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和巳の恋

以下の小説は

私のブログ

「ロフト付きはおもしろい」

に掲載されたものを

転載しております。

1話1話は小さい話ですので

前後が繋がりにくいところがあることをお許し下さい。





和巳は

明日の試験を控えて

もっと勉強したかったのですが

クライアントが

新しい条件を提示してきたので

それの資料作りのために

超勤をしていました。


仕事が終わったのは

9時頃で

IDカードを

機械に通して

退出しました。


守衛室に挨拶して

いつもの様に

どこにもよらずに

園田のアパートに

帰りました。


帰ると

10時前で

簡単にお化粧を落とし

シャワーを浴びて

服を着替えてから

冷蔵庫の中の

前もって冷凍して作ってある

ご飯と

野菜の煮物と

魚の煮付けを解凍して

食卓に並べました。


問題集を見ながら

ご飯をゆっくり食べました。


後片付けをして

12時頃まで

最後の勉強をして

ロフトのベッドに入りました。


直ぐに寝てしまいました。

和巳は

今の仕事に必要なのが受験動機ですが

合格したからと言って

資格手当があるわけでもないので

それほど

真剣ではありませんでした。


日曜日なのに

朝7時に目覚ましが鳴って

起き上がり

軽く冷凍してある

食べ物を解凍して

食べました。


後片付けをしてから

身支度をして

お化粧をして

ゆっくりと園田駅から

受験場になっている

大学へと行きました。


途中の駅のコンビニで

昼ご飯の

菓子パンと

ミルク紅茶のペットボトルを買いました。

大学に着くと

受験票の

受験番号を見て

試験場を探しました。


3階の教室に着くと

席に貼ってある

受験番号を探しました。

席は

窓から4列目

後ろから

4列目でした。


和巳は「4の4か」と思いました。


和巳早く着いたので

まだ試験場には

数人しかいませんでした。


問題集を出して

最後の勉強をしていると

次々と

席に着いてくる

受験生が来ました。


試験官が来て

受験の注意を言ってから

問題とマークシートを配りました。


配り終えてから

試験官が

「まだ問題とマークシートを

もらっていない人手を挙げてください」と言ったときに

和巳の隣に

汗を拭き拭き

座った男が手を挙げました。





ぎりぎりに到着した男性は

大きなカバンを

和巳との間に

どさっと

置きました。


和巳は

「いやだナー

隣の人が

こんな人では

大丈夫かな?」

と心の中で思いました。


和巳は直ぐに頭を切り換えて

試験に集中しました。


『はじめ』の試験官の声に

併せて

和巳は

マークシートに

受験番号と

誕生日をマークしました。


それから

おもむろに

問題集を

開いて

第1問から始めました。


和巳は

試験に熱中していて

隣の男性のことなど

全く忘れていました。


基本情報処理技術者の試験は

その名の通り

基本的な問題です。

午前中の試験は

パズルな様な問題があって

80問を

2時間半かかって解くのです。


和巳が全部の問題に

解答を出したのは

2時間あまりたっと時です。


その時

ふとなりを見ると

横の男性は

もう居ませんでした。


和巳は

『あきらめの早い人だな』

と思いました。

和巳は

試験時間いっぱいまで

見直していました。

そして

何問か

解答を変えました。



一方

和巳に

試験を諦めたと

言われてた男性は

下の花壇のところで

菓子パンを食べていました。


その日は

良い天気の日だったです。


和巳は

試験官がマークシートを

回収して

試験が終わると

用を足して

コンビニ弁当を

問題集を見ながら

食べ始めました。


コンビニ弁当は

ゴミがたくさん出るので

和巳は嫌いだったのですが

ちょうど

冷凍にしていた食品が

なくなってしまったので

コンビニ弁当で

間に合わせたのです。


買ったときと同じくらいの

ゴミを

黒板の所に掛けたある

ゴミ袋に入れ

洗面所で

歯を磨いてから

教室に戻りました。


教室に戻って

席を見ると

隣に

例の男性が

頭を

机に載せて

寝ていました。





和巳は

席に座り

問題集を出して

最後の勉強をし始めました。


でも隣の男性が

和巳の方を向いて

寝ていたので

何となく落ち着きません。


和巳は

男性側の

左側の手で

ほほ杖をつきました。


そして男性の視線を

遮断しようとしたのです。

でも

ちらっと

男性を見ると

よく寝ているのか

目は閉じたままです。


和巳は

見るともなく

見ていました。


やがて試験官がやってきて

同じように

問題集を配り初めても

男性は寝たままです。


試験官が

問題集とマークシートを

どこに置くのだろう

和巳は気になって

しまいました。

しかし

試験官が問題集を

置こうとすると

さっと頭を上げたのです。


和巳は横から見ていて

「寝てなかったのかな。

分かっているのかしら。」

としげしげと

もう一度

男性を見ました。


男性の方も

視線を感じたのか

和巳の方を

見たので

目が合ってしまいました。


男性は少し笑みを浮かべていたので

和巳も

思わず

『愛想笑い』で

対応してしまいました。


それを見た

男性は

「どうも」と

小声を

和巳にかけたのです。


和巳も

「どうも」

と返事をしてしまいました。


こんな場所で

初めて知り合ったふたりでしたが

それからは

言葉もなく

お互いに

ちらっと見る

程度でした。


試験官が「はじめ」の

指示があったので

今までのことはなかった様に

問題を解き始めました。

和巳は

試験に熱中して

隣の男性のことなど

すっかり忘れてしまいました。




午後の問題は

問題量は午前と比べれば

少ないです。


午後の問題は

応用問題で

プログラムの

空欄を

埋めるというものです。


分かっている人には

簡単で

分からない人には

雲をつかむ様な問題です。

あまり考えても

思いつかないので

2時間半みっちりと受ける

人は少ないです。


和巳は

基礎から

みっちりと勉強したので

すらすらとはいきませんが

それなりに解答を

得ました。


1時間半ほど経つと

見直しを含めて

終わってしまいました。


前回の時は

僅かで

残念にも

落ちてしまいました。

その時は

2時間半みっちり

受験したのですが

今回は

余裕です。


それで

気になっていた

隣の男性を

少し見てみました。


隣の男性は

苦戦しているのでしょうか

熱心に

受験していたのです。

「午前のあれは何だったんでしょう」

と思いました。


それで

隣の席を

横目で

じっと見ていると

「やっぱりこの人

まじめな人なのかな」

何て気になってしまいました。


隣の男性は

見られているのが

気がつかないのか

試験に熱中してしていました。


30分ばかり

試験を解いたあと

マークシートに

一気に書き込んで

突然手を挙げました。


そうすると

試験官がやってきて

マークシートを回収してしまいました。

それから

荷物を整理して

立ち上がりました。


和巳も

慌てて

手を挙げました。

和巳もそうそう

荷物を片づけて

試験場をあとにしました。


和巳が

途中で退席するのは

初めのことでした。





隣の男性が

席を立ったからと言って

和巳も席を立つ必要は

全く必要ありません。


しかし

和巳は

隣の男性を

追いかける様に

立ったのは

なぜだったのでしょうか。


和巳自身も

それがなぜか

その時は分かりませんでした。


和巳は

遅れて

ドアを開けて

廊下を出

階段の方を見ましたが

誰もいません。

小走りに

階段の方に行って

階段を

下りました。


一階まで下りて

辺りを見回しましたが

それらしい人がいませんでした。

和巳は

「どこに行ったのかな。

足の速い人かも

まあいいか」

と思いました。


それで大学内を

出口の方に歩き始めました。


大学の通路は

試験を終わった人が

大勢

出口の方に

向かって歩いていました。


大学の

出口はごった返していて

その向こうに

予備校の

人達が

何やら叫びながら

紙を配っていました。


和巳が

近づいていくと

「午前中の問題の

模範解答です!」と

叫んでいるのです。

それで

一枚チラシをもらうために

近づいて行きました。


チラシを配っているいる人の

近くまで行って

差し出した

チラシを

和巳が取ろうとしたとき

横から手が出てきて

思わず

和巳は

その人の手を

つかんでしまいました。


和巳が

「ごめんなさい」と

言って

相手の顔を見ると

また和巳は

「オー」と

言ってしまいました。





和巳が

「オー」と声を出した相手は

隣の男性でした。


そしてその男性も

「オー」と言って

顔を見合わしました。


そしてふたりは

笑ってしまいました。


後ろから

手が出てチラシを

どんどん取っていくのです。


それで

ふたりは一枚のチラシを持ってその場から

離れました。


和巳:

「こんなところで合うなんて

奇遇ですね。」


男性:

「奇遇

奇遇

でも必然かもしれないね」


和巳:

「ん?

必然?

、、、、

そうかも。

答え合わせしません」

(こう言って チラシを見せました)


男性:

「それもいいかな。

難しかった?

できた?

何選んだ?」


和巳:

「そうしよ

そうしようよ。

難しかったよ。

どうかな。

選んだのはjavaだよ。

あなたは何?」


男性:

「僕は

C言語だよ。

大学で習ったし

javaは難しそうだったから」


和巳:

「C言語やってるんですか?

すごーい!

C言語が分かるんだ。

すごいね。」


男性:

「C言語を選択したからと言って

エライとは限りませんよ。


あ、

あそこの

角を曲がったところの

喫茶店で

話しない?」


和巳:

「この辺りを知っているの?」


男性:

「そりゃー

知っているよ。

僕関大の出身だから」


和巳:

「そうなんだ。

関大とはえらいんですね。」


ふたりは

角を曲がった

喫茶店に入っていきました。

喫茶店は

同じような受験生で

ごった返していて

空いている席は

カウンターの

隣同士しかありませんでした。


ふたりは狭い席に

寄り添う様に

座って

チラシを真ん中において

午前中の問題集を

出して

答え合わせを

しました。






ふたりは

問題集に記入した

答えと

模範解答を

照らし合わせました。


和巳は

間違った解答にチェックを入れ

男性の方は

合った方にチェックを入れました。


80問の正誤を確かめるのには

少々時間が要りました。

最後に

数を数えました。


数えたふたりは

お互いに顔を見合わせました。


和巳は

相手がチェックだらけなので

滑ったかもしれない

と考えたのです。

一方

男性は

和巳のチェックが少なかったので

これまた滑ったかも知れないと

思いました。


ふたりは相手のことを

考えて

しばらくの間

黙っていました。


しばらくの沈黙のあと

ふたりは

「どうだった」

と言ったのです。

それから

「あまり分からない」

と同じように言って

相手のことを考えて

少しごまかして

答えました。


和巳は

遠慮がちに

「私なんか三度目です。

がんばって」

と言いました。


男性も

「私も二度目です。

がんばってね」

と答えたのです。


それから

お互いに相手は落ちたものと

思っていたのです。


何となく無口になって

時間が流れました。


出てきたコーヒーを

飲み干して

外に出るのです。


駅まで

同じように無口で

一緒に歩いていきました。

今までの

混み合った道には

受験生がいませんでした。


帰りの切符を

ふたりは同じように

財布から取り出し

大阪行きの

普通電車に乗りました。


南方を過ぎた頃

和巳は

「どちらに帰るの?

メルアド交換しない。」

と少し勇気を出して言いました。


男性は

「谷町

メルアド教えるね」

と答え

携帯を出して

操作を始めました。

和巳も

携帯を出して

向かい合わせて

ピッとやりました。


十三で

和巳は下りました。


和巳には

男性が

見送っているように

背中に感じました。






十三で

男性の視線を感じましたが

振り返りませんでした。


なぜかわからなかったけど

振り返らなかったのです。


十三で神戸線ホームにやってきた

和巳は

来た電車に

考えながら乗り込みました。


つり革を持って

外を見ていると

乗った電車が

神崎川を通過してしまったのです。


和巳は

間違って

特急電車に乗ってしまったのです。


考え事をして

間違って乗ってしまったのです。


西宮北口まで乗って

それから今度は間違えないように

普通電車の乗り換え

園田まで帰ってきました。


園田まで帰ってきた

和巳は

その日の出来事を

考えながら

駅前の

コーヨーで

お肉と野菜

それにティッシュを買って帰りました。


アパートに着くと

もう日が落ちて

六甲の山並みは

夕日に覆われていました。


食事の用意をして

余分の分は

冷凍して冷蔵庫に仕舞い込みました。


出来上がった

シチューを

ひとりで食べながら

インターネットで

自己採点をしました。


和巳は

たぶん合格点が取れていると

思いました。


でも

あまり嬉しくないのです。


何故なんだろうと

和巳は心の中で思いました。


携帯電話を

何気なく出して

見ました。


男性と交換した

メルアドを

見ました。

「cook-do1982@oooooo.net」と

書いてありました。


「おー

cookね

料理?

あの人

料理人

少し安直かな


違うよね

単に料理好きかも知れないし


違うね

料理とは関係なくて

単に食べるのが好きなだけかも


食べるのが好きなら私もよね。」

などと

とりとめもなく

考えてみました。






翌日はもちろん会社ですので

目覚ましが鳴ると

起き上がって

用を足して食事をして

出かけました。


でも体を動かしていても

「心ここにあらず」でした。


宙を浮いているような

気持ちだったのです。


2度不合格になったときには

合格したら

どんなに嬉しいだろうと

思って勉強してきたのに

全然楽しくないのです。

何故なんでしょうか。


頭の中は

「cook

料理

試験

、、、

なんだかわからない

名前は何なの

メールすべき

しない方が良い

、、、、

試験

合格」

などととりとめもないことを

考えてしまいました。


派遣先の

仕事場でも

仕事がはかどりませんでした。


上司に

怒られないか心配になった

和巳は

気を取り直し

過去のことは忘れて

働こうとしましたが

うまくいきませんでした。


そんなふうに

一日の仕事が

終わって

友達の誘いも断って

家へと帰りました。


アパートのお部屋で

考え込んでしまいました。


ロフトに上がって

携帯を取り出し

メルアドを見ながら

考えていました。


もう何時間も

考えていましたので

そろそろ考えを決めなければと

思っていました。


そんなことを思いつつ

体が熱くなっていくのを覚えました。

和巳は

天窓のバーに手をかけ

引っ張り

開けました。


スーと

冷たい風が入ってきて

和巳は

その中にいました。


和巳の頭の中の

「cook

料理

試験

、、、

なんだかわからない

名前は何なの

メールすべき

しない方が良い

、、、、

試験

合格」という

堂々巡りの考えが

冷たい風とともに

どこかに飛んで行ってしまいました。


その風の中で

和巳は決心しました。




和巳は決心しました。

そしてメールを送ったのです。


「私

自己採点したら

試験に

落ちちゃった。

ダメだよね。

あなたはどうだった?

今度こそ大丈夫だと思っていたのに

残念です。

次の機会は

絶対にがんばるから

一緒に勉強して下さらない。」

とメールしたのです。

『全くメールの内容と

事実は全く違いますが

この際だから

嘘をついてしまおう。』と

思っていたのです。


なんだかわからないけど

いいと思いました。


それで

送信のボタンを

目をつむって

一気の押しました。


押してからの

長い時間が流れました。

和巳には

じっと

待つしかなかったのです。

ロフトから

真っ暗な夜空を見ながら

少し涙目になって

じっとしていました。


それから何時間ぐらい

たったでしょうか。

メールの呼び出し音が

携帯からして

飛び起きました。


すぐに受信して

メールを見ました。


「僕も

残念ながら

ダメだったんだ。

同じだね。

一緒に勉強する案

いいね。

試験を隣同士に受けた縁で

次はがんばってみようね。


明日会えないかな。

連絡待ってるよ

そうそう

僕ね優っていうんだ。

君の名前教えてくれない。」

と言う返事でした。


和巳は

あー

優っていうんだ。

賢そうな名前だね。

「落ちていた」と

言って本当に良かったと

和巳は改めて

思いました。





翌日は

和巳はもう元気いっぱいです。


同僚も

和巳のその豹変ぶりに

違和感を覚えていました。

5時になると

早々に退社し

近くの百貨店の

化粧品コーナーで

化粧をしてもらうことにしました。


和巳は

普段は

あまり化粧はしません。

そのため

効果的な変身方法を

知らなかったのです。


でも

念入りに美容部員に

してもらったら

変身しすぎて

和巳は

少し違和感を覚えました。


「こんなに変わったら

会ったときにわからないかも知れない。

やっぱり

程々の方が

いいのではないか」

と思ったのです。


それで美容部員に

少しにするように頼みました。


美容部員は変に思いましたが

和巳の気に入るように

してみました。


バッチし決めた

和巳は

ヘアスタイルも

その場で教えてもらい

盤石の備えです。


服も

会社の更衣室で

着替え

靴も

少し高めのものに履き替えました。


7時の

待ち合わせの

「阪急大阪梅田駅のビッグマン前」

に10分前に着きました。


周りを見回し

優を待ちました。


同じように待っている

若い男女の数が

あまりにも多いので

見つけにくいのかも知れません。


7時になって

改めて

和巳は見回しました。


突然電話が鳴って

和巳は

電話を取ります。

「僕 優

どこにいるの。

僕エレベータ近くだよ」

と言う声が聞こえました。


電話で聞こえてきた声と

直接の声が

重なっているように思いました。

声のする方を

見ると

優が立っていたのです。





和巳は小走りに

優の所に駆け寄りました。


和巳:

「優さん

お久しぶり」


優:

「待った?

ぎりぎりセーフかな

和巳さんは

試験の時と

少し雰囲気違うよ

今の方が

なんだか、、、」


和巳:

「私も今着たとこよ

ところで

試験の時とどう違うの?

聞かせて

前の方がいいかな」


優:

「試験の時と

そうだな

美しくなっているというか」


和巳:

「ありがとう。

無理してない?

試験の時はどうだと思ったの?

聞かせて

きかせて」


優:

「その質問は

いい質問だが

今回はその質問に答えるのは

差し控えさせて頂きます。


何てね」


和巳:

「そうよね

あまり関係ないわよね。

それよりどこ行きましょうか」


優:

「えー

僕そこまで考えていなかった。

普通なら

飲み屋だけど

勉強だからね。

和巳さんは

どこがいいかな」


和巳:

「私も考えていないわ

優さんが決めてると思ったから

勉強はいつも自分のお部屋の

ロフトでしていたもの

やっぱり図書館かな

でも今からは開いてないでしょうし

とりあえず

スタバでも行く?」


優:

「そうだね

僕も勉強は家と

残業で残った会社かな

コーヒーでも飲んで

こないだの試験話してみよう」


ふたりは

地下の

スタバに向かいます。





地下のスタバで

試験のことを何やかやと

話しました。


和巳:

「情報処理技術者の試験て

専門のように見えて

概略的だよね。

少し道を外れたような

問題があると思うの。

この問題なんか

そうじゃない」


(和巳は

鞄から問題を出して

優に見せます。)


優:

「そうだよね

この問題なんか

何故ITと関係あるのか

わからないよね。」


(その問題のは

四角の碁盤の目があって

中程の碁盤目の交点の一つを通らず

左下の始点から右上の終点までの

近道は

いくつあるかという問題です。

択一式なので

選ぶ数字が下に並んでいます。

詳しくは著作権の問題がありますので

書けません。)


和巳:

「この問題は

どんな風に解いたの

私は

わからないから

一つずつ

経路をたどって行きました。

そうすると

択一の答えの内

二番目に多いものを

超えたので

一番多い答えにしたわ


優さんは

どんな風に解いたの」


優:

「それは良い方法ですね

択一式の問題だから

それらしいのを選んだらいいのだから

僕もそれで今度やってみよう。


僕はね

どんな方法かというと

それは

組み合わせの問題だから

始点から初めて

二つの経路があるでしょう。

上に行ったのは

二つに分かれて、、、

と順番にしていくのよ、、、、


、、、、(長々と続く)

と言うことで

一番大きな選択肢が

正解となるんだ」


(和巳は

ふんふんと聞きながら

途中から

全くわかりませんでした。

でも

わかっているような顔をして

優には

悟られないようにしていました。)


和巳:

「優さんって賢いのね。

私なんか

原始的な方法だよね。

そんなやり方

どこで覚えたの

やっぱり大学」


優:

「大学では

こんな事教えてくれないよ

たぶん高校の時の

知識か

中学生の時の知識の

応用だと思うよ。


この問題は

そういう問題だと思うんだ。」


スタバでの話はまだまだ続きます。






もう何年かの友達のように

優と和巳の話は続きます。


和巳:

「こんなパズルのような問題は

また詳しく解き方教えてね。


今の説明

少し理解できなかったので

今度もっと詳しく教えてください。


次回は

合格を目指しているので、、、」


優:

「少し説明早かったかな

じゃまた説明するよ

今度はもっと分かり易くしてみるよ


でも和巳さんの方法の方が

早く回答を得ると思うけど」


和巳:

「そうかな

でもでも


ところで

優さんは

午後の問題は

C言語なんでしょ


やっぱり

C言語の方が

良いのかな


私は前にも言った

javaなんだけど」


優:

「僕は

C言語を勉強をしたからで

javaはかじった程度で

必要なときに

java倉庫から

借りてくるだけ

何だから、、、


先輩に聞いた話だけど

プログラム言語に

精通していない人は

javaが良いって

いってたよ


もちろんjavaが

C言語より易いということではなく

理由がある。


午後の選択問題は

四つの言語から

選ぶんだけど

普通は

プログラムに精通している人は

java以外の言語を選ぶ人が多い。


それに対して

javaは

奥は深いけど

間口は易い

それで

初心者は

javaを選ぶんだ。


即ち

同じ程度の難しさなら

javaの得点は

低い


でも

これは噂ですが

得点調整をしているそうです。


選択問題を

同じ難しさに

作る事は事実上無理です。

そのため得点調整をしているのだそうです。


当然低いjavaは間違いが多くても

加点は多い

その他の言語は

得点が多くても

減点になってしまうそうです。


即ち

プログラムに精通していない者は

javaが良いということです。


あくまでもこれは

先輩のお話で

単なる噂です。


和巳さんは

どう思う?」


和巳:

「ほー

理論的ですね

納得してしまいます。


でも噂なんですよね。」


となんだかかんだか話して

その日は終わってしまいます。

次にあえる日を

約束して

優を

東梅田の駅に送って

和巳は

園田に帰ります。






二回目の

デートというか

勉強は図書館ではじめしましたが

話すと怒られそうなので

午後からは

マクドでしました。


その日も

試験のことを

話しました。

よく種が尽きないものです。


三週間ほど経つと

試験の結果が発表になりました。

もちろん

ふたりとも合格していたのですが

相手はてっきり

不合格だと思い込んでいたのです。


その翌日

和巳の直属の上司が

試験の結果を聞いてきたのです。

会社としては

和巳が試験に通っていると

都合が良いので

気になっていたのです。


聞かれた

和巳は

前々から考えていたように

「不合格」と答えました。


もし合格と答えたら

次の春の試験を

受けると

都合が悪いので

言わなかったのです。


合格していると

資格手当が

1万5千円ほど付くので

良いのですが

春まで我慢です。


上司は

「君が何で落ちるんだ。

あんなに勉強していたし

模試も点数が良かったのに」と

残念そうに言いました。


次にあったとき

お互いに試験の結果のことは言いませんでした。

和巳と優は

二週間に一回くらい会って

勉強をしたのです。


お互いに合格するくらいの力が

あるので

勉強がはかどったのは言うまでもありません。


特に優の知識は

桁外れで

和巳は

そんな優を

先生と仰ぎ

尊敬していました。


優も

優秀な生徒を持って

上機嫌でした。


クリスマスには

ふたりで

食事をしました。

その時は

勉強のことは言わないと

言っていましたが

結果はその話ばっかりでした。


正月がやってきて

ふたりで初詣にも出かけました。







朝早くから

優と和巳は出会って

大阪から

神戸の生田神宮に行きました。


行く電車の中は

込んでいましたが

和巳はそれが楽しかったです。


神社に着くと

ふたりは並んで

参拝しました。


もちろん外見は合格祈願です。


でもそれよりは

和巳にとっては

恋愛成就を願っていました。

手を合わして

お祈りしているとき

「神様 優とうまくいきますように」

とお願いしていたのです。


優が

何を祈ったのと

聞いてきました。


もちろん和巳は

「合格祈願よ。

それともうひとつ

それは ひ、み、つ、」

と答えました。


年明け後も

二週間に一度の割合で

会って勉強しました。


3月になると試験の申し込みと言うことで

インターネットで申し込みました。

同時に申し込むと

教室が同じになるかもしれないと言って

パソコンを二台並べて

同時に申し込みのボタンを押しました。


段々と

試験の日が近づいてきて

和巳は

試験が終わると

優と会う機会がなくなるのではと

心配になりました。


だからといって

今度も不合格だと

嘘をつくと

こんなにがんばった

優に申し訳ないし

一体どうすればいいのか

悩みがいっぱいです。


でも和巳は

もうひとつの大きな疑問があったのです。






和巳は

優と一緒に勉強して

優がすごくその名の通り賢いことが

分かっていました。

「しかし先の試験で

優が落ちたなんて信じられない。


何かの間違いかしら、、、

あの時チェックがあんなに多かったもの、


でも

でも

ひょっとしたら

あれって

合った方にチェックしていたのかしら、

多分そうだわ


でも

今更そんなことは聞けないし

それに合格してたら

もう会うこともなかったのだから


これで良かったのだわ


でもこの先どのようにすれば

優と会えるのかしら


やっぱり素直に言うのが

いいのかな

本当にどうしよう」などと

あーだ

こーだと

考えあぐねていました。


そんな悩みがあろうがなかろうが

時間は過ぎて

春の試験の日曜日がやってきます。


表向きは

一度も合格したことのないと言うことで

緊張したような様子をしながら

大学に試験場に

待ち合わせて行きました。


同時に申し込んでも

同じ教室になることはなく

同じ階でした。


ふたりは別れて教室で

秋の時と同じように受験しました。

でも秋の時とは

全く違う余裕でした。


和巳は

80問の問題を

見ただけで

解き方が分かりました。

2時間半の試験時間は要りませんでした。


見直しをしても

2時間弱で

終わってしまいました。


外で待っていた

優と

花壇に腰を掛けて

菓子パンを食べました。

ふたりは

余裕で

試験のことではなく

今度の連休は

どこに行こうかなんて言うことを

話し合っていたのです。


以前は苦手だった

午後の問題も

無難に終わりました。


そして

待ち合わせて

ふたりは帰って行ったのです。







和巳と優は

話し合って

大学を出て行くと

秋と同じように

正解を配っていました。


和巳は

優に

少し笑いながら

「答え合わせしない?」

と言いました。


優は

「それはいい考え

もらってこよう」

答えました。


ふたりは込んでいる

列に並んで

正解が書いたチラシを

受け取りました。


それから秋の時に行った

喫茶店に立ち寄りました。


前と同じ席は

なかったので

手前のふたりがけの席に

並んで座りました。


問題用紙と

鉛筆を取り出し

調べ始めました。

2ページ調べたとき

和巳は間違ったところに

チェックを入れるのですが

間違っていなかったので

全くチェックを入れなかったのです。


優の方を見ると

すべてチェックしているのです。


ふたりは顔を

見合わせて

同時に

「あー」と叫びました。

静かな喫茶店で

突飛な声だったので

みんなの視線が集まりました。


ふたりは

声を飲み込んで

下を向き

笑いをこらえるのが精一杯でした。


それから

ふたりは

心の中でやっぱりそうだったのか

と思いました。

でもそれは声に出さず。

和巳は

「もういいよね」

と声を掛け

優は

「全くだ」

と答えました。


問題集と

チラシと

鉛筆を鞄にしまって

ふたりは

ゆっくりとコーヒーを飲みながら

連休に

奈良に行こうじゃないかと言う話を

しました。


もうふたりは

試験とは関係なく

友達になりました。


ふたりは手をつないで

喫茶店を出て行きました。


(この項終わります。)




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