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第1話 はじまりの夜空


「はぁー、やっと帰れる。」


 バイトが終わり、疲労困憊な俺はバイト着の上着だけを早々に着替え、まだだべって店内にいる、バイトの同僚達に、


「お先に失礼しまーす。」


と一言かける。

 すると同僚や店長からは


「お疲れ様〜。」

「お疲れ様で〜す。」

「早いなぁー勇太!お疲れさん‼」


と返事が返って来たので、俺は軽く会釈して店を早々に退出した。


 外はもうすっかり暗く、空には星が輝いていた。


「バスはもう終わってるよなぁ~。」


 時刻はすでに11:40を過ぎており、最終便のバスは、もう少し前に停留所を出発してしまっていた。


「歩いて帰るしかないよなぁ…。」


 疲れているときにこれはマジでキツイ。

 俺のバイト先は自分の家の最寄り駅の近くにあるのだが、その最寄り駅は最寄り駅と言っても、家からバスで40分以上かかる距離で、徒歩となると1時間くらいの時間がかかる。

 そんな距離を、バイトで疲れているこの身体で歩くの正直キツイ。

 だが残念な事に最終便はもうついさっき停留所を出発してしまっている。

 仕方ない、と気持ちを切り替えて徒歩で帰る事した。






 俺は今、国道の横の川沿いを1人空を見上げながら、陰鬱な気分で考え事をしながら歩いてあいた。


 俺は、最近良く考え込む事が多いい。

 周りからは最近ボーッとしてる事多いいとついこの間言われたばかりだ。

 たが俺にそう言ってきた周りの同期連中に逆にこう言い返してやりたい、何故お前はそんなにおきらくでいられるのか?と。


 俺こと(田中 勇太(たなか ゆうた))は20才の専門学校生だ。

 俺はスポーツが得意な事以外はなんの取り柄もなく、勉強も駄目駄目。趣味もあるにはあるのだが人に自慢出来るような物はあいにく持ち合わせていない。

 人付き合いも下手で友達と言える友達も俺にはいない、彼女なんてもってのほか!出来たことなんて一度もない、(ちなみに彼氏も)一度もだ‼。年齢≒彼女、彼氏いない歴を見事に保持している。まぁ人付き合いの苦手な俺はこの先も友達はまぁ出来るかもだか彼女、彼氏については絶望的だと思っている。

 まぁ出来なくてもいいんだけだな!俺は束縛されるのが嫌いだしー、ベタベタ毎日されるのも嫌だしなー。

 決して周りがイチャコラしてるのを見て羨ましいなんて思わない………。思わないったら思わない‼


 さて、彼女、彼氏云々なんてどうでもいい話は置いておいて…って良くはないが話が脱線するので今は置いておく。

 俺が最近良く考え込んでしまうこの現在のこの状況は、誰もがこの位の年になったら経験する、またはしたのではないだろうか?

 そう、自分の将来についてだ。

 


 俺は今まで結構なあなあに生きてきたと自分で自覚している。

 中学では学校の治安が悪く勉強どころではない所で周りに流されながらまぁいいやー感覚で過ごし、高校は県内底辺付近の高校になんとかギリギリ滑り込み入学できた。

 しかし底辺高校の名は伊達ではなく、周りの奴らはほんとキチガイばっか!

 ここは動物園か!?ってなるレベル!

 俺は周りの馬鹿さ加減にほとほと呆れて友達を作ろう!というか、なろうとも思えず周りとは余り関わりを持たなかった。

 そんなもんだから俺の花の高校時代はなんの思い出も友達全くと言ってもいいほどできないままダラダラと無意味な時間をただ浪費した。

 

 高校卒業が迫って小さい頃からの憧れでもあった警察官を目指し試験受けた。

 が、2次試験であと一歩のとこで見事に不合格。

 あと2人より成績良かったら合格出来ていたのは後で知った時は死ぬ程悔しかった。

 その後大学進学も考えた、俺は成績はそこそこ高かったので行けなくはない筈だったのだが、警察官の試験の合否が分かったのが遅かった事もあり、大学の入試はすでに終わってしまっていた。

 なのでその後自分は建築なんて面白いかも?なんて心意気で建築系の専門学校になあなあで入学してしまったのだ。

 今ではとても後悔している。


 なにせ、想像よりもずっと過酷だったもんで。 


 専門生になってからは日々が課題だらけで、寝る時間を削ってなんとかって感じで本当に忙しくて、俺って建築向いてないなぁー、なんて毎日の様に思った。

 そしてそんな俺がこの先専門学校を無事卒業出来たとして就職出来るのか?社会に出ていけるのか?なんて考え出したら止まるわけもなく、考えれば考えるほど不安になり負のルーブにハマっていた。

 考えれば考えるほど今より一層気分が陰鬱になる。

 それでも考えずにはいられない。

 そうして負の連鎖現在進行系で続いていた。




 

 

 俺は、陰鬱な気分を一度落ち着ける為に、途中の自販機で買ったペットボトルのお茶のキャップを空け、中の液体を口にする。

 一旦思考が途切れたのと、お茶を飲んだ事によって少しは落ち着きを取り戻すことができた。

 

 身体に心地よい夜風が当たる。

 少し火照った脳を程よく冷ましてくれるような気がした。

 そして程よく気分が落ち着いた俺はふと何の気なしに、夜空を見上げた。

 そして見上げた先の光景に俺は驚いた。



「おぉ。でけぇー流れ星だ。あれ?長時間消えない流れ星は流れ星でいいんだっけか?彗星、いや、隕石って言うんかな?まぁいいや。それにしても怖いくらいに大きい綺麗な流れ星だ。」


 少し国道の方をに視線を向ける。

 時間が時間なだけに通行人達は少ないが少しはいた。

 やはり数人は俺と同じく立ち止まって夜空のでかい流れ星を見ている。


 まぁ見るわな。

 こんなにでかい流れ星、滅多に見れるもんじゃ無い。

 だか今日はこんな彗星やでかい流れ星が見れるなんてTVで言ってたか?。

 なんて考えている俺は記念に写真を撮っとこうと思いたち、ポケットから携帯を取り出し写真を撮った。


「おっし!珍しい流れ星とったで~。ホーム画にしようかなー」


 何てこと言いながら携帯の時間を見たら12:50を過ぎていた。

 明日も早いので、少し急いで帰ろうとして、携帯をポケットにしまい俺は走りだす。

 今思えばここで別に走ってまで急い家に帰らなくても良かったんだけど、なんとなく走りたい気分だった。

 後悔先に立たずとはよく言ったもんで、この時ゆっくり歩いて帰っていたらああならなかったと思う。


 俺は何故か子供みたいに走りながら流れ星に

手を伸ばしながら叫んだ。

 

「あぁぁぁぁぁぁあああ‼」


 近所迷惑だろう、川沿いなので結構声が響いた。

 だが鬱憤が溜まっている俺はそんな事お構いなしで叫んだ。

 そして叫びながら俺は、


(好きな事だけして、好きなもんだけたべて、好きなだけダラダラしたりできる生活がしたいなぁ~。そうすればこんなに陰鬱に考え込んだりしなくていいし人生楽しいのになぁ~。)


 などとふと、思って、または、願ってしまっていた。


 そんな馬鹿な事考えながら走っていた俺は、50m位進んだ所で悲劇の発端となる大きな地雷となるものを踏んでしまうのだが、今だに当時を思い出すと憎々しいぜあんにゃろー‼


 さて問題です!テレン♫

 この時の季節は夏真っ只中!

夏と言えば海!山!スイカに風鈴。

 ビキニにブーメランパンツのお兄さん、おねーさん等など色々あると思うのだよ!そんな色々ある中で、毎年夏の始まりを知らせてくれる虫はなーんだ?♡


 正解は(セミ)の野郎だよ‼‼

 俺はこのセミが嫌いだ。

 小さい頃はなぜ触れていたのか不思議なくらいと言っていいほどにな!

 奴らはよく、死んだフリをして地面に落ちている事がある!少し何か当たると死んだフリをやめて勢い良く動き出すやつね?。


 因みに、俺は奴らのその技を(セミファイナル)とよんでいるぞ。


 これでわかったと思うがそう俺が踏んでしまったというのは、

 セミファイナル状態の奴らだったんだ。


 叫びながら走っていた俺は靴底にカシャっと何かを踏む感触と共に


「ジジジジジジ⁉⁉⁉!!!」


という声にが足裏から伝わる力強い小刻みは振動と共に聞こえ、


「¢£%#&□△◆■!?」


と俺は声にならない叫びを上げなからどびののけた時に体制を崩してしまい頭から川沿いの川に向かって降って延びる坂?を俺は勢い良く転げ落ちてしまった。

 それはもう勢い良くかつ豪快に。


「うぅっ‼」


 受け身も取れず変な音が聞こえるくらい全身を酷くぶつけた。


 物凄く痛いというか、物凄く気持ち悪い。

 まともに手も足も何もかも全く動かせず、吐き気も酷い。


 こりゃ神経やっちゃったかな?


 今、かろうじて動くのは瞼だけだった。

 少したって顔が温かいものに浸かっている感覚がする。

 多分これは俺の血だろうな、結構出血してんな。

 なんとなくこれは相当酷い出血してるって、そんな感じがした。

 最初は自身の血溜りに頭が温かく感じていたがそれも直ぐに寒いに変わった。

 温かく感じてた頭付近だけでなく身体の末端までもがバイト先のウォークインにいるみたいに寒くなってきた。

 そんな状況にも関わらず、そろそろやばいな、なんて考えられる位俺は何故か冷静だった。

 こういう時ってもっとパニクると思っていたんだがなぁ~。


「¢£%#&□△@#・/-'」

「?ω⊿???」


 何か小さく聞こえてきた。

変な声?なのか?。

 遂に幻聴まで聴こえはじめたようだ。やはり俺は深層心理ではパニック状態になってるのかな?まぁ死にかけだししょうがないか。


「あぁ~。俺こんな死に方すんのか。セミ踏んで転落死なんて間抜けだなぁ。」


 そんな俺は、声に出てるのか分からない声で呟く。


 俺は最後の力を振り絞り瞼を開いた。

 仰向けの俺の視界に綺麗な夜空が広がる。

 巨大な流れ星と星空が見えるこの夜空は、死にかけのこんな状況であるのにも関わらず、輝く大小様々な星々は今まで見たどんな星空よりも、綺麗に輝いて見えた。


 こんな状況でなんでこれ程までに星空が綺麗に見えるんだ?……いや、むしろこんなん状況だからか。

 あぁ、こんな真夜中にこんな川沿いに人は余り通らないだろう。

 例え通ったとしても暗くて下までしっかり見えるとは思えないし、俺は助けを呼ぶ気力ももう残ってない。

 このままでは俺は助からないかもしれないな。

 まぁこんな綺麗な夜空の下で最後を迎えるなら本望かな? なんて俺は思えていた。


 しかし、本望だか悔いが無いわけではない、当たり前だまだ俺は20歳だだ。

 まだまだこれから人生色々あったはずだ。彼氏や彼女ができて家庭を築き、子供も出来るなんて事や、宝くじが当たって億万長者!一発逆転なみたいな事もあったかも知れない………

いや、子供は無理かな?

 俺の性格じゃ魔法使いや賢者と言われるくらいまで童貞でいそうだw

 

 後は親に対してかな。

 こんな情けない最後でこの後の親の事も考えると申し訳無いと思う。

 今まで大事に育ててもらったのに親より先に逝くなんてマジで親不孝者だな俺。

 ごめんな父さん、母さん。


 色々な事考えてる内に目が霞んできた。

 あぁ~ねみいなぁ、目が霞んでしょぼしょぼする。

 もうそろだな俺、来世はイケメンになって、人付き合いも良くできて、頭の良い奴になってるといいなぁ~、ってぜいたくか??

 そんな事考えながら俺は思い瞼をゆっくりと閉じる。


 こうして俺こと(田中 勇太(たなか ゆうた))20才半ばでこの世を他界した。







 しばらくすると眠りから目覚めるようにゆっくりと俺の意識がだんだん戻ってくる。


 (俺は死んだと思うんだがな?なんで意識が?)なんて考えていた俺はしばらくすると周りから聞きなれない言葉?らしい声がこそこそ聞こえる事に気づいた。


「○%×$☆♭#▲!※」


「□&○%$■☆♭*!:」


「%△#?%◎&@□!」


と、最初は空耳かとも思ったりもしたが、それらの意味の分からない音の塊がだんだん俺の意識がハッキリしていくにつれてどんどん大きく聞こえる。

 俺は、確かに死んだハズ、だ。

 これは間違いないと思っている。なのに何かしらの音が俺の周りから絶えず聞こえる。


 まさか、まさか!まさか!?ここは世に言う死後の世界?

 マジでヘブンorヘルなんてものは本当にあったてのか?

 そんならここはどっちだ?地獄ではないよな?ないよな??無いっで言っで。

 泣きそうな俺は恐る恐るゆっくりと声の聞こえる、(といっても360度全てから聞こえるのだが)前方に目を開く。


 結論から言おう、

 目の前には閻魔様がいて、

 「愚か者共よ地獄にようこそ!!!」

 なんてことはなく、天使や悪魔がいることも無かった。

 その代わりと言っちゃ失礼だか、目の前には胡散臭い皺くちゃの老人老婆達がいた。

 更には周りには鎧を纏った人達が俺を取り囲んでいた。

 

 俺はめちゃくちゃ安堵した。

 良かったー!閻魔様いなくて良かったー!

 俺さっき死ぬほど、って俺死んでるかもしれないが、目を開けるの怖かったぞー。

 本当に良かった〜、俺、良い子でよかった!


 安心した俺はもう一度目の前に視線を戻す。


 目の前のボロボロ布?を身につけている老人や老婆が俺を目の前に四人が慌てふためき驚愕顔を浮かべているのに対し、周りの奴らは、俺を見てやれやれ期待ハズレだ、みたいにあからさまに落胆して興味を失うものや、苦笑して蔑んだ目で見てる奴もいる。


 はっ?何こいつ等?

 勝手に人の事を数人で取り囲んでガン見しときながらああもあからさまに落胆されたり、人をバカにしたような視線を向けてくるとか、正直ムカッとする。


 てか何がなんだかさっぱり分からないんだけどまずここどこだ?

 ざっと見た限りここは病院でもない。

 映画や漫画とかでも見たことがあるような何かの儀式の間、みたいな雰囲気の薄暗い場所だ。

 取りあえず前の四人の老婆、老人達に近づいて声をかけようか。

 と俺は思い立った。

 目の前にいる老人老人達は格好からして変わっている。

 怪しいことこの上ない。

 なんせ、The魔法使い!みたいな格好してるしし。


 コスプレイヤーかな?


 俺はこんな胡散臭いコスプレ老人達に声をかけるのはためらったが、現状が全く理解出来てない俺は、今俺がどんな状態なのかなど詳しく聞いて現状把握するべきだと思い、声をかけるだけかけてみようと考えをまとめた。


 俺はこの知らない人に囲まれた中心から、勇気をもって老人達へ向かって一歩踏みだ、そうとして変な粘着質な音と共に身体がスライド式に少しだけ前にすすんだ。

 んん?なんか変な感じがしたぞ?変な音も聞こえたしな?

 更にもう一歩俺は前に進んでみてようやくさっき感じた違和感の正体に気がついた。

 気づいてしまったのだ。


 俺の手足が見当たらない。

 しかもなんか俺の視界もいつもよりも低くね?


 前に進もうとしてもグチョグチョネチョネチョとした音が聞こえるし、視界もいつもよりずっと低い。

 嫌な予感はしながらも視線?を自分の身体に向けた。

 俺はこのとき見なきゃ良かったそう思った。

 ほんとにショックだった。

 それはもうもう一度死にたいと思うほどに。

 なにせ俺の身体は黒っぽい緑色のヘドロの塊みたいな醜悪な見た目に早変わりしていたのだから。

 整形に失敗してしまった人の心境が今なら分かる気がする。


《ウーズボディー:強酸性の粘着質な物質で構成されている不定形な身体。物理的攻撃には耐性をもつ。》


 心に直接響くようなどこか懐かしさを覚える優しい声が聞こえた。


 自分の身体を見てショックを受けている俺にはしっかりと聞く余裕なんてなかったが少しだけなんとか聞き取れたワードがあったぞ。

 ウーズボディー?、ウーズってなによ?

 まさか!?

 俺のこのヘドロみたいな身体の事か?ことなのか!?

 おい!!俺の身体どうなってんだよ!!!

 ありえねぇーぞ‼何だよこれ!、グロすぎんだろーよー!!!


 そんな事を俺は無意識に心の中で雄叫びをあけていた。


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