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第6話:氷の嵐

「桂さーん。氷いっぱい貰ってきましたよーっ。良かったですね〜。

?! う、うわーっっ!!」


 ガラガラガラ〜


いきなり大量の氷が玄関先から歳三の体めがけて襲いかかってきた。

あまりのことに、さすがの歳三も思わずひるむ。

 だが、その瞬間を小五郎は見逃さなかった。

さっ、と歳三に近づくと彼の手から刀を叩き落した。そしてそのままその刀を晋作の方へ投げ飛ばす。

それを慌てて晋作が掴んだ。

「あっちゃ〜、ごめんなさいっっ! お客さんが来てるとは思ってなくって。あまりの重さに思いっきりぶちまけちゃいました。いやー、桂さん、幾松さんがめっちゃ奮発して下さいましたよ。あとでお礼言っといて下さいね!」

氷をぶちまけた張本人、栄太郎が半ば自分の手柄の様に威張って言った。

そして、歳三の方を向く。

「あー、すいません。痛かったですよねー。ごめんなさい。」

「・・・。」

「どうしました?」

「いや・・・。」

栄太郎のあまりの邪気の無さに、歳三は何とも言えない複雑な顔をしている。

「さすがだな、栄太。いい仕事だったぜ。」

苦笑いしている晋作に、栄太郎は事情が分からずきょとんとした表情をみせた。


 その時、奥から人影がのっそり現れた。蔵六である。

「うるさい。病人がいるんだ。少しは静かにしてくれないか。」

蔵六はそう言いながら、玄関先に知らない顔があるのを見つけた。一瞬、彼の太い眉がぴくっと動く。

「んー?!」

蔵六はそのまま真っ直ぐ歳三の方に向かっていく。

「村田さん?」

「おいおい、危ねーぞ。火吹き・・・もがっ!」

危険を察知した小五郎は晋作の口に素早く手をかけた。

「余計な事は言わないっ。」

「うぐぐ・・・。」

目を白黒させている晋作。

しかし、歳三もこの蔵六の行動に理解しがたいものがあったらしい。思わず眉をひそめて身構える。

だが、蔵六は構わず言った。

「私は長州の蘭方医、村田蔵六という。お主、まさか『ヒジカタサン』では?」

「?!」

いきなり見ず知らずの人間に名を当てられて動揺する歳三。手がわなわなと震えている。

しかし、驚いているのは歳三だけではなかった。

小五郎もだった。

何しろ、彼がここに来てから誰も一回も彼の名を口にしていないのだ。


 なぜ?

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