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二人組?一人+一人

作者: KL

世界には色んな世界がある。私たちが住んでいるこの世界もその一つでしかない。

未だ剣で戦争している世界もあるし、魔法がある世界だってある。

そんな中一つの世界に光を当ててみよう。この世界には魔物がうじゃうじゃいるんだ。

勿論それを狩る狩人、ハンターも増えていった。今回はハンターの中の二人組を紹介しよう。


「さ!今日も行くわよ!」

「おーう今日はなんだ?」

「ドラゴンの討伐ね」

「げ、マジかよ」


彼と彼女はコンビだ。幼少期からの知り合いでとどのつまり幼馴染という奴だった。

息はよく合い鏡のような動きで獲物を仕留めて行った。この日もそうなる、筈だった。


「ちっ!おい!気をつけろよ!こいつ早いぞ!」

「分かってるわよ!」


ドラゴン、手強いがこの二人には難ない敵な筈だった。しかしこのドラゴンは特殊進化系で普通のドラゴンとは訳が違ったのだ。追い詰められていく。


「そりゃああ!」


彼の重い一撃で首の頚動脈と思しきところを切った。血が噴き出し暫く暴れた後絶命した。


「はぁ・・・はぁ・・・後で調査委員会に報告しなちゃな」

「まったくよ・・・さぁ帰りましょう」


二人で帰る。緊張で体を動かしていた為一気に気が抜ける。足を引きながら帰路に着いた。


「はい確かに、報告ありがとう」

「今度からあのエリアに注意するようにお願いします」

「分かったわ、あそこは新人も多いから十分注意させる」

「はいじゃまた」

「またよろしくね~」


彼が委員会に報告し注意を促した。彼女は後ろで恨めしそうにそれを見ていた。


「あの、さ」

「んどうした」

「これからはソロで活動しない?」

「?それって別々で行動するって事か?」

「そう一人のほうがいい事もあるし、どう?」

「俺は別にいいけど、お前こそ平気なんだな」

「舐めないでよね、私は全然平気よ」

「じゃあいいか、明日からソロでいこう」


彼女はこう考えていた。いつもいる私が消えたら、彼の方から泣きついて来るだろう。

好意を持っているからこその逆性。自分から動けないものの精一杯の攻撃。


「これで・・・」


彼女の手に持っているものは『好意を持って貰える十の方法』というものだ。

その内の九番目に『押して駄目なら引いてみろ!』がある。これを実行したのだ。

実は散々アタックしてきた。プレゼントも幾度と無く渡したし、恋文も二、三回渡した。


「この鈍感め・・・」


二人の写っている写真だ。腕にくっ付いている自分と仏頂面の彼の写真だ。

二人してハンターの試験に合格した三年前の頃だ。

あの時が十八だったから今は二十一か。という事は二十一年の付き合いだ。

彼の事を意識したのはいつだったか。気が付いたら好意で一杯だった。

その次の日である。自分に力の差を見せ付けられたのは。


「何これ・・・」


昨日あんなに苦労して倒した特殊進化系ドラゴン、ハイエンスドラゴンと命名された。

が数えると十匹が大八車に乗っていた。その先頭にいるのは彼だった。


「こいつがハイエンスドラゴンです、生け捕りが三匹いるので研究材料に」

「ありがとう、おかげでどういう特徴があるのか調べられるわ」

「残りはバラして素材にしちゃいますね」

「いいわよまた頼むわ」


大八車を引いて素材屋、魔物を部位ごとに分けて素材にしてくれる。の所に行った。


「あの~」

「はい、どうしたの?カミラちゃん」

「あのドラゴンどうしたんですか?」

「あれ?一緒に行ったんじゃないの?だとしたらさすが竜殺しね」

「竜殺し?」

「そうよ、ヨシュアは竜殺しといわれているの知らなかった?」

「はい・・・そんなの聞いた事も無いです」

「だから気になったのよ、なんで昨日あんなに傷だらけだったんだろう?って」

「そうですか・・・」


この話が暗に示していた。自分がヨシュアの足を引っ張っていたと。

よくよく思い返してみたら思い当たる節がありすぎる。


「ちっ!、おい平気か!」

「平気よ!気にしないで!」


自分が危ないとすぐに防御に回ってくれた。動けない時は庇ってくれた。

なのに何を思い上がったのか。何が一人で平気なのか。バカらしい。


「私も・・・倒さないと」


心を焦燥感が満たした。ヨシュアと同じ場所にすら立っていない。

試験でもそうだった。首席だったのだ。全てで。対して自分は全てが底辺に近かった。

ギリギリで合格したに過ぎない。教官にどやされ続けてやっと合格したのだ。

それに比べヨシュアは歴代一位だ。教官を驚かし、時には感動さえさせた。

なのに彼がパートナーに選んだのは自分だ。二位のカシュと組むとばかり思っていたのに。

彼女はヨシュアに好意を持っていた。必死に追いかけていたのを遠目で知っていた。


「いた・・・」


劣等感。焦燥感。ヨシュアが自分を選んだ時のカシュの顔が忘れられない。あの憤怒の顔。なぜ私じゃないの。目で言っていた。私はすごく頑張ったのよ?そこの横にいる女より。

次の日彼女は捕まった。彼を襲ったのだ。あの顔。嫉妬に狂ったあの顔。

今なら分かる。あの時の自分は何を狂ったか。としか思わなかった。

彼女のほうが圧倒的にヨシュアには良い。逆の立場だったらそれこそヨシュアを殺めた。

だから、カシュの顔を今になって思い出すのだ。カシュを超えなければ。


「そりゃああ!!!!」


ハイエンスドラゴンに切りかかる。一撃は食らわせた。しかしそれで倒れるほどのやわじゃない。一人で戦っている。自分が危なくても動けなくてもそれで終わり。

昨日と同じタイプだった。しかし別物のように強く感じる。

違う。自分が弱いのだ。ヨシュアの裏に隠れてばっかりでろくに攻撃をしていなかった。

惨めで涙が浮ぶ。拭う暇も無くハイエンスドラゴンの攻撃は続く。

その時だ。足が縺れ倒れこんでしまう。それを見逃すような敵ではなかった。

長い尾が自分に迫ってくる。衝撃に耐えようと目を瞑り、すぐに衝撃が。


「たく・・・世話かけんな、このスッタコ」

「ヨシュア・・・」


彼が相棒である剣で受け止めてくれた。あの七匹のドラゴンを使ったのか防具が違う。


「なんで来たのよ!」

「なんでって・・・お前が危ないからに決まってるだろ」


当然のように受け答えながらドラゴンの首に一撃を加える。その姿はとても綺麗だった。


「ふぅ、大丈夫か?怪我は無いか」

「うん・・・うん」


ヨシュアが手を差し伸べる。目にゴミが入ったわけでもないのに涙が止まらない。


「お、おい?どこか痛むのか?」

「ううん、嬉しいのあなたが来てくれて」

「お、おうやけに素直だな」


肩を貸してくれたので大人しく借りる事にする。その時ヨシュアが口を開いた。


「なぁなんで一人で行ったんだよ?」

「・・・あなたに追いつきたかった」

「はぁ?バカだなお前」

「バカって何よ」

「お前はずっと俺の隣にいろ、俺が行き過ぎたなら戻ってやる」

「でも!私があなたの足を引っ張って!」

「アホ、逆に俺がお前の足を引っ張ってないか心配だったってのによ」

「そんな訳ない!カシュがあなたのパートナーになった方が良かったと思ってるわ!」

「なんでだ?俺は元々お前がいいって公言してたそれをカシュが気にしなかっただけだ」

「なんでよ!何で私なの!?」

「それは・・・そのだな、お前をこの手で守りたいなとずっと思っててな」

「でもそれって」

「あぁ俺はお前が好きなんだよ、お前を守りたいから頑張った」

「・・・私も好きよ大好き世界で一番好き」

「俺もだ、もう絶対離さないぞ?」

「私から離れる事なんて出来ないからね?」

「もちろんだ俺達は二人組だからな」

「一人じゃできなくても二人なら出来るわよね」

「あぁその通りだ、じゃあ帰ろうか」

「えぇ帰りましょう」


FIN

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