王城に来い』ですとか、とにかく横暴な要求をいくつも突き付けていたのですわ!


オレグ様は王族の要求を断ることもできず、律儀に守ってくださっていたのですが…レギーナ、なんて暴君で馬鹿なんでしょう!

そんな扱いを受けてオレグ様がレギーナを愛するわけがないのに……!


今日、すぐにでもオレグ様にお手紙を書きましょう!

毎日の手紙も週末のお茶会も無くしましょうと提案いたしましょう!


婚約解消はお家が絡んでくるもの。

今すぐに婚約解消をすることはできませんから、次回お会いするまでにそこのところは詰めて考えておくことにいたしましょう。そうしましょう。

問題の先送り…ではございませんのよ?




そして、処刑回避計画その3!


もしどうやっても処刑が回避できそうになかったら…アルエスクから逃げてしまいましょう!


当面の逃亡資金は現在持っている宝石を売り払うとして、その後は…どうしましょう?

わたくし太ってはおりますが、実はダンスが得意ですの。

動けるデブですの!えっへん!

頑張って細くなれば流浪の踊り子にでもなれるかしら?


ひとりで旅をすることになるかもしれません。

護身術も身につけておかなければなりませんわね…。

やることはたくさんありますわ!




聖女様が召喚されるまであと1年。まだ時間はございますわ。

わたくし、頑張って処刑回避を目指しますわ!!


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