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贈られし者-プロローグ編-  作者: かにはユ
9/11

マの1

-----マイミの独白------


今日という日を忘れることは、きっと無いと思う。

となり町の、おばさんの家に出かけた。

バユタ亭は、お休みだ。

お母さんと二人で お出かけなんて、すごく久しぶりの気がする。

うきうき気分で、終始過ごしていた。


帰りの道中で、それは起こった。

何が起こっているかは 馬車の中で よく見えないが、想像はつく。

盗賊に、私たちの乗った乗合馬車が襲われているのだ。


突然、馬車が減速する。そして止まった。

引いていた馬が、逃げていくのがわかる。

私は、ここで死ぬのだろうか?

男たちが、乱暴に乗り込んでくる。

恐怖に耐え切れず、母の言葉にあがない、馬車を飛び出してしまった。


もう囲まれている。

更なる恐怖で、体が硬直し、その場で棒立ちになる。

その先の少し離れた所で、魔術戦闘が見えた。

助けが来たのだろうか?

いや、どうも あっさり負けてしまったようだ。

情けないヤツだ。

私と そう変わらない歳の、男の子に見える。

くれ騙しだったら、出てくるんじゃない。

悪態しかつけない、無力な自分に 嫌悪する。

危機に颯爽と駆けつける王子サマなんて、居やしない。

力が抜けて、座り込んでしまった。


座り込んだところで、すぐに捕まってしまった。

私をかかえこむ男の息が 臭い。

加えて、体臭だろうか、吐き気がするど、クサイ。

叫ぶ間もなく、口にくつわを 噛まされ、縛り上げられてしまった。


一緒に乗っていた人たちが、引きずり出されて、殺されていく。

アイツらには、人の心は無いのだろうか?

殺されて往く人達にも、家族がいて、帰りを待つ知人も 沢山いるというのに!

ニヤニヤ、下衆の笑いが脳裏に焼きつく。

お母さんは?お母さんは、どうなった?

そこで、目の前が暗くなり、意識を失った。





いつの間にか、馬車に乗せられていたようだ。

私の首には、魔力封じの首輪が付いているようだ。

魔術が使えるのが、バレているようだ。

どうして?



ああ、お母さんが居る。良かった。殺されなかったんだ。

もう一人、厳重に枷をされて転がされている男の子が居た。

さっきの、役立たずだろうか?


しばらくして、馬車が止まった。

3人とも馬車から、乱暴に降ろされた。


私と、お母さんの 轡が外された。

開放してくれるんだろうか?

そんなはず、在り得ないよね。

私たち、どうなるの?

犯されて、奴隷として売りとばされるの?

「初めて」くらい、好きになった人と したかったな。


恐怖と混乱で、「お母さん、お母さん」としか、声は出ない。

涙だけがとどめもなく流れる。

すぐに、轡が再び噛まされた。


あの男の子が、巨大な鳥かごに入れられ、木から吊るされている。

普段の私だったら、いい気味だと、小馬鹿にしていたと思う。

今は、呆然ぼうぜんと見上げているだけだ。


賊どもが相談を始めた。

私は、やはり売られるらしい。

しかも、お母さんと別々になるらしい。

「味見」って、何? まさか、殺して食べるの?

アイツらは、人を食料として見ているのだろうか?


あの男の子は、仲間に引き入れられるようだ。

なんか不公平だ。

私だって、魔術の才能は褒められているのに。


男の子の表情が変わる。

憤怒の顔だ。何を いまさら怒っているの?

別の恐怖が、私を包む。

吊るされている中から、魔力が膨れ上がるのを感じる、

付けられている魔力封じのグッズが、まるで悲鳴を上げているようだ。


男の子は 再び表情が変わった。

冷たい、見下すような眼だ。

膨れ上がった魔力が、収束していくさまが、判る。



そこで、異変にようやく気付く。

お母さんが、私の おかあさんが!

下半身 裸にされて、親分みたいのに 押し倒されている。


何をするの!


大事な、大事な、お母さんに!


許さない!


ぜったいに、ゆるさない!


今すぐ止めなければ、何があっても、必ず殺してやる。

周りではやしたててる、キチガイどもも、必ず殺す。

たとえ、何年掛かっても。


口を塞がれているので、声は出ない。

でも、のどがつぶれんばかりに叫んでいる、自分がいる。

頭に血が上りすぎると、一廻りして 冷静になるのだろうか?

パニックになって、泣け叫んでる見ている、自分がいる。


吊るされているヤツを見た。

さっきより、さらに冷たい眼、凍るような眼をしている。

もし、興奮している様子だったら、必ずアイツも殺してやる。


私の首にも、魔力封じのグッズが 付いている。

これさえなければ、少しは抵抗できるのに。

すべての魔力を集中し、壊そうと試みた。ビクともしない。



何も見えない。視えているのに、見えない。

視界はある。目の前の状況を頭が拒否しているみたいだ。


何も聞こえない。聴こえてるのに、聞こえない。

周りが何を言っているのか、解からない。





気がつくと、お母さんが、私を縛っている物を外していた。

首輪は外せないようだ。

お母さんが、私を抱きしめる。

二人で声を出して、泣いた。


一通り泣いた後、周りを見渡した。

お母さんを 乱暴していた連中は、死んでいるか、のたうち回っている様だ。


天罰か? 神様っているんだ。

なぜ、もっと早く助けてくれないの? 神様。

命があればいいってもんじゃないよ。


そういえば、アイツは生きているようだ。

さっきと同じ、凍るような目つきで、ヤツラの金目のものを 集めているようだ。

はっは! 所詮 ヤツラと同類だったんだ。

どこか、助けてくれるんじゃないかと 思っていた分、失望も大きかった。


私たちを どうするんだろう?

売りとばすのかな?

二人で抵抗すれば、勝てるかな?

お母さんは、元冒険者だ。結構 強かったらしい。

私だって、この首輪さえなければ、足手まといにはならないはず


でも、負けちゃったら、酷いこと されるのかな?

お母さんだけでも、見逃してくれないかな?


なぜ神様は、アイツも やっつけて くれなかったんだろう?


集め終わると、「危害を加えないから、ここから動きたい」と、言ってきた。

はっ! 一人で勝手に行け。

何で私たちが、一緒に行かなければ いけないの?


ああ、お母さん、こんなヤツの言うことを きいちゃダメだよ。

でも、逆らう気力もなくて、母に従う。



馬車に 3人で乗り、動き出す。

あの、忌まわしい場所が、だいぶ遠くなった。


あんなトコ、消えてしまえ!

そう思った瞬間、本当に爆発した。


本当に、神様っているの?

まさか、アイツじゃないよね。

一緒に驚いているし。

あれ、お母さんが、なんか微笑んでいる。

なんで?

でも、いいや。

お母さんって、本当に強い人なんだ。

私だったら、あんなことの後、すぐには笑えない。




しばらく走った後、アイツが休憩だと言って、馬車を止めた。

母に、馬の世話を命ずる。

あれ? 頭を下げて頼んでいる?

目の錯覚だ。あんな凍るような眼をしたヤツが、お願いなんか するはずがない。


アイツが、食事をしようと言いだした。

あんなことあった、すぐ後で食欲なんて あるわけない。

一人で食え、ひとりで。

さすが冷酷な人間は、他人の気持ちなんて判っちゃいない。


ここでも、あがなう気力が無くて、母にならい食べることにした。


アイツと母が、話し始める。

あれ?

やけに丁寧だし、あの眼と、印象が合わないぞ。


ダメ、ダメ、お母さん。あんなヤツに 本当の名前教えちゃ!

伽弐亜っていうんだ、変な名前!


ダメ、ダメ、お母さん。せめて抵抗しよう。

2対1なら、勝機があるかもしれない。



食べたからだろうか?

なんか 気力が、戻ってきたようだ。

今になって、お腹の底から 怒りが こみ上げてきた。


魔力が封じられていても、こんなヤツなんかに負けない。

冷静さを失っていた私は、相手の魔力を調べることもせず、手を出してしまった。


宣戦布告の ビンタだ。

私は、卑怯者ではない。

やる気になったようだ。 立ち上がってきた。

母直伝の 腹部への攻撃を見舞う。

おっしゃ、クリティカルヒットだ。 効いてる。

お母さん、チャンスだ!

二人掛りで、やっつけよう。


「ゴンッ」

衝撃が、頭を襲う。

甘くない、視界の外から攻撃が来た。


お母さん、助け・・・・・。

え?

今の、お母さん?

うわ! アレがくる。

「ゴッ」

私は、母に吹っ飛ばされた。



なんで?なんで?

私、お母さんを助けようと したのに?

また、あんな目にあったら どうするの?

ああ、今度は 私の番かも知れないのよ?


涙が止まらない。

体から、力が抜ける。

立っていられなく......なってしまった。




母が、地に伏してアイツ....伽弐亜に、ゆるしをうている。


ああぁあ、私はようやく 気付いた。

伽弐亜の魔力量、ハンパじゃない。

今まで感じたことないレベルどころじゃなくて、測りきれない。


っと、ぃいうことは、

さっきからの都合の良いだか、タインミング遅れだかの、

神の...みわざは、全てアイツの 仕業しわざでは、なかろうか?


つまり、

アイツは、全てを手に入れるために あのタイミングで盗賊を処分し、アジトを 消した?

やばい、とんでもないヤツに 歯向かってしまった。


なんか、きれいごとを ノタマっているようだけど、嘘に違いない!

もうダメだ。

せめて、お母さんだけは、助けてくれないかな?


お母さんと 話が、ついたようだ。

「よし分かった。マイミそこを動くな。カミオさん、好きにしていいんですね?」


「はい、どうか手荒なまねだけは、ご容赦を。マイミは経験がありませんので・・・どうか」

母の言葉を 遮るように、アイツが、伽弐亜が、私の前に立つ。



私は諦めて立ち上がった。

なんとかお母さんだけはと、懇願しよう。

「命令に従うわ。母だけはお願い。お母さんには、乱暴しないで欲しい」


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