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ゆにーくすぎる

「ぜぇ…はぁ…もう、動けない…」


だら~んとソファにもたれ掛かる若葉さんに強制的に膝枕をしてもらい、話の続きをする。


「そういうわけで俺には触れませんし、俺からは触れます」


「すごい能力だな。ユニークスキルというやつか?」


「ゆにーくすきる?」


「これは鑑定板では見れないが取得者には見れるスキルでね。機密だけど、国ではこの世界に元々持って生まれたものであり、昔は異能と呼ばれていたんだ。まぁほとんど持ってる人もいなかったし、1000万人に1人の割合だったかな。今では後天的に手に入るとも言われてるけど」


え?持ってる人いたの?ひた隠しにしてた俺の人生ってなにかな?いや、あの人が言うことだ。隠してて損はなかった。女風呂での毎日の桃源郷は隠してたからこそできた夢のパーリナイト。思ったよりも綺麗なものではなかったけど。


「まぁそうですね。持ってましたよ。色々便利で隠すようにしてました」


「そうだろうとも。私も持っていたんだけど、ほんの数年前に本格的に活用するようにしたんだ。意外と便利だからね」


「へぇ、どんな異能なんですか?」


「その名も光合成!あらゆる栄養素を水と太陽光と呼吸だけで手に入れることのできる、超絶健康療法だ。病気にかからないから、献血するだけで生活できるほどになったよ。確か世の中では聖血と呼ばれてるかな」


いたんだ、異能力者。思ったよりも特化してるものだけど、それでもすごいものには変わらない。


「他にもできそうですね、レーザービームとか」


「あぁ、光を合成することができるからね。こんな風にイルミネーションをつくることもできる」


掌に薔薇を咲かせて輝かせた。


「いい能力だ。俺のと同じで多種多様な効果があるみたいですね」


「あぁ、あんたの能力には負けるが、本当に助かってるよ」


「あの、そろそろ退いてくれませんか?」


「あぁ、すまん。あまりにも心地よくてな。今退くよ」


認識操作で退いたように見せかけ、彼女が移動して定位置に戻る。しかしそこには彼女の背後霊と化した俺の姿が。他の人には素直に退いたように見えても俺はまだ触れ合い続けているのだよ。


「じゃあ改めて経緯を教えてくれるかな?」


「あぁ、あれは扉を通り抜け…「はやく離れろぉ!」」


おっと、声のする位置でバレたようだ。仕方なく離れてソファに腰かける。そんなに睨み付けてもご褒美にしかなりませんねぇ。


「じゃあ本当に改めて説明をしてもらうよ」


「あぁ」


それから起こった出来事を事細かく説明した。その間も若葉さんは触れることのできない俺に対して拳を振るっていた。当たらんがな。


それとなくこの件について調べてみるとも言われたので今もなお不可視の牢獄に捕まった人達について教え、俺は再び冒険することにした。さすがにボスを倒して終わり、しかもわくわくするようなものでもなく、ただただ胸糞悪い状況ってのも楽しくない。


せっかくの転換期が汚点になってしまう。ならばと思い、再びボス部屋に向かった。もちろん誰にも見られることもなくたどり着くことができた。途中で捕まえた人たちを頑張って捉えようとしていたので、解放して逮捕されていった。


「やっと冒険らしくなってきた!」


そう言い放ち、扉に手を翳した。すると選択肢が現れた。さすがファンタジーだ。どうやら一度倒すと素通りができるようになるらしい。もちろん素通りせずに戦う。


「今回もあの手でいこう」


一歩踏み出し侵入すると待ってましたと言わんばかりに緑の小人は咆哮を放った。


「グギャアアアッ」


「一度倒した相手だ。苦戦もしないし、慣れるためにやってみるか」


小人が走りながら手に持った棍棒を振り回す。それを視界におさめながら横に移動する。俺を追うようにこちらに方向転換をする小人に可視化された棒を振るう。さすがにこの手の攻撃は防がれた。


「力はこっちの方が上か。なら、力ずくでもいける。でもそれじゃあ訓練にならない」


小人が無作為に振り回してくる棍棒を正面から受けるのではなく、少し斜めにして受け流す。うまく受け流せると小人は慌てるように立ち上がる。それを静観して見守り、隙がうまると攻撃をした。


繰り返し行うとボスではあるものの、体力は無限ではないようで、大の字で倒れた。それを止めを差していいものか?と思いつつもボスはボスなので、棒を振り上げて、振り下ろす。


だが、それは不可視のものに防がれた。


「ん?なんだ?」


不可視のものはかすかにぶれると文字が書かれた板が表示された。


「ええーとなになに?このゴブリンを仲間にしますか?だって?」


よくわからないが、このまま止めをさすよりかは幾分かマシだと考え、イエスと答えた。すると先程の文字はぶれて、ゴブリンを仲間にした!と書かれていた。なにかのおふざけとは思っていたものの、今のところ危機はない。


「あ、そうか自分のステータスをみればいいのか」


《荒木のステータス》

名前:荒木涼太

年齢:30

階位:1

異能:《非現実的接触》

スキル:《隠密》《先読み》《軌道察知》《誘導》《認識操作》《救護》

配下:小悪鬼(ゴブリン)


「お、新しいスキルが。それと配下…ゴブリンねぇ…」


いつの間にか跪いていたゴブリンを横目に、ゴブリンの項目を触る。ステータスとはシステムであり、単語それぞれに意味がある。ステータスは目の前にある板に情報というすべてを映し出すことができる。


「これは俺にしかできないけどね」


透過するはずのステータスに触れてゴブリンの詳細を開く。どうやら本当に配下になってるようだ。ゴブリンとは鬼の子供であり、異常な繁殖力を持つらしい。あとは知能は低いが、小学生ほどの知能は持っていて、教育されると強くなる。そしてある一定の強さになると進化する。


「これがゴブリンのステータスか」


小悪鬼(ゴブリン)のステータス》

名前:ー

称号:討滅鬼

階位:1

スキル:《咆哮》《繁殖》《棒術》

主君:荒木涼太


なかなか恐ろしい称号を持ってらっしゃる。それ以外はなんとなく予想ができた内容だ。名前の部分が空欄なのが気になる。


「これはあれか?俺がつけるパターンか?とりあえず立ってみろ。ふむ、小鬼だけど身体は絞まってるな。そうだな…これからの活躍を期待して(リュウ)という名前をつけよう」


リュウは一瞬光に包まれると先程と全く変わらない姿で不思議そうな顔をして立っていた。もう一度ステータスを確認すると、名前に劉とあり、称号がネームドに変わっていた。


リュウは一応ボスでもあったので、恐怖の対象でもある。町をフラフラ歩くわけにもいかないので、異能で見えないようにした。


「リュウは指示があるまでなにもせずに俺についてきてくれ」


それに対してリュウは頷きで返した。


リュウ連れていくのはいつの間にか現れていた奥にある扉ではなく、入り口の扉だ。なにをするかといえば、周回だ。まだ初日の冒険者。反復練習をするのは悪いことじゃない。


周回をする間はリュウには荷物持ちをしてもらった。倒したボスの報酬が山のように積み重なっていくが、リュウは顔色一つ変えずに持ち続けた。


「そろそろ持つのも辛くなってきたことだろう。一旦ここを出よう」


来たときと同じく姿を消して出ていく。一緒にリュウも出ても大丈夫なのか心配になっていたが、なんともなかったので、独身貴族の城に招くことにした。


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