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悪役令嬢の拳  作者: 二三三一
4/7

儂、攻略対象の宰相の長男と出会う

 セイジオ=シヨク。父親は現宰相であり、公爵家である。

 セイジオの先祖は転生者であった。

 数々のチート内政を実現し、国を大きく発展させた先祖を崇拝し、十歳にして公爵家の領地の一部運営を任される程の才能を持っていた。


「つまらないな……。教師も含めて頭が悪い。個人のレベルに合わせた教育を行うべきだよ」

 そう言って、昼の休憩時間に私物化した工具室へと足を運んだ。

「これからの戦争は兵装が決め手になる。内政もいいが、兵装を整え外敵から守らねばダメなんだ」


 現在の主流武器は銅板を抜いて作った剣に盾だ。


「銅の時代は、これで終わる!」

 そして、セイジオが開発したのは高純度ハイカーボン鋼に魔力エンジンを積んだチェーンソーであった。


「魔力解放!」

 ヴィィィィィィン、と騒音が鳴り、駆動する。

 試し切りだ、と主流兵装の盾へと振り下ろす。盾と接触した瞬間、一瞬火花が散り、回転力を持ったチェンソーは縦を真っ二つに切り裂いた。


「成功だ!非力な十歳児の俺にこれだけの威力が出れば、兵は一段階。いや、数段階は強くなるだろう!」

 喜ぶセイジオは、エンジンに引っ張られ、工具室のドアへと倒れ込んだ。


 ヴィィィィィィン、ぎぎぎぎぎ。


 ドアを飴のように切り裂き、セイジオはチェンソーから手を放した。

 刃は地面へ落ちると、回転力へと変え、飛び跳ねる。


「うぐぁぁぁ」

「きゃあああああ!」

 身体や手足をチェンソーの回転に切られ、血まみれで倒れ込む生徒達。

「やべええええええ!!魔力バッテリーを高容量にするんじゃなかった!!」

 暴走するチェンソーの所に一人の美しい顔立ちをした少女が現れた。

 そして、そのチェンソーは少女の顔をめがけて跳ねた。 

 全員が少女の死を想像した。

 回転するチェンソーだ。すぐに魔法なり高度医学で治療されても、回転により抉られた部分までは戻ってこない。

 少しの傷が付いただけで婚約話が無くなる。たとえ命は助かったとしても、貴族令嬢としては死んだも同然となる。


「ぬうん!」

 ヘレンは微動だにせず、チェンソーの刃へ頭突きをする。

 バキィン、という甲高い音がして、チェンソーの刃が根元から叩き折られていた。


 何事も無かったかのようにあるくヘレンへセイジオは呼び止める。

「だ、大丈夫なんですか?ボクの作った武器を」

「この程度では儂にかすり傷はおろか、髪一本ですら傷付ける事はできぬわ」

「馬鹿な!?銅の盾をも簡単に切り裂くんだ。我が家に代々伝わる禁書、マキ○のカタログをこっそり持ち出して作った自信作なんだぞ!」

「この戦武王の前では闘気無き攻撃は通じぬ。去れ、小童」 


 髪一本すら本当に切れていないヘレンを見て、セイジオは信じられないと呟いた。


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