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贈られし者-プロローグ編-  作者: かにはユ
6/11

六-反撃、そして・・・・・・・

賊の連中を「人」 だと、認定していないから、

僕の心の中に躊躇ちゅうちょなんて存在しない。


母子おやこを助けるというより、確実にヤツラを皆殺しにする計画を立てる。

自分に掛けた魔法は、[冷静]でなく[冷徹]だったかもしれない。

全て自己流の魔術だから、確かめるすべは、無いでしょうが。


まずはカシラから逝かせるか。

迷いはない。

これ以上は、時間を掛けたくない。

少女のトラウマの深さも深刻さを増すでしょう。


盗賊のカシラに狙いを絞る。

獣の絶頂を迎えようとしている。

その瞬間が チャンス!

男だったら、必ず隙ができる筈。


カシラの心臓をイメージする。

はじかれた!イメージがレジストされた。


カシラが、僕の方を振り向き、ニヤリと嗤う。

気付かれた。

ヤバイ、ヤバイ!

僕はいい。せめて一人だけでも助けたい。


どうする?


その時、下になっていた女性と意識が通じた気がした。

そして、カシラを抱きしめた。

女性には、重ね重ね申し訳ないと思う。


カシラがその瞬間、イク。下品な方の イク。

隙が できた。

女性が作ってくれた 「隙」


僕の心が 熱くなる。


(いったれ!)


カシラの心臓に、イメージを全力で送る。

迷いなく、握りつぶすイメージを。


治癒魔法でも使われたら、たまらないので、

念のため、続けて脳の大動脈と、脳幹、肺動脈にも同じイメージを送った。

まさか、復活しまい。


配下のヤツラは、まだ異変に気付いていないようだ。

笑いながら、カシラだった物体を ゆすっている。


心の中に 冷たさ=冷静が戻る。

遠くの配下から、処理しよう。

見張りは、そのままの姿勢でいるように、血管を凍結するイメージを送った。

少し離れて、木に登ったりしている配下数人は、同様のイメージを送った。


女性を取り囲んでいた残りの配下は、胃に 雑巾を絞りあげるイメージを プレゼント。

すぐに死にはしない。もんどりうって倒れた。

のちほど アジト全体へのプレゼントも予定している。

まあ、全員助かることは無いでしょう。





息のある賊は いるけれど、立てるものは もういない。

僕自身の拘束を 破壊して、女性に近づきます。

どんな反応をされるか 不安が募る。


女性は、カシラのむくろの下から這い出してきています。

衣服を さっと簡単に直すと、彼女は拘束している轡を 自分で外しました。

立ち上がり、ぱっぱっと 自分自身を払うと、娘の元に駆け寄ります。

少女は、放心状態です。

母親が、やさしく拘束している物を 外していきます。


僕はというと、少し迷ったが、[冷静]だか[冷徹]だかの魔術は、解除しない。

賊の亡骸(まだ生きているヤツもいる)と、アジトの処理が必要でしょう。


きっと今の僕は、彼女らを見下すような、冷たい目をしているに違いありません。

本意ではないが、今は どうしようも無いのです。


まず、賊の金品を集めました。

さっきの馬車に乗っていた人たち遺品も 在るだろうし、

僕は 少しの食料を買うお金があれば助かる、母子おやこには渡してあげたいのです。

後は、食料も集めます。

衣類は、女性物だけを集めます。母子おやこの為の衣類だ。他は要りません。


母子おやこは抱き合って泣いています。

声が掛けづらいが、いつまでも ここにいる訳には いかない。


危害を加える意思は無いこと、馬車でとりあえず移動したい事を伝えます。

母親は無言で頷き、了承の意を示しました。

少女は、僕を睨んでいます。

心がチクリとしたが、気が付かない振りを 今はします。


賊のアジトが見えるギリギリまで離れて、魔術を使用。

もちろん、母子おやこには、吹っ飛ばしたのが、僕だと覚られないよう、

さりげなくアジトに 破壊のイメージを送ります。


その送ったイメージは、[サーモバリック爆弾]です。

少ない前の記憶に残るモノ。

気化爆薬のニュータイプの 気体爆弾。

単に気化爆弾でも同じだっただろうが、新しモノ好きで・・・・。

要するに、広範囲の面を吹っ飛ばす物です。

ディジーカッターでも良かったが、

範囲をコントロールしやすいと思い、[サーモバリック爆弾]を選択。

小さなキノコ雲が、立ち上がっていました。



母子おやこと一緒になって、驚いた振りをします。

母親には、僕の演技が ばれている気もしたが、

感づかれても大きな問題無いので、気に留めないことにした。


ここで、[冷静]だか[冷徹]だかの魔術は、解除。

ややこしいので、[冷徹]の魔術と名づけます。

人柄に誤解を受けやすい術だが、戦闘時には有効なので、また使う事になるでしょう。




さて、どうしよう。

最近 これ が多い気がします。

でも まあ、自分の事はどうでも良い。

問題は、後ろの母子おやこの事です。

本人達の希望を聞いて、出来る限り叶えてやりたい。

僕にはそれ以外は、直近に したい事は無いから。


しばらくは、このまま走りました。

ちなみに、馬車の馬の操作は この身体が覚えていてくれたみたいです。


移動を続けながら考える。

キャンピングトレーラーで 少しでも癒してあげたい。

今なら食料もある。調理もできるだろう。調味料も調達してきた。

でも、招待できない。

マニュアルによると、僕以外、奴隷契約した者、夫婦契約した者などしか入れません。

今すぐに、嫁にするわけにも、ましてや奴隷にするわけにも いかないでしょう。

僕だけ、快適な生活をする気は ありません。

当面は、キャンピングトレーラーは、封印となりました。



しばらく走った後、休憩にする。

母親に聞いたら、簡単な馬の世話ならできると言うので、任せます。

馬の世話が一段落した所で、食事とします。

最初は、僕と一緒に食べることを警戒か、遠慮か判らないが、

躊躇ためらっていたようです。

お願いするような形で、3人で食べました。

パンみたいなものと、飲み物だけの 簡素な食事です。


会話は ありません。

母子おやこの間でも、無言。


僕が先に 声を発っします。

「あの、なんて言えばいいか・・・・・・」

これ以上、言葉が出てきません。


間が空いて、怯えを含んだ声がしました。

「宜しければ、お名前...教えてください。私は カミオ。娘は マイミと申します」

母親、え~と、カミオさんが、名前を教えてくれました。


「僕の名前は、伽弐亜 一郎です。伽弐亜カニアと、呼んでもらえれば」


「伽弐亜様ですか。不躾ですが教えて頂きたいのです。

あなた様は、私たちをモノとして盗賊より強奪したのでしょうか?

覚悟は出来ておりますし、無駄な抵抗もいたしませんので、本当の所を教えてください」


カミオが、僕の目をまっすぐ見て 尋ねます。

僕は、びっくりした目で、カミオを見返してしまいました。


すると、

「パッシィン」

こ気味いい音と共に、左頬に衝撃。


「なっ!」反射的に立ち上がる。

そこへ、ボディアッパーの追い討ち。

いい角度で 僕の腹に コブシが突き刺さる。

犯人は、娘のマイミ!


固まる僕に、さらに衝撃の光景が。

今度は、カミオが、娘マイミを 攻撃し始めた。

まず、頭にゲンコツ。

そして追撃。

その後、ボディアッパーを 娘に見舞う。

マイミは、両手をクロスして自分の腹部をカバーしたが、宙に飛ばされる。

2~3mは、ふっ飛んだでしょうか?


驚愕の目で、両者を見る。

母子おやこは、距離を置いて対立しています。

娘マイミは、ぼろぼろに 涙を流しています。

母カミオは、青ざめているように感じます。


次の瞬間、

マイミはヒザから崩れるように、手で顔を覆い、号泣しはじめました。

カミオは、僕の前で 地に伏して、娘の行為を詫びだす。


「私は、どうなっても構いません。どうか、寛大な心をお持ちになって、娘を。

娘の命ばかりは、助けてください。

私でよければ、どんな命令も受け入れます。

死ねと おっしゃれば、この場で自害いたします。

身体が、よろしければ・・・・。私に価値は・・・、娘は私が言いきかせ・・・・。


少し間が空く。即答できない僕を 誰が責められよう。


「ストップ、ストップ。えっと、落ち着いてください。

この程度で、命は求めません。カラダも求めません。

要求を聞いてもらえるなら、落ち着いた話し合いを 要求します」

僕は、少し声を荒げカミオの言葉を さえぎり、要望を伝えます。


「話し合いは、心より切望します。でも、それだけでは申し訳・・・・。

娘の教育の為にも、何か罰を与えていただいた方が・・・・。

温情を持って、できれば軽いものをお願いしたいですが・・・・」



この人は、本当に娘のことを考えているようだ。

軽く感動していると、風が吹き抜けました。

心地いい、まるで心の濁りを吹き払うような、一陣の風が吹き、舞い上がっていきます。

まるで、風の精霊の祝福のように感じる!

僕の中で、何かがキレル。

我慢していた想いが、あふれれ出そうとしていました。


「よし分かった。マイミそこを動くな。カミオさん、好きにしていいんですね?」


「はい、どうか手荒なまねだけは、ご容赦を。娘は経験がありませんので・・・どうか」


母親の言葉が終わらないうちに、僕はマイミの前に 立つ。

マイミは、どこか諦めたような表情で、立ち上がります。


「命令に従うわ。母だけは お願い。お母さんには、乱暴しないで欲しい」


本当に良い母子おやこです。

でも、本能のまま 往かせてもらいます。


マイミを 立ったまま抱きしめる。

彼女の体が 少し硬直するのが判る。


首に手を当てる。

魔力封じの首輪を外す。


マイミの後頭部に手を まわす。

少し僕より背の低い少女の顔を 僕の胸に押し付ける。


もう限界。我慢できない。


「ゴメン・な。

本当に、本当に申し訳なかった。

僕にもっと力があれば、戦いの経験があれば...。

君のお母さんを あんな目に遭わせずに済んだかもしれない。

他の人たちも助けられたかもしれない」

涙が止まらない。泣きながら、謝罪の言葉を紡ぐ。


マイミの体から、力が抜けていく。

それから彼女の腕が、僕の背中に回る。

二人で抱き合ったまま しばらく泣き続けた。

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